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MIKUEC2022 PAさんの備忘録
はじめに
みなさん、お久しぶりです。VLL音響担当のMURAKAMIです。
一年ぶりの投稿です。
MIKUEC2022、無事に終わってほんとよかった。
アレですね、みなさんが思ってるよりも深刻だったんですよ。
みなさんの多くが当日の舞台裏について
「わたし、気になります!」
と思ってそうなので、秘密をここで教えてあげましょう!
(今年度で私はVLLから立ち去るので、引き継ぎのことも考えて、ここにMIKUEC2022で起こったトラブルを怪文書で残しておきます。)
トラブルの主犯
MIKUEC2022で起きたトラブルの主犯はこの子です。
Stage Boxちゃんです。
この機材はですね、デジ卓(QU-32)とLANケーブルで繋いで
A/DまたはD/A変換およびプリアンプの役割をします。
MIKUEC2022ではStage Boxを2つ使用していたのですが、そのうち1つが故障で漏電していたんですよ。
では、トラブルの主犯を把握した上で、時系列でお話ししましょう。
(私視点でこっから先読んでみてね)
https://www.soundhouse.co.jp/products/detail/item/233473/
直前リハ (第一回公演当日の午前)
今年は卒研で忙しいので、息抜きに、、ね、、、
まぁ他の班に比べてPAは、デジ卓の設定くらいしかやることないので、ふらっとたまに参加して色々どうにかしてました(もうフラグ)
そんなこんなで、本番当日がやってきました。
高校1年のときから音響卓に触っていたので、もう緊張も何もなく落ち着いてました。落ち着きすぎて本番当日の実感なかったすね()
MIKUEC2021に比べて、MIKUEC2022は全体的に背伸びをした分、進捗がよろしくなかったデスネ
映像機材班等のコンテンツ確認で15:00を余裕で過ぎてました。
え、私?デジ卓の設定は本番5日前の時点でほぼ完了していたので、コンテンツ確認の当時は特にやることなく大人しく見守ってました。
ここまで、トラブルは何もなく、楽勝でMIKUEC2022のPAを終えてVLLから立ち去る気で満々でした。
おそらく15:20くらいですね、異変が起きたの
プロセニアムスピーカーのRの音が小さいことに気づいた後輩たちが騒いでね、、、
当時私は、講堂備え付けのスピーカーシステムの不調を疑いました。
プロセニアムスピーカーのRが接続不良であると考えていたんですよ。
スピーカーシステムを再起動するとプロセニアムスピーカーのRが断線して鳴らなくなるリスクがあり、このままの状態で本番を乗り切ろうと考えて再起動を渋ったのですが、後輩の意見を聞きながら考え直してスピーカーシステムを再起動してみました。
運が良かったので、プロセニアムRが復旧しました。
まぁこれで済むんだったらよかったんですよ。。。
この時点でStageBoxを疑うべきだった、、、
お先真っ暗になったのは15:50
もうそろそろお客さんを入れる時間です。
ここで事件が起きました。
「「「ブチッ」」」
って嫌な音がしたんですよ。
トークバックで確認したら講堂のスピーカーが全滅しててですね、、、
慌てて再起動してみたんですけどこれでも治らない、、、
デジ卓の状態を確認したらStageBoxと接続が切れていることに気づきます。
LAN繋ぎ直して、デジ卓再起動
運が良かったので、スピーカーシステムが復旧しました。
15:58、ギリギリセーフ
もうこの時点で鬱でした。きっと死んだ目を、、、
ライブが中止するかもしれないことを覚悟していました。
そりゃ原因がよくわからないからですよ。
もう何が起きてもおかしくない。
![](https://assets.st-note.com/img/1672044932295-AzCnIpimlf.jpg?width=1200)
第一公演目
賑やかになってる客席とは対照的に、機材卓では緊張が走ってました。
残念ながら予想が的中。
ビバハピでミクさんがスピーカーシステムをカバディしました。
もう終わりです。
心が折れました。
いやーライブ中断ミスをしたの人生で初っすよ。
![](https://assets.st-note.com/img/1672045528002-R1g8N6JnkZ.jpg?width=1200)
当時何やったか、あまり思い出せません。とにかく走ったのは覚えてます。
スピーカーシステム再起動で復旧したのですが、
「あ、あー、マイクチェック、おっけ〜?」
でまた落ちました。
もしかして : 狙ってる?????
