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宗教ガバナンス

1.現代において宗教は存続すべきか


今宗教ってやばいよね、そんな非科学的なこと信じるってやばいよねとか、自分の脳を錯覚している人が結構いる。
そういう人に限って、自分が困った時には(無意識に)神頼みしたり、クリスマス、その他宗教絡みのことを手間を惜しまず行う。要するに意識化できていないだけで、実際には非科学的なことを信じている。例えば、ルーレットで赤が9回連続きたら、10回目は白だとか。科学的とは言えないのに、自分が信じてみる。科学では再現性だけが命であるが、実際に人生は一つ一つが再現性があまりない。科学で解明されていないことの方が多い。
自己責任論とか科学的な考えと考えている人もいるが、単に文明が発達し、職業が分業化され、お金が一定の価値を有するようになったので、スムーズに気兼ねなく過ごす機会が増えただけで、社会全体でみると人は社会に依存して生きている。自己責任論は、単なる宗教であり、それもかなり危険な宗教である。
同様に、宗教ってこうあるべき論を述べる人は、大体は危険な人物である。特にマインドコントロールされているとか、宗教批判をする人は、何か目的を持つ人が多い。宗教弾圧で有名なのは、ユダヤ人虐殺、文化大革命などである。
宗教弾圧は、古来からあった。それは科学的ではないという趣旨ではない。単に、既存の力ある宗教を守る、又は、自分の権利を守るためであった。現在に至っては、宗教における不合理性を嫌って、宗教に対して関心を持たないレイヤーが過去より増えた。その結果、形骸化し、葬式仏教、宗教になってしまったケースもある。
そもそも、宗教は、人の利便性のために存在したのか。人間と動物の最大の違いは、共同幻想の大きさであった。サルには1万人の王国を作るのは難しいが、人間の場合1億2000万人の国家を作ることもできた。そして、そこに、貨幣という全く裏付けのない(食べることもできない)ものが価値として流通した。つまり、宗教は、人間の特性である共同幻想の一部分であった。
過去、ヨーロッパでは、教会税が領主の他に支払われなければならなかった。当時、死への恐怖、多くの自然災害の克服のため、狭い社会では、宗教が不可欠であった。信じること、それだけで救われる部分があった。
民主主義が、各々の宗教の出来を決めることは許されない。過去の多数を占める宗教は退廃し、新しい宗教ができることは多くある。何を信じるかは、個々の個人が決めることであり、家族が決めることでもない。その当事者が、どのコミュニティ(共同幻想)で生きるかは自分が決めるしかない。
つまり、どの宗教を信じようが、家族も、社会も、当事者でない限り当事者に制限を課さないのが原則である。
そして、法に違反した時のみ、大きな範囲での違法性ある行為として、宗教法人が裁かれるにすぎない。MAC信者であろうと、Google信者であろうと、法を順守している限り、批判をされる理由はないことは当然のことであろう。

2.宗教法人法における解散命令

その違法性について言及されたのが、81条1項1号である。



一 法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をしたこと。

(解散命令)第八十一条 裁判所は、宗教法人について左の各号の一に該当する事由があると認めたときは、所轄庁、利害関係人若しくは検察官の請求により又は職権で、その解散を命ずることができる。
一 法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をしたこと。
 第二条に規定する宗教団体の目的を著しく逸脱した行為をしたこと又は一年以上にわたつてその目的のための行為をしないこと。
 当該宗教法人が第二条第一号に掲げる宗教団体である場合には、礼拝の施設が滅失し、やむを得ない事由がないのにその滅失後二年以上にわたつてその施設を備えないこと。
 一年以上にわたつて代表役員及びその代務者を欠いていること。
 第十四条第一項又は第三十九条第一項の規定による認証に関する認証書を交付した日から一年を経過している場合において、当該宗教法人について第十四条第一項第一号又は第三十九条第一項第三号に掲げる要件を欠いていることが判明したこと。

法令と見る限り、一般国民から見ると、あらゆる法令。交通違反をしただけで、問題になる。そして、例えば、裸で歩けば、公序良俗違反、公然わいせつ罪になる。ヌーディストであれば、もはや解散は免れないというレベルで考えてしまうかもしれない。
しかし、考えてほしいのは、解散命令判決は、法人の死刑判決に近いのである。集団はあるが、法人格なき社団の場合、共同幻想をつなぐ礼拝堂が例えばその代表者名義になるという意味不明な状況になる。

