診断基準の適切な利用方法
精神科においては主に2つの代表的な診断基準がある。
WHOが作成するICD10(及び11)。
アメリカ精神医学会が作成するDSM5。
うつ病や統合失調症の診断基準はネットでは広く公開されており、検索すると容易に見つけることができる。
しかし一般の人が使うときには注意が必要である。
妥当性に対して多くの批判がある
特にDSM5は誰でも同じ診断になることを目指しており、うつ病の場合9個の症状から5個以上当てはまると診断できる、というスタイルを取っている。
一見 非常に科学的に見えるものの、うつ病における多くの症状の中から9個のみ選んだのは、多くの精神科医が集まり選んだだけであり、科学的な根拠はあまり無い。
5個以上当てはまるとうつ病、4個だとうつ病ではないと決めたのも、科学的な根拠はあまり無い。
多少は従来診断と重なるようにするものの、そもそも従来診断は国や派閥などで異なるためかなりいい加減なものである。
4つ重い症状をもつ人はうつ病と診断されない一方で、かる~い症状を5つも6つも訴える人はうつ病と診断されてしまう。
重要な点が省略されていることが多い
以下の内の5つ以上当てはまったらうつ病
・抑うつ気分
・興味・喜びの著しい減退
・・・
という形でネットでは公開されていることが多い。
診断基準の正しい使い方を理解したうえで、わかりやすくするためにその形にしているのか、診断基準の使い方を理解しておらず聞きかじりで作っているのか分からないものの、この使い方は間違いである。
抑うつ気分は、なんとなく気持ちが沈む、すっきりしないという一般的に使われる意味合いではない。
そして「抑うつ気分」は、『ほとんど1日中、ほとんど毎日の抑うつ気分』と記載されており、これが極めて重要である。
また興味・喜びの著しい減退も、『ほとんど1日中、ほとんど毎日の、すべて、またはほとんどすべての活動における』という記載がある。
たまに気持ちがどーんと落ちてしまうけれど気分が普通のときもある人。
仕事は全然する気がわかないけれど、趣味はできる人。
などはこの項目を満たさない。
この点は、一般の人はもちろん、精神科や心療内科の医師ですら誤解しているとしか思えない人を見かけることが多い。
ネットで診断基準を見る際にはこの病気はこんな症状が出ることが多いんだ、という程度で見るのが一般の人の正しい使い方である。
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