とりあえずもう一回再起動して復旧したからヨシッ
事前に準備をしたおかげで、自己最高にクレイジーなぶち上げサウンドが響いてるのに、、、なんでだろう、、、全然楽しくない、、、
お客さんは怒って帰ることなく、みんな残ってぶち上がってる
同じ空間にいるのに違う世界に見えました。
機材卓ではお通夜になってたの、よく覚えてます。
どうにかなって、ビバハピ以外は完走しました。
公演終了後、スタンディングオベーション && ありがとう && 盛大な拍手
絶賛の嵐、人生初ですよ
あの、、心が追いつかなくて、、あの時は呆然と突っ立ってました。
そのまま立ってるのは失礼なので、会釈はしたのですが
ただただ呆然としてました。
帰りの電車
まぁ絶賛の嵐だったんですけど、心が受け入れてくれなくてですね、、、
どうせ、怒りのツイートで溢れかえってるでしょうと
怖いものは気になってしょうがないので、エゴサしてみました。
あれ、、怒りのツイート、、みつからない、、、
スクロールして、、探して、、すると、これが目に止まりました。
![](https://assets.st-note.com/img/1672046737072-F2DCU1afsB.png?width=1200)
みなさん、これ、反則ですよ
ずるいですよ
このタグでやっと心が追いつきました。
自然と泣いちゃった
お客さんは敵じゃないんだと
みんな聴きたくてここにくるんだと
そういったことが伝わってきました。
![](https://assets.st-note.com/img/1672047236155-b7l6e0mTbS.jpg?width=1200)
第二公演目
趣味でPAやるの楽しかったな
いい最終回だった
ミクさん「ライブはまだまだ、始まってすらいないよ?」
では2公演目
引き継ぎのことも考えて、後輩がデジ卓をオペレート
どうでしたか?オペレータが変わると音も変わるんです。
というものの、第二公演前にトラブル防止で設定を少しだけ変えて、出力を控えめにしてたんです。
寝起きに優しくて良かったと思います。
しかし神は許してくれなかった
アンコール前ソングのとき
スピーカーシステム落ちました。
もしかして : 狙ってる???
再起動して復旧
ビバハピ完走できたからヨシッ
(ビバハピのとき、お祈りしてました)
第三公演目
14:00くらいだったでしょうか。
ここでやっとトラブルの原因がわかってきまして
Stage Boxに辿り着きます。
ここで一か八かの決断をします。
アップデート内容
Stage Boxを2つから1つへ変更
(出力端子が8つ減ります)デジ卓とStage Box間をLANで直結
(講堂備え付けのLANケーブルの使用を控えた)デジ卓の電源コンセントの場所を変更
本番まで残り2時間
さぁどうなる!!??
書くの疲れた、ちょっと休みます。
こんにちは、紲星あかりです。
RTA実況を担当します。
14:00からタイマースタートです。対戦よろしくお願いします。
ではまず講堂備え付けのスピーカーシステムの結線作業から開始します。
![](https://assets.st-note.com/img/1672121016815-prPkYvMm2b.jpg?width=1200)
(撮影日は本番二日間とは別の日)
自作のパッチ表をみてみましょう
変更前のパッチ表です。
![](https://assets.st-note.com/img/1672119876776-wNFrKfCE5M.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1672119921530-loGAXuUQik.png?width=1200)
StageBox1が漏電して頭ブロッコリーになってます。
StageBox1を取っ払ってStageBox2を使えばよいのです。
事前にStageBoxが2つ使えるとき、1つ使えるとき、使えないときで場合分けして作成しています。
StageBoxが1つ使えるときのパッチ表をみてましょう
![](https://assets.st-note.com/img/1672120065049-86NyPRHpTB.png?width=1200)
出力端子番号5,6,7,8は、変更しなくてよさそうですね。
では、出力端子番号1,2,3,4を変更します。
この表のままでは、第一公演、第二公演と音が大きく変わってしまうので、表に書いてあることは無視して工夫をしましょう
講堂備え付けのスピーカーシステムには、「プロセニアム・メイン・サブロー・センター」をまとめて出力する端子「全体LR」が用意されているので