この点、以下の判決がある。
【事件番号】東京高等裁判所決定/平成7年(ラ)第1331号
【判決日付】平成7年12月19日
宗教法人法は、「宗教団体が、礼拝の施設その他の財産を所有し、これを維持運用し、その他その目的達成のための業務及び事業を運営することに資するため、宗教団体に法律上の能力を与えること」(一条一項)を主要な目的とし、それに必要な措置を講じるために制定されたものであるが、これとともに、同法が八一条一項一号及び二号前段において宗教法人に対する解散命令制度を設けたのは、宗教団体が、国家又は他の宗教団体等と対立して武力抗争に及び、あるいは宗教の教義もしくは儀式行事の名の下に詐欺、一夫多妻、麻薬使用等の犯罪や反道徳的・反社会的行動を犯したことがあるという内外の数多くの歴史上明らかな事実に鑑み、同法が宗教団体に法人格を取得する道を開くときは、これにより法人格を取得した宗教団体が、法人格を利用して取得・集積した財産及びこれを基礎に築いた人的・物的組織等を濫用して、法の定める禁止規範もしくは命令規範に違反し、公共の福祉を害する行為に出る等の犯罪的、反道徳的・反社会的存在に化することがありうるところから、これを防止するための措置及び宗教法人がかかる存在となったときにこれに対処するための措置を設ける必要があるとされ、かかる措置の一つとして、右のような存在となった宗教法人の法人格を剥奪し、その世俗的な財産関係を清算するための制度を設けることが必要不可欠であるとされたからにほかならない。右のような同法八一条一項一号及び二号前段所定の宗教法人に対する解散命令制度が設けられた理由及びその目的に照らすと、右規定にいう「宗教法人について」の「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為」(一号)、「二条に規定する宗教団体の目的を著しく逸脱した行為」(二号前段)とは、宗教法人の代表役員等が法人の名の下において取得・集積した財産及びこれを基礎に築いた人的・物的組織等を利用してした行為であって、社会通念に照らして、当該宗教法人の行為であるといえるうえ、刑法等の実定法規の定める禁止規範又は命令規範に違反するものであって、しかもそれが著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為、又は宗教法人法二条に規定する宗教団体の目的を著しく逸脱したと認められる行為をいうものと解するのが相当である。
なお、最高裁は以上の判決を是認したにすぎず、特に詳細に記載はしていない。
【事件番号】最高裁判所第1小法廷決定/平成8年(ク)第8号
【判決日付】平成8年1月30日

この高裁判決は、明覚寺事件にも承継されている。
【事件番号】和歌山地方裁判所/平成11年(チ)第4号
【判決日付】平成14年1月24日
同各号所定の「法令に違反して,著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為」(1号)及び「第2条に規定する宗教団体の目的を著しく逸脱した行為」(2号)とは,宗教法人の代表役員等が法人の名の下において取得・集積した財産及びこれを基礎に築いた人的・物的組織等を利用してした行為であって,社会通念に照らして,当該宗教法人の行為であるといえる上,刑法等の実定法規の定める禁止規範又は命令規範に違反するものであって,しかもそれが著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為,または宗教法人法第2条に規定する宗教団体の目的を著しく逸脱したと認められる行為をいうものと解するのが相当である。

この判決は、そもそも法人において自然人ではないという側面で犯罪になじまないところ、宗教法人の代表役員等が財産や人的物的組織などを利用した行為であると認めた場合に、架橋理論として、刑法的な行為がなされたとして、法令違反に該当すると認定され、その影響が甚大な場合に、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為,または宗教法人法第2条に規定する宗教団体の目的を著しく逸脱したと認められる行為と認められるものと理解される。
この点、岸田首相は、民法の不法行為が入るという見解をした。

政府見解を変えることで、世論には迎合する形だが、民法上の不法行為は、刑法上のものと比較すると沢山ある。契約上の債務不履行は、民法上の不法行為の裏と表でもある。他の宗教団体にも飛び火が来る勢いである。

今の岸田政権の解釈をすると、何個もくだらない債務不履行的な不法行為を積み上げると、恰も解散命令請求ができる建付けである。だから、高裁は、刑法関係という限定をしているのだが。

