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【ベーシックインカム】ドイツの実験「パイロットプロジェクト」約15万円を無条件に毎月もらえる?

ベーシックインカムの実験は世界各国で注目されています。ドイツでも来年の春から同様の実験が行われます。3年間、毎月1200ユーロ(約15万円)を支給し、どのような影響が生まれるのかを検証します。


実験の目的 「ベーシックインカムによる影響を知ろう」

ドイツで2021年の春に開始されるベーシックインカムの実験「パイロットプロジェクト」はどのような目的で行われるのでしょうか。

ベーシックインカムは、貧困と社会的緊急事態を根絶し、個人の自由を高め、各個人の開発機会とコミュニティの社会的および文化的状況を改善することを目的としています。

ストレス社会やバーンアウトが日常化してしまっている現状の世界に加え、政治思想の過剰な分離や過剰消費に対して、ここ数年ではより多くの人が無条件のベーシックインカムが打開策なのではないかと考えるようになっています。
裏を返せば、経済的な余裕から心にも余裕が生まれ、ストレスから解放されバーンアウトには至らなくなり、政治的考え方にも変化が現れ、不要な買い物を避けてより良い消費生活が送れるようになるのではないかと様々な利点が考えられているようです。

(団体HPから引用:https://www.pilotprojekt-grundeinkommen.de/)

本当にそうなのでしょうか?答えはやってみなければわかりません。

真実を明らかにするためには考えてるだけでは何も始まらないと立ち上がった団体が"Mein Grundeinkommen e.V."(マイン・グルンとアインコンメン e.V.=和訳:私のベーシックインカム登録協会)です。
この団体は「パイロットプロジェクト」と名付け、クラウドファンディングなどの支援を呼びかけ、見事に目標を達成し、プロジェクト開始へと突き進んでいる最中です。このプロジェクトはドイツ経済研究所と共に行われ、プロジェクト実施に向け準備が行われてきました。

実験内容

ドイツで行われるベーシックインカムの内容は1500人の被験者が応募者の中から選ばれます。

厳選された被験者は、1200ユーロ(約15万円)を支給されるグループと支給されず、これまで通りの生活を送るグループに分けられ、支給されたグループにどのような変化が生まれるのかを比較されます。
グループ分けは、1200ユーロを無条件に受け取る120人の被験者、そして残りの1380人のこれまで通りベーシックインカムを受け取らない被験者へと区分されます。

それぞれのグループが半年に一回、25分間を目安としたアンケートに答えると言うのが実験の条件です。このアンケートに答えなければベーシックインカムの支給が継続されなくなります。この実験にはこのアンケート調査が必要不可欠だからです。

ベーシックインカムを支給されない比較対象者は損なのか?

比較対象として、1200ユーロを受け取らず、アンケートを半年に1回アンケートに答えなければならないのは、何ももらえないのに協力しなければいけないようで損なのではないかと思えてしまいますよね。

根本的に実験結果に興味があり、比較対象としても実験に協力できていると思える被験者は素晴らしい考え方を持っていると言えるでしょう。ただし、そうではない人も多数いるのではないでしょうか。

しかし、この実験では比較対象のグループもアンケートに答えるたびに報酬が支給され、3年間の間、毎回答えれば更なる報酬が支給されるようです。さらに、120人のベーシックインカムを受け取るグループから、アンケートに答えなかったり、死亡し、実験から外れた被験者が出た場合、その枠に入る可能性もあります。

中にはインタビューを行い、ストレスレベルを測るために毛髪検査が行われる被験者もいるようです。

被験者の条件と実験内容

パイロットプロジェクトと称するベーシックインカムの実験は非常にシンプルな条件に基づきます。

応募できる対象者は18歳以上(成人)であること、そしてドイツで住民登録をしていることのみです。これに当てはまる人はアンケートに答え、メールアドレスを記入するだけで申し込みが完了します。

より多くの応募者を確保することで、一人一人の被験者が違う社会層や所得、生活感などを背景にもつ人々が集結され、120のカテゴリーに分けられるようにします。ベーシックインカムを受け取る被験者が120人、それぞれが別の背景を持つ人であることが重要となるようです。この被験者たちは対象グループの中の、同じカテゴリーの人と比較されるようです。

申し込みから審査まで

応募
パイロットプロジェクトへの応募は2020年11月10日で申し込み終了となります。この応募ではすでに8月21日時点で100万人の応募を達成しています。
ただし、この応募の目的はより多くの応募者を集めることです。

参加の可否を選別

この応募によって申し込み終了の1週間後である遅くとも2020年11月17日までに更なる審査への通過の可否をメールにて通達されます。

最初のアンケート調査対象2万人を選定
応募時のアンケート調査データに応じて、科学的質問に最も適したグループが応募者から選択されます。このグループは、連邦統計局のデータと比較されます。 この中から、初回アンケートである基礎調査に2万人を選定。2万人の中から、実験によって正しい結果が導き出せる被験者をグループ分けし厳選されます。なお、この選定期間は2ヶ月を予定しているようです。

被験者の決定
ランダムにベーシックインカム取得グループ(最低120人)と、比較対象グループ(最低1380人)が選ばれます。
ベーシックインカムのグループは、応募者から120種類のカテゴリーに分類され、それぞれのカテゴリーは非常に似た特性を持つ人々が分類されます。この120種類のカテゴリーからそれぞれ1人が選ばれ、それぞれのカテゴリーが1人ずつ、計120人がベーシックインカムグループに選ばれると言うことになります。

調査開始
2021年の春から調査、また金額の支給が開始されます。3年間に及ぶ調査では半年に一度25分ほどかかるアンケート調査に被験者が答える必要があります。また、ベーシックインカムグループは、毛髪分析を使用してストレスの影響について研究されています。 また、ベーシックインカムグループから15人が選ばれ、詳細なインタビューも行われます。



反対意見や問題点

希望を見出す意見とは反して、ベーシックインカムに関して懸念の目を向ける意見もあります。

批判する者は、ベーシックインカムは自堕落な人間のための理想郷に過ぎないと考えているようです。

問題点としては、ベーシックインカムを実現するためには多大なお金がかかると言うことです。ドイツでベーシックインカムを導入すれば、これにかかる金額はドイツの年間経済生産量の30%と同額です。ただし、その代わりに、現在のサービスと管理コストの一部を節約できるのではないかと考えられています。

まとめ

ドイツで来春(2021年春)から開始される「パイロットプロジェクト」では無条件に1200ユーロ(約15万円)を支給された場合、人々にどのような変化が見られるのか、人々の精神、また経済、政治など様々な視点から調査が行われます。

ベーシックインカムに希望を感じる者、また懸念する者、双方の考えは実際に行った実験により、どう変化するのかもベーシックインカムに対する今後が見えてくるのではないでしょうか。


参考記事:
Pilotprojekt: ”Wie wollen es wissen”

Stern: "1200 Euro Grundeinkommen: Was von dem neuen Experiment zu erwarten ist"

Mein Grundeinkommen: "Pilotprojekt Grundeinkommen erreicht Ziel von einer Million Bewerbungen in drei Tagen statt in drei Monaten"






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