出力端子番号1,2を「全体LR」に変更します。
出力端子番号3をシーリング2F、出力端子番号4をシーリング3Fに変更します。ここまでの作業は立ち上げを繋ぎかえるだけなのでそこまで時間はかかりません。
問題は中抜け用スピーカーです。中抜け用スピーカーはカスケード接続で対処します。外側に設置している中抜けの入力端子と内側に設置している中抜けの入力端子を接続します。
カスケード接続の作業は後輩に任せて、デジ卓の設定に取り掛かります。
デジ卓に繋ぐ電源コンセントの場所を変更してからの、デジ卓起動
これまでのセーブデータは役に立たないので、初期設定にリセットして設定しなおします。
パッチの設定、これは簡単ですね、すぐに終わります。
GEQ、遅延時間の設定
あらかじめ、エクセルで音響測定のデータを記録していたのでそれをみながら設定します。これも簡単AUX(Mix)の設定
パッチの情報を暗記しているので、爆速で設定配信の設定
ガンマイクは繋ぎっぱなしで、入力端子の情報も暗記していたので、爆速で設定
デジ卓の設定が終わる頃には、中抜けのカスケード接続の作業も終わってるので、続いて、中抜け用スピーカーの設定をします。
「全体LR」は低音域が控えめなので、HPFの設定を解除します。
スピーカーシステムを起動して、音響特性を確認します。
リファレンス曲は"The Reason"と"Still into you"
聴いた感じ大丈夫そう
音響特性を聴いて確認してタイマーストップです。
時間は大体1時間で、15:00に完走しました。
完走した感想ですが、事前にデータを揃えていたおかげでスピーディーに復旧しました。過去の自分に感謝です。
RTA実況は以上で終わりです。対戦ありがとうございました。
説明しよう
ずんだもんなのだ。少し難しい解説をするのだ。(怪文書)
音響測定について
音響測定ではピンクノイズを使用するのだ
第一公演に来たお客さんはわかると思うが、トラブル時に砂嵐の音が聴こえたはずなのだ、これがピンクノイズなのだ
理論上、パルス音やホワイトノイズを使用するのが望ましいのだが、技術上それらの音源だとスピーカーが破損してしまうかもなのだ
ピンクノイズはオクターブバンドスペクトルで解析するとフラットになる性質があるから音響測定に使えるのだ。ピンクノイズのスペクトル表示と楽曲のスペクトル表示は形が似ているから、スピーカーを壊すことなくかつ人の耳で音質を確認できるから便利なのだ。
ピンクノイズを再生して周波数特性がフラットである測定用マイクで録音した音源をオクターブスペクトルで解析して、その解析結果をもとにGEQを調整するのだが、めんどくさいのだ。
そこで、MATLABを使うのだ
これは自作で作ったコードなのだ。遊びで作ったからバグありなのだ。
まずはピンクノイズを解析した結果をみせてあげよう
![](https://assets.st-note.com/img/1672123885887-LI0l5dttZq.jpg?width=1200)
こんな感じにピンクノイズはオクターブバンドスペクトルで解析するとフラットになるのだ。
では、プロセニアムスピーカーを測定したデータを例にみせてあげるのだ
まずは、ピンクノイズを再生して録音したデータ
解析結果はこんな感じなのだ
![](https://assets.st-note.com/img/1672124333740-w8J8fziMP6.jpg?width=1200)
これをコネコネして
![](https://assets.st-note.com/img/1672124361424-xQ6Y0dp3PW.jpg?width=1200)
低周波が削れているのは、あらかじめシェルビングフィルタでローをカットしているからなのだ。HPFを使いたかったのだが、デジ卓に装備されていなかったから仕方なかったのだ。サブロー以外のスピーカーは低周波の再生がよろしくないから削っているのだ。そうすると振動板に無駄な力がかからなくなってパフォーマンスが向上するのだ。
ここまでのグラフから出る杭をどこまで打つかを読み取るのはめんどくさいのだ。だからヒストグラムで統計をみるのだ
![](https://assets.st-note.com/img/1672124606054-lNkO6SdiXI.jpg?width=1200)
このヒストグラムからモードを読み取って
![](https://assets.st-note.com/img/1672124724274-yXEHmAtV1w.png)
この表が出力されるのだ。ここまで全自動なのだ。
