cEDHにおける4色及び5色ミッドレンジのお話
タイトルに有る通りcEDHのメタゲームに存在する4c及び5cのミッドレンジデッキについて自分の考えをまとめるついでにお話していこうと思う。
今回の記事ではティムナ&ターナのヘイトベアデッキ、初祖スリヴァーのような速攻デッキやトラシオス&薬瓶砕きのようなコントロールデッキなどについては詳しく触れない。
そもそもミッドレンジってなんぞや
まずメタゲームで活躍するほとんどのデッキが3~4ターン目に安定してゲームを終了させることができる(妨害札がないと仮定した場合)cEDHにおいてミッドレンジってなんぞやって話から始めようと思う。
cEDHにおけるミッドレンジデッキの共通点は
1.当たり前だが、デモコンタッサやブリーチ、むかつきなどコンパクトな勝ち筋を搭載及びそれらにアクセスしやすくする札をメインに構築されている
2.上記の勝ち筋が揃わない/通せない場合にリソース戦で有利になるカードをほぼ確実に出せる。(主に統率者)
3.対戦相手の動きはこちらのゲームプランに支障きたすもの(血染めの月や三なる宝球)やゲームを終わらせるもの以外は基本的に意識しない
の3つだと思っている。上記をこの記事では3か条と呼ぶ。(自分以外にそんな呼ばれ方はされていない)
上の3か条を踏まえると、ティムナ&ターナのヘイトベアデッキは優秀な統率者による安定したリソース戦能力を持っているが、即死コンボはあるものの色成約などの要因によってコンパクトな勝ち筋を持っていないため1が当てはまらない。
参考リスト:
初祖スリヴァーを始めとする食物連鎖デッキは基本的に速度重視でリソース戦を前提とした札はほとんど採用されていないので2が当てはまらない。(初祖スリヴァーを唱えたところで+1止まりなのでリソース戦で有利になるカードとして数えられない)
参考リスト:
トラシオス&薬瓶砕きの4cコントロールはトラシオスだったり薬瓶砕き+好奇心によるリソース戦能力はあるもの、虐殺や毒の濁流などの全体除去や致命的なはしゃぎ回りのような単体除去、カウンターマジックなどが少し多めに採用されており、相手の立ち上がりを妨害しやすい構築になっているため3が当てはまらずコントロールとしての分類になる。
参考リスト:
ミッドレンジデッキの種類及び解説
次は3か条全てをクリアするミッドレンジデッキの内、メジャーな4c及び5cのものをいくつか解説していこうと思う。
ティムナ&トラシオス
通称ティムトラ(トラティム派は許しません):cEDHと言えばこの2人って印象の人も多いと思う。最近だと少しだけ数が減ったが今でもトップレベルで強いパートナー。
主な勝ち筋はデモコンタッサの他に等時の王笏コンボ→トラシオス無限起動→タッサ or Timetwisterループ。勿論むかつきも搭載されている。最近だと速度を上げるために隠遁ドルイドを足した型やリソース戦能力を上げるために訓練場を採用する型も増えつつある。
ティムトラの最大長所といえばゲーム最序盤からのアドバンテージを稼ぐ能力だと思う。1ターン目にティムナ(+マナクリーチャー)を着地できれば2ターン目からガンガンドローを進めて勝つための札を揃えに行けるため、アグレッシブなマリガンをしやすい。もし周りが明らかにカウンターマジックを構えている場合でも、コンボをぶっ放さずにこちらも構え、何も起きなければ自分のターン前のエンド時にトラシオスを起動してリソースを伸ばしていける。
「速い展開も遅い展開も強い、死角なし、最強では?」と思う人も多いが、ティムトラにもちゃんと弱点らしい弱点もある。
まず1つ目はマナクリーチャーを起点として次のプレイにつなげていくため、4cコントロールのような全体除去を厚めにしているデッキがいると普段の動きのリスクが高くなる。最序盤から盤面を流されてしまうと、残ったトラシオスだけではリソース戦は厳しくなってしまう。
もう一つの弱点というより欠点だが、このパートナーの組み合わせには赤が無い。
「赤って弱いのでは?」と思うかもしれないが、波止場の恐喝者と死の国からの脱出の2枚の登場によって赤い統率者が爆発的に強くなった。この2枚は既存のcEDHデッキで採用される戦術との噛み合いが半端なく、これらがあるから浮きマナが少ない状況のメインフェイズむかつきだったり、直感からの1枚即死コンボなど新しい戦術が生まれている。たかが2枚のカードではあるがそれらを採用できないティムトラはほんの若干ではあるが下火というより周りが追いついたのかもしれない。
参考リスト:
ティムナ&クラム
Wheel of Fortune系カードを主軸としたOpus Thief型も人気だが、ここではむかつき特化のBlue Farmをメインにお話していこうと思う。
主な勝ち筋はデモコンタッサとブリーチコンボ、むかつきに加えて深淵への覗き込みも採用される。ティムトラの項目でお話した波止場の恐喝者と死の国からの脱出が非常に強く、それらを起点としたゲームエンドを目指すプランが多い。ティムトラと違い、速攻むかつきのパターンじゃない時はティムナよりも相方のクラムの早期着地を目指す。
