電気けいれん療法という選択肢

治療抵抗性の統合失調症に対して治療の選択肢としてクロザピンがあることを書いた。

もう一つの選択肢としてECT(mECT)がある。

参照:mECT専門外来 国立精神神経医療研究センター

簡単に言えば、麻酔をかけて、全身がけいれんしない薬を使って、頭に電気を流す治療法である。

かなり乱暴な「治療法」という印象を受けるかもしれない。

またそれなりの副作用がある。

しかし効果は比較的しっかりとある。

mECTの効果

mECTが効果があった率
治療困難な初発 100%
治療困難な中高年緊張型 93%
治療抵抗性 55%
Clozapine治療抵抗性 49%

長沼英俊 精神科治療学 2018

ちょっとデータが良すぎて本当なのかとちょっと疑ってしまうくらいである。

治療抵抗性の人にmECTは55%の人は効果があり、クロザピンは60%前後の人に効果がある。
注意:mECTはおおむねBPRSが55超→43点以下が反応ありと評価されており、クロザピンの改善は基準が確認できなかった。

またmECTはクロザピンでも反応がなかった人の49%でも反応することが期待できるというなかなか良い治療法である。

治療抵抗性の人に対してクロザピン、mECT両方試してみる価値がある治療法である。

注意点

mECTはどの病院でも受けることができる治療と言うわけではない。

基本的にしっかりと麻酔をかけること設備と職員がそろった病院でないとできない。そのため、私のいる病院でもmECTを受けようと思ったら転院をするしかない。

さらにmECTで良くなった人も、しばらく(経験的には半年から2年程度)すると、また悪くなってきて、どんなに薬を調整しても改善せず、再度mECTをしないといけない人たちが結構な割合でいる。

mECTは効果があった場合、定期的に継続したほうが良い可能性が高いものの、継続するのは簡単ではなく難しいところである。

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