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短編小説 「足と仮面」 高校生のための小説甲子園落選作

短編小説 「足と仮面」 高校生のための小説甲子園落選作

 写真機の入った愛用の鞄が、妙に重たく感じられた。被写体にふさわしい風景が、どこにも見当たらないせいだった。
 暗い空がビルの明かりに照らされて、霞んだような色をしている。月は遠く、建設中のデパートの影に隠れながら、こちらをじっと見下ろしていた。
 繁華街は騒がしく、抱き合った男女だとか酔っ払った集団だとかが、地面へ深くめり込んでいる。両脇に長く連なった、楽器屋、質屋、あるいは雑多な飲食店。それら

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