まず先に目指すクラム自体はリソース戦を有利に進める為の札というよりもリスティックの研究みたいに相手に無理な動きをさせない抑止力としての役割が大きい。黒いプレイヤーに4点飛ばせるのも強いし、おまけで次のターンにティムナも出してドローに繋げられるのも優秀。
ティムトラよりも速いし爆発力も高い代わりに、リソース戦能力は抑えめだけどギリギリミッドレンジの体をしているイメージ。
弱点はティムトラ以上にアーティファクトへの依存度が高く、クラムが出てない/出せない状況で無のロッドや溜め込み屋のアウフが着地してしまうとランドゴーを続けざるを得なくなる。その場合は自分だけが無のロッドで困るパターンは少ないので、他のプレイヤーがしびれを切らして無のロッドを処理したタイミングでむかつきをぶっ放せるように耐える。
トリコロールカラー+αデッキ共通の直感スタートのブリーチコンボも強い。
参考リスト:
トラシオス&ブルース・タール
イコリアから勢いを増したデッキ、上記の2デッキと比べてリソース戦能力が非常に高い一方、黒が無いためチューターの数が少ない上にデモコンコンボを搭載できないのがネック。
主な勝ち筋は波止場の恐喝者+祝福されたエミエル/雲石の工芸品や玄武岩のモノリス/厳かなモノリス絡みのコンボで無限マナからのトラシオス無限起動。締めは破滅の終焉や永遠の証人ループ。
序盤のゲームプランはかなりシンプルでトラシオスと黎明起こし、ザーダのような起動能力コスト低減カードを並べて、構えながらリソースを伸ばしていく。
このデッキの強みはモノリスコンボの相方となるザーダやキナンがトラシオスとの相性が非常によいため、コンボデッキにありがちな死に札が無く安定したゲーム展開が期待できる。
ティムトラと比べてリソース戦に寄せてあるが、4cコントロールと違い除去札などに枠を割いていないいないためコントロールまで行かずギリギリミッドレンジデッキだと思う。
なんとこのデッキ、最近は赤いのに死の国からの脱出が採用されないことが多い。そもそもブリーチコンボのためには、死の国からの脱出、思考停止、ライオンの瞳のダイアモンドが必須で、それに加えてサブプラントしてのWheel of Fortune、1枚コンボの始動となる直感などと結構デッキスペースを使う。どれも単体ではこのデッキとの相性がそこまで良くないために死の国からの脱出ごとカットされているそうだ。(セヴィンの再利用だけは採用されてる)
こちらのデッキの弱点は黒がないゆえにデモコンタッサを採用できず、ゲームを終わらせるためには絶対にアーティファクトとクリーチャー両方の能力の起動が必須になるため、無のロッドや呪われたトーテム像が置かれていると止まってしまうこと。特にトーテム像はデッキのリソース戦の要となるトラシオスの起動を止めてくるので序盤から置かれると非常に辛い。
参考リスト:
こっちのリストは死の国からの脱出が採用されている
帰還した王、ケンリス
5cだから好きなもの何でも入れられるよ!!
実際その通りで、ミッドレンジのケンリスだと上記3デッキのやりたいことを全部混ぜました!!といった感じのリストが多いし強い。
ティムナのように2ターン目からアドバンテージを稼いだりするのは難しかったり、トラシオスほどドローに小回りが効かないのがネック。
一方、クラムのように殴り性能が高かったり、ライフ回復からむかつきを伸ばしたり、墓地からタッサの信託者を釣ってきたりと芸達者である。
個人的に思うケンリスの一番の強みはドロー能力が対戦相手も対象に取れるところだと思う。これにより4マナさえ空いていれば相手はデモコンタッサができず、汚れた契約やジェイスに頼らざるを得なくなる。無事に自分にターンが回ってくるのであればトラシオスと同じように余ったマナをリソースに変換できる。
細かいところだとリアニメイト効果を持っているので、パートナーデッキと比べて適者生存を強く使えるのもグッドだと思う。
ゲームプランは上記3デッキのどれに寄せるかで変わってくるのでここでは割愛する。
参考リスト:
今のメタゲームにおけるミッドレンジの立ち位置
むかつきが非常に強いので、速く5マナを用意できる+むかつきが通らなさそうなら他の強い札を確実に出せるミッドレンジデッキは間違いなく強い。
しかし相手のボードにあまりちょっかいを出せない構成のため、ヘリオッドなどの置物で制圧していくタイプのデッキが流行ると厳しくなるかもしれない。(ちなみに先日のOkotober Festでヘリオッドがファイナリスト)
もし法の定め系カードが流行るのであれば、デモコン系ミッドレンジは隠遁ドルイドや預言する妖術使いのような先に置いておいて次のターンにタッサの信託者を出すプランを採用するようになるのかもしれない。
おしまい
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?