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寛解した後 減薬した方が長期予後が良くなる

統合失調症の人が寛解したあとに薬の量はどの程度続けるのが良いかは色々な意見がある。

急性期の量を続けると、
・再発・再燃のリスクを減らす
・副作用が出やすい

一方 減量すると、
・再発・再燃のリスクが上がるかもしれない
・副作用は少なくなるかもしれない
・どの程度減量するのがベストか分からない

現時点では明確な基準はなく、医師がそれぞれの判断と責任で処方をすることになる。

再発予防を最優先し同じ量をずっと飲み続けなさいという医師。

副作用が最小限になることを最優先し、薬を極力減量する医師。

減量し中止を目指す医師。

など、いろいろである。

私は時間をかけて減量はするもののやめることは極力しないことが多いが、正直どれが正解なのかはわからない。

Wunderink L et al. 2013では、寛解した精神病の人はそのままの量を続けるより減量や中断をした方が回復という点での長期予後が良くなることが報告されている (減量や中断群の回復率40.4% vs 継続群17.6%)。

今までの研究では減量や中断すると再発する率が高くなることが示されており、安定した後も長期間 同じ量を続けることが必要であるという考え方が多かった。

一方長期間安定した人はそれほど多くの量を必要としないのでは? という(主に経験的な)意見も多くあり、この論文は再発させない程度の量までゆっくりと減量することは、長期予後を考えた時にメリットがあるという、ちょっと自分に取っても嬉しい論文である。

といっても減らしすぎて、再発させては元も子もないので、どの程度まで減らせるかは難しいところである。


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