パスカル(Pa)とデシベル(dB)の関係
大声と感じる大きさは、個人によって異なるが、一般的には60dB(デシベル)以上の音量だといわれている。
といっても、いまいちピンとこないと思うので、参考までに例を挙げると、一般的な会話は約60dB、通常の道路交通は70dB、音楽のライブ演奏や100dB以上といったイメージだ。
と説明しても、それでも音の大きさというものは抽象的に感じてしまう人が多いと思う。
かくいう私もデシベル(dB)という言葉は聞いたことがあっても、正直よくわかっていない単位だということで向き合うことにした。
音の大きさを測る単位
くり返しになるが、デシベル(dB)という単位をなんとなく音の大きさの単位として把握している人はほとんどだろう。
まさにそのとおりで、音の大きさを測る単位はデシベル(dB)だ。
デシベルは、音圧の対数スケールで表される。
つまり、デシベルが1増えると、実際の音の強さは10倍になる。
例えば、60dBの音は、50dBよりも10倍大きな音圧を持つことになる。
一般的に、人間が聴くことができる最小の音圧は約0dBで、聴力が損なわれた状態でも通常の会話を聞くためには約40dB以上の音圧が必要といわれている。
ただし、100dBを超える音は聴覚障害や聴力損失の原因になる可能性があるため、注意が必要だともいわれている。
デシベル(dB)の参考数値
デシベル(dB)は、一般的には下記のように表現されることが多い。
0 dB:人間の聴覚が感知できる最小の音圧
20 dB:静かな図書館内や夜間の住宅街の環境音
60 dB:一般的な会話やテレビの音量を大きくした程度の音圧
80 dB:都市部の交通や工場内の騒音
100 dB:ロックコンサートや、モーターサイクルやジェットエンジンのような騒々しい音
120 dB以上:爆発音や銃声のような非常に大きな音圧
注意が必要なのは、デシベルは対数スケールで表されるため、10 dBの差は実際の音圧が10倍になることを意味している。
つまり、80 dBの音は、70 dBよりも10倍大きな音圧を持ち、100 dBの音は80 dBよりも100倍大きな音圧を持っているということになる。
音の大きさの指標の1つ音圧
勘のいい人は、しばしば音圧という言葉が登場していることに気がついているだろう。
それでは、音圧とはなんなのか。
音圧は、音の大きさを表す指標の1つで、単位はパスカル(Pa)を用いる。
一般的には、音波が物体や空気中を伝わるときに引き起こす圧力の強さを表している。
また、音圧は人間の耳に聞こえる音の大きさを決定するために重要な指標だ。
低い音圧の音は静かで、高い音圧の音は大きく、通常の範囲では20 μPa(マイクロパスカル)から約20 Paまで変化する。
例えば、通常の会話の音圧は約20 μPa、大声で話すと約2 Paになるといった具合いだ。
ただし、騒音が強すぎる場合は、耳にダメージを与える可能性があるため、注意が必要だ。
そして、音圧とデシベル(dB)には密接な関係があることは言うまでもないだろう。
デシベルは、音圧を対数スケールで表したものであり、音圧が1 Paの場合は、0 dBとなる。
つまり、デシベルが1増えると、音圧は10倍になるというわけだ。
デシベル(dB)とパスカル(Pa)の関係
もう少し、デシベルとパスカルの関係を詳しく書いていこう。
デシベル(dB)とパスカル(Pa)は、音の物理量を測定するための異なる単位だ。
そして、デシベルは音圧の対数スケールを表し、パスカルは音圧を表しているというのは、何度も書いてきたとおりだ。
また、一般的に音圧が1 Paの場合、その音の強さは0 dBと表される。
つまり、0 dBは、参照音圧としての1 Paと比較して、その音の圧力レベルを表しているということになる。
デシベル(dB)の計算式は、下記のとおりだ。
ここで、Lpは音圧レベル(dB)、pは実際の音圧(Pa)、prefは参照音圧であり、通常は20 μPa(0.00002 Pa)だ。
例えば、音圧が0.01 Paの場合、それに対する音圧レベル(Lp)は以下のように計算できる。
要するに、0.01 Paの音圧は、参照音圧(20 μPa)の約500倍の音圧レベルであり、86 dBの音圧レベルに相当する。
何度も出ているが大切なところなので何度も書くが、注意が必要なのは、デシベルは対数スケールで表されるため、デシベルが1増えると、実際の音圧は10倍になることだ。
例えば、90 dBの音圧レベルは、80 dBの音圧レベルよりも実際の音圧が10倍大きいことを示しているというのは上述してきたとおりだ。
対数スケールとは?
