時間

おばあさんが差し伸べた手に手を合わせたが特に何も起きなかった。僕が不思議な顔をしているとおばあさんは、もう既に狭間におるんじゃよ。と教えてくれた。時は今ここしかないんじゃ。過去のことや未来のことは無いんじゃよ。忘れ物を届けに来たと言ったが、何を忘れたか分かるか?とおばあさんは聞いて来た。僕は分からないと首を横に振りおばあさんが教えてくれるのを待った。おばあさんは忘れたと言い笑った。最近物忘れが酷くてのう・・・と言った。おばあさんはそろそろ帰るかのうと言って席を立った。僕はなぜか立ち去るおばあさんをただ呆然と見ていた。気づくと僕一人になっており夏子さんもたく君もいない。それどころか喫茶店の店員さんもいない。僕は三人分の支払いを机に置き店を出た。頭がすごく混乱していた。今何が起こっているか分からない。みんなどこに行ったんだ?家に帰ろうと街を歩いていた。家に着いて気付いたが、家に着くまで誰一人とも会わなかった。僕は誰とも会わなかったのは偶然だろうと思っていた。
夜になってすごくお腹が空いていたので、ご飯を炊いて、卵入りの味噌汁を作り、鮭を焼いて食べた。料理をしている合間に我慢できずキャベツと塩昆布をごま油で和え、それをつまみにビールを飲んだ。久しぶりにまともなご飯時間を過ごしている気がした。飲まなければいいのだがビールばかりだと太ると思い、安いネットで定期的に注文しているジョニーウォーカーレッドをペリエで割ってレモン果汁を入れ2杯飲んだ。
テレビを付けずに音楽を聴きながら食事をし、食事が終わったあとも作ったハイボールを飲みながらソファーに寝転びながら本を読んでいた。うとうとしていたが暫く家を空けていたせいか洗濯物が溜っているいることに気づき、明日の天気が気になりちょうどニュースの時間だったのでテレビを付けた。黒いスーツを着たキャスター?がテレビに写っていた。そのキャスターは○○君(僕の名前だ)やっと話ができる。君にお願いがあると話し始めた。

続く

#小説

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?