多剤併用・大量投与の改善の努力をするということ
向精神病薬の多剤併用・大量投与は、諸外国と比較しても日本では多く、以前より大きな問題となっている。
多剤併用・大量投与の定義はあまり明確ではない。
3種類以上あるいは2種類でCP換算量で1000mg以上の抗精神病薬
3種類以上の抗うつ薬
2種類以上の抗不安薬
2種類以上の睡眠薬
の場合はそれぞれ多剤併用・大量投与であると言っても問題ないと思われる。
抗精神病薬・抗うつ薬は2種類を両方とも十分量使用していれば、多剤併用・大量投与と思うものの、リスペリドン6mg+不眠が改善するまでレボトミン10mgなどの処方も多剤併用・大量投与と言われると、ちょっと厳しいと思ってしまう。
多剤併用・大量投与の弊害
多剤併用・大量投与は様々な弊害が起こる。
・多剤併用・大量投与の効果が不明確
少なくともエビデンス不足である。
・副作用が確実に増加
・症状なのか副作用なのか判断が極めて難しくなる
副作用を症状と間違えて判断すると泥沼化する。
・問題行動が増加することがある
副作用で思考力や判断力が低下するうえに、薬で「酔っ払った」ようになる。
本人や家族に取って、多剤併用・大量投与からの脱出は残念ながら簡単な作業ではない。
ある程度の苦しみや再発・再燃などのリスクを伴う脱出である。
慎重に、焦らず、しかし着実に脱出を図る必要がある。
しかし色々と努力しても工夫しても、完全に脱出ができないことはありえる。
減ったとはいえ、多剤併用のままであったり、まだまだ大量投与の状態で止まってしまうかもしれない。
しかしこの薬を整理するということは、
・治療を完全に医師任せ、完全に薬任せの状態から脱却する。
・自分たちも治療に参加する。
・治療における重要な選択肢は自分たちで行う。
・薬だけに頼らず、自分たちも十分に努力する。
という当たり前のことを、身につけるプロセスであり、今後の自分たちの治療にとって必ずプラスになると思う。
勇気を出して一歩踏み出してほしい。
とはいえ、いきなり全部やめてしまうことだけは避けたほうが良い。
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