対数スケールという言葉もしばしば出てきており、難しく感じる人もいると思うので、説明していこう。
簡単に言うと、対数スケールとは、数値の表現において、等比級数的な変化を等差級数的に表すために用いられるスケールのことだ。
対数スケールでは、等比数列の数列を、等差数列の数列に変換することができる。
通常の線型スケールでは、数値が1単位増えると、値も1単位増える。
ところが、対数スケールでは、数値の増加に応じて、増加率が指数関数的に変化する。
つまり、ある数値の対数が1単位増えると、その数値自体が10倍になる。
例えば、1から10までの数値は、1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10だが、その対数は、0, 0.301, 0.477, 0.602, 0.699, 0.778, 0.845, 0.903, 0.954, 1.000となる。
対数スケールでは、1から2、2から4、4から8といった数値の増加幅が等しいという特徴がある。
音圧や音量などの物理量の場合、その値の増加幅が指数関数的であるため、対数スケールがしばしば用いられている。
デシベルは、音の強度を表す際に対数スケールを用いた単位であり、音圧や音量の対数的な変化を表現することができるのは上述してきたとおりだ。
また、対数スケールによって、音圧や音量の増加幅をより直感的に理解することができる。
そんな対数スケールは、様々な分野で利用されている。
例えば、音圧以外にも地震の強さなどの物理量は、対数スケールで表されることが多い。
これは、地震の強さなどの物理量が大きくなると、実際の数値が非常に大きくなるため、対数スケールを使うことで数値の扱いや比較が容易になるためだ。
そして、対数スケールにおいて、ある数値xが、底がaの対数関数によって表される場合、以下のように表される。
例えば、10を底とする対数スケールでのlog10(100)は、2となる。
この場合、100は10の2乗と表すことができるということになる。
対数スケールにおいて、値が1増えると、実際の値は底の数(例えば、10)倍になる。
例えば、log10(1000)は、3となる。
つまり、1,000は10の3乗と表すことができるわけだ。
このように、対数スケールでは、値の増減を容易に比較することができる。
少し触れたが、対数スケールは、音以外の様々な測定にも使用される場合がある。
例えば、地震の強さを表すマグニチュードや、光の強度を表すデシベルなどが挙げられる。
これもくり返しになるが、対数スケールは、非常に大きな範囲での値の比較が必要な場合に有用であり、物理学や工学、統計学などの分野で広く使用されているというわけだ。
まとめ
音量についてまとめてきたが、人間が出せる最大の音量は、一般的に約130デシベル(dB)程度とされている。
ところが、この音量は、非常に短時間しか維持できない場合がほとんどで、長時間に渡って出し続けることはできない。
また、当然ながらこの音量は、個人差や年齢、体調などによっても異なる。
さらに、注意が必要なのは、130デシベルを超える音量は、聴覚障害や耳鳴り、聴力の低下などのリスクを伴う。
長時間に渡って130デシベル以上の音量にさらされると、聴覚障害が発生する可能性が高くなる。
そのため、大音量の音楽や騒音を聴くときは、耳栓などの保護具を使用することが重要だ。
音量を測定する場合は、デシベルメーターなどの専用の測定器を使用することが一般的だ。
そして、音量の感じ方は人によって異なるため、同じ音量でも個人差があることにも注意が必要だということも併せて覚えておくといいだろう。
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