父に会いに

最寄りの駅前のショッピングセンターで九州物産展をやっており、そこに父の好物のお菓子、一口香が売っていたので買い求めた。父宛に送ろうかとも思ったのだが、会って渡した方がいいかなとも思い、メールしてみた。ちなみに、父は、隣の市の、私の最寄駅から3駅行ったところに住んでいる。
メールに返事が来て、午前10時に駅に行く、ということだったので、お菓子を持って、電車に乗って行った。
父は高齢で、コロナのことをすごく気にしていて、コロナにかかったら死ぬと思い込んでいる。コロナ前は、父に会う時は、食事したりお茶したりしたものだったが、コロナになってからは、会うことすらしていなかった。それが、しばらく前、「渡すものがあるから」と連絡があり、父の最寄駅に行ってみると、親戚からもらった海苔の佃煮やら、牛肉の大和煮の缶詰やら、そんなものを渡してくれ、駅の改札外でひとしきり話したのだった。
飲食がなければいいのか。まあ、そういうことらしい。なので、今日も、駅の改札の外の、申しわけ程度に置いてある椅子に座って待っていた。
父は、リュックサックを背負って現れた。そして、「ありがとう。お菓子はリュックサックに入れてくれ」と言うので、そのようにしてから、また、ひとしきり近況報告が始まった。父はどちらかと言うとおしゃべりなほうだ。
短い時間だったが、父に会えてよかった。お菓子ぐらいだったら、これからも持っていけるような気がした。父との時間、大切にしたいと思う。

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