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断眠療法 眠らなければうつが治る?

断眠療法と言うものがある。

言葉の通り眠らないで治療をする方法である。

以前よりうつ病の治療に効果があるということは知ってはいるものの、なかなか治療法として勧めることが出来ないでいる。

眠らないでいることは難しい

「つらい」「眠れない」とまじめに話すうつ病の人に、「寝ないでいる治療をしましょう」とはなかなか言いづらい。

しかも頑張って寝ないでいても、断眠療法の日は元気でも翌日に起きたらまたうつ状態が悪化していることが良くあるなど、効果が続く時間が短い。

うつ状態が治ったというより一過性のナチュラルハイを作るようなものである。

しかし「眠れない、眠れない」と嘆いている人は、「眠れなくても良いや」「ついでに断眠療法しちゃえ」と、朝まで寝ないでいるというのも一つの有力な方法である。

とはいえ、朝まで起きていることはそれほど難しくないものの、更に夕方まで起きているのはかなりつらい。

ほとんどの人は昼に寝てしまい夜に眠れないでいる、という昼夜逆転に陥ることが多く十分に注意する必要がある。

基本的に一人で試みるのは避けたほうが良い。

断眠療法の方法

以下は越前屋勝 精神神経誌 2012を適時改変したものである。

1)対象疾患

うつ病

2)利点

効果発現が早く、有効率が高く(60%)、副作用が少ない。

薬の効果がなかなか出ない人でも効果があることがある。

3)欠点

効果が持続しにくく、時に翌々日から悪化する。

起きているのが大変。

4)方法 

一晩中寝ないでおく。断眠中は何をしても良い。

1日だけ あるいは 1日おきに3回繰り返す。

5)注意点

短時間の睡眠でも効果が減弱する。特に早朝から正午の睡眠は著しく効果を減弱させ、時に悪化させる。

これが一番難しい。朝まで起きているのはできても夕方まで起きているのは至難の業である。

重度のうつ病の人、てんかんやパニック障害がある人はやめたほうが良い。

6)併用すると効果的な方法

直接的な効果はあまりないものの効果を持続させる(ことが期待できる)。

・薬物

 リチウム、抗うつ薬

 双極性うつ病では βブロッカー(ピンドロール)も有効という報告もある

・高照度光療法

 非常に明るい光(3000ルクス)を、朝2時間(+夕2時間)浴びる

・睡眠位相前進法

 断眠療法の後、眠り始める時間を段階的に戻すことで、再発の60%を防ぐことができる。

1日目 寝ないでいる
2日目 17時に眠り、0時に起きる
3日目 19時に眠り、2時に起きる
4日目 21時に眠り、4時に起きる
5日目意向 23時に眠り、6時に起きる

ある種一番簡便な方法である。

どうしてもなかなかよくならない人や生活のリズムがどうしても整わない人にも良い。

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