思いもかけない怖さと嬉しさ

　街中を車椅子で走っている。街間の移動は電車、バスを使う。
　都内なら地下鉄をよく使う。
　地下鉄というくらいだから基本地面の下にあり改札、ホームに行くには下に降りなければならない。
　エレベーターがあれば良いのだがないところもある。そんな時は車椅子対応のエスカレーターを駅員を呼んで使うのだが、これが結構怖い。特に降りは崖の端に車椅子を停める感じで何かあったら落ちそうな感じがしてこればっかりはしょうがない。
　ある日オタク心を満たしにとある街に出向いた。その帰り嫌々ながらもそんな駅を使った。この駅は改札まではエレベーターがなくて変形するエスカレーターを使う。改札からホームはエレベーターがありそれを使える。
　ホームに行く為エレベーターに乗り込んだがその時同乗したのが車椅子の子供さんを連れたお母さんだった。
　その方に声をかけられた。
　あのエスカレーター怖いですよね。なんか堕ちそうで、と。
　私は思いっきり肯首してホントそうですよね！と応えた。
　あ、やっぱり自分だけじゃないんだ、という安心感と気持ちをいつにできた嬉しさが思わず湧き上がった。
　こんな気持ちしばらく味わってなくて、なんかよかったななんて思えた。

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