GEQについて
上の表を参考にGEQを調整するのだ
![](https://assets.st-note.com/img/1672126566359-vfLLD4UdnX.png?width=1200)
GEQはこれなのだ。
GEQの取り扱いには気をつけるのだ。わかりやすい見た目をしているけど、これは落とし穴なのだ。
上の画像のフィルタの本当の姿はこれなのだ。複素平面上のベクトル軌跡を表しているのだ。
![](https://assets.st-note.com/img/1672200350440-WCy4xI6eXw.jpg?width=1200)
周波数ごとの特性が上の軌跡からは読み取れないから、ボード線図があるのだ。まずは、振幅の情報を表したゲイン線図から
![](https://assets.st-note.com/img/1672126810291-Qgol4EexiM.jpg?width=1200)
続いて、位相の情報を表した位相線図
![](https://assets.st-note.com/img/1672126878598-Z0ymplw1nJ.jpg?width=1200)
このようにGEQは振幅だけでなく位相も変えてしまうのだ。
GEQでいじるポイントが増えると位相が乱れて、位相ひずみが生じてしまうのだ。純粋に音質が悪くなるのだ。
だから、GEQをいじるポイントは3つで十分なのだ。
遅延時間の調整
電気信号は音速よりも速いのだ。だからこのまま再生してしまうと
サイド、シーリングから出た音がメインから出た音と揃わなくて綺麗に鳴らないのだ。
音速を340m/sと仮定して、スピーカー間の距離から遅延時間を計算するのだ。エクセルでコネコネすればいいのだ。
距離の計測はスマホのアレでいいのだ。そこまで精度はいらないのだ。
極性の確認
メインPCからの入力チャンネルで位相反転スイッチを押して、極性を確認するのだ、反転させた方が鳴りが良かったから反転させたのだ。
低周波の調整
人は低周波を吸音するから本番になるまで低音の特性がわからないのだ。
第一公演でなんとなく吸音がわかったのだ。
第一公演ではサブローにコンプかけてぶち上げサウンドにしたのだ。
第二公演はサブローのコンプやめて
第三公演は中抜けスピーカーのHPFを解除したのだ。
中抜けのHPFは
第一公演で100Hz
第二公演で80Hz
第三公演で0Hz
なのだ。
配信の設定
ガンマイクで環境音を入力
あらかじめ遅延させたメインPCの音源を入力
してMixしたのだ。
低周波はエネルギーがデカいから音割れ防止で
ガンマイク用の入力チャンネルに100HzのHPFをかけたのだ。
第三公演前のハプニングのおかげで、配信の音確認はせずにメーターと勘でバランスを調整したのだ。
説明する気がないから、最後に測定データをまとめたエクセルを載っけとくのだ、雑に作ってあるからあくまで参考なのだ。
話を戻そう
![](https://assets.st-note.com/img/1672128512870-2cRs5Rdo2U.jpg?width=1200)
話を戻しましょう
ゴタゴタのRTAは終わって
15:00以降はトラブルなしで順調
第三公演は大成功でした。
安心してPAできましたよ
![](https://assets.st-note.com/img/1672128592479-aRvZhWKUQ5.jpg?width=1200)
完走した感想
趣味で音響卓を触るのがMIKUEC2022で最後でした。
とても最終回らしいイベントが発生して
いいこと悪いこと色々あったけど
とても良い思い出となりました。
第一公演のスタンディングオベーション
あれは忘れられないでしょう
すべての公演でスタンディングオベーションあったのMIKUEC2022が初めてのような気がします。
私が立ち去ったあとのMIKUECがどこまで大規模になるか楽しみですね
MIKUEC2022にご来場されたお客様
最後まで帰ることなく完走してくれてありがとうございました。
趣味PA最終回でこんなに良い思い出作れてよかったです。
ほんとは楽勝でPA終わらせてこのツイートする予定だったんだけどなぁ、、、
ぼっち・ざ・ろっく
素材が便利すぎるw
![](https://assets.st-note.com/img/1672129082036-31vBxUo0Ow.jpg?width=1200)
MIKUEC2022 PAさんの備忘録
完
VLL
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