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【ベーシックインカム】フィンランドの基本収入実験の結果はいかに!?

コロナ禍に各国で再び議論されているベーシックインカムだが、北欧フィンランドでは、2017年から基本収入導入の実験がされている。この実験では、社会における収入の格差を縮める、複雑なフィンランドの社会保障システムの簡略化、職探しや自らのビジネスを立ち上げるモチベーションを上げることがベーシックインカムを通して実現できるかを立証することになっていた。2020年5月6日にその結果が発表された。果たしてベーシックインカムは何をもたらしたのか?

・基本収入は嬉しいが、職探しは相変わらず困難

フィンランドでは2017年に25歳から58歳までの失業者がランダムに選ばれ、2000人以上が月に560 Euro(日本円で約67,000円)のベーシックインカムを受け取る実験が始まった。参加者は税金の支払いは必要なく、条件もなくこの金額を得ることができる。今回公開された結果によれば、実験への参加者は快適になったと答える一方で、参加者の多くが新しい仕事を見つけることができなかったとしている。初年度には、参加者の18%が職を見つけることができ、ベーシックインカムを受け取らない失業者のグループも同じくらいの割合の人が職を見つけることができた。2年目には、実験参加者の27%が職を見つけた。これは基本収入を受け取らないグループより少し多い割合だ。しかし、ベーシックインカムを受け取るグループとそうでない失業者グループでは大きな違いは見られなかった。

・ベーシックインカム実験への批判・社会保険システム簡略化

基本収入の実験への批判もあるようだ。政治的な圧力のもと行われたと一部研究者は批判的な見解を持っているようだ。当初実験では、1万人以上の参加者に対して月に1000 Euro(日本円で約12万円)をベーシックインカムとして渡す予定であった。また、この実験を通じてフィンランドでは基本収入を導入したのではなく、複雑な社会保障システムを簡略化したこと、ベーシックインカムは自分の力で社会のために何かする人のためだけにあるものということが明らかになった。ドイツのTagesschau(ターゲスシャオ)では、2年間に渡ってベーシックインカムを受け取り、その後カフェを開いたフィンランド人の女性が紹介されている。企業を立ち上げるのには時間がかかり、経済状況も不確かであり、基本収入が立ち上げの時に大事なものであると確信したとその女性は語る。また、別の重病のフィンランドの女性参加者も2年に渡り、ベーシックインカムを受け取ったが、実験終了後も未だに仕事がない状況だ。それ以来生活はひどくなったと語る。

コロナ危機では多くの失業者が生まれた。そんな先行き不安の経済の状況下においてはベーシックインカムは重要な鍵を握るであろう。それぞれの国で異なるが複雑な社会保障システムや複雑な失業保険の申請など、それらビューロクラシー(官僚制)の簡易化が必要となる。それと同時に長期的に見ると基本収入の受給者に対して求められることがあることも明らかになった。ベーシックインカムの目的はあくまで、次のステップへ行くこと、職を見つける、自分の仕事を確率させることであり、それは忘れてはならないだろう。コロナ禍を受けて、スペインでは、低所得や収入のない世帯への最低社会保障の導入を検討しているようだ。

参照リンク

Business Insider
https://www.businessinsider.de/wirtschaft/finanzen/es-hat-nicht-funktioniert-grundeinkommen-experiment-hat-menschen-in-finnland-gluecklicher-gemacht-aber-nicht-beim-jobfinden-geholfen/

tageschau
https://www.tagesschau.de/ausland/grundeinkommen-finnland-103.html

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