3.宗教ガバナンスの必要性


これはあらゆる宗教団体に関係することである。なぜなら、宗派が割れることは沢山あることで、解散命令請求を仕掛けるのは意外と簡単だからである。
解散命令請求を仕掛けるには
①沢山の不法行為請求を相手方にする。
②マスメディアを使い、自分が被害者であることを伝える。
③離脱者を増やす
④その離脱者に多くの不法行為請求をしてもらう
⑤マスメディアに呼ぶかけて、とんでもない宗教団体であることを伝えていく
マスメディアは金が儲かるし、マスメディア経由が弁護士には案件が増える。そしてこの仕掛け人にも支持者が増える(よって献金が増える)。
新たなマーケットを狙うよりも、大きな宗教組織を削っていく方が、マスメディア、弁護団、そして宗教組織全体が儲かる仕組みがとれて、WinWinの仕組みをとれる。この点、マスメディアの使い方に疎い宗教団体に対してはより容易に削り取れる。
これらの手法ができれば、いつでも新しい勢力が作ることができる。

このことを述べてもピンと来ないかもしれない。なぜ、今?宗教ってすたれているオワコンなのではないか。何この炎上商法は?疑問に持たれるのも当然である。

1)なぜ今宗教は大事か


社会の変わり目で、DXによって多くの社会的な変動が必要とされ、学校や会社で学んだ知識の価値が急激に低下している。なんなら、AIで取って代われるのではないかと思う人も出てきている。
多くの経済の変わり目で、メンタル的な弱さが出てきて、宗教のニーズとマッチしてくる。東京に出てくる高度成長期時代においては、若い人はコミュニティが必要であり、そうしたコミュニティの母体として宗教が役に立ってきた。また、互助団体が必要なところ、国がかかる救助団体がない場合、宗教団体が対応してきた。これから国にはかかる福祉的な対応は徐々に難しくなる。なぜなら労働人口が減るからである。
節目節目で、何を信じるべきかが異なってきている。今はこの変革の時期に来ている。少なくてもDXの一環として、支払いは厳禁のみならずPaypayなどデジタルマネーになっていかないと、収益すら確保できない。

2)上の攻撃に対応する手法としては何が良いか。相手の思惑から考えていくべき


上の攻撃を仕掛けるのは、大体は内部で分裂を狙う側である。基本として仲が悪くなる率は、同じ宗教団体>異なる宗教団体>無宗教団体の順番である。同じ宗教団体は一番貴殿の宗教団体がいなくなることを望んでいる。
その請求を狙っている人間たちの思考を理解することが攻撃を避けるための有効手段を見つけるヒントになりやすい。

①彼らはまずは収益部分に着目する。


例えば、科学的に根拠のない説明について違法とする。例えば霊感商法は違法とする。霊感商法とは、科学的に根拠ないものについて、価値があるものとして販売することと考えられる。なお警視庁では、「単なるつぼや印鑑・置き物などに、あたかも超自然的な霊力があるように、言葉たくみに思わせて、不当に高い値段で売り込む商法」とする。

警視庁に関してはいかにも悪そうに見えるが、要するに、①科学的ではない説明をして、②不当に高い値段で売り込むことである。
Louis Vuittonは科学的ではない。。。ブランドはそもそも科学的なものではない。お守りも科学的ではない。お祓いも科学的でもない。占いも科学的でもない。あらゆるものが高いものであれば、霊感商法になる。不当に高いって、随分主観的なもので、100円でも1000円でも我々は高く感じる。10万円でも高い。1000万円でも、出したいと思っている人にとっては安い。
墓代でも、100万円高いと思う人沢山いるよね。。。。基準は定かなものではない。世論によって変わる基準である。

②次に構成員に着目する


ロイヤルティが高い構成員とそうでもない構成員がいる。恰もそうでもない構成員に関して、被害者に仕立てる。被害者ストーリーは偉大である。洗脳など、科学的に説明できないものも、世論では大きくアピール可能である。被害者としてアピールできれば、徐々に切り崩しは容易である。

③宗教法人が関与している強み部分に着目する

宗教団体は、様々な結婚問題などが発生する。理由は違う宗教は水と油のような関係になりやすい。そうした中で結婚の斡旋、養子の斡旋等様々な形で宗教法人は関与していたりした。勿論違法になってしまわないように配慮は必要であるが、偶にグレーゾーンに入ったりする。そうしたところを黒と決めてマスメディアに伝え、政府を動かそうとする。

④家族を狙う


請求を狙う人は、信者の家族を利用する。これは最初からそこを狙うと言っても良い。理由は、家族は一番体裁を気にして、信者の意思などを尊重しない。寧ろ家族の顔を大事にする。水と油のような関係になりやすい。家族をコントロールできれば、信者を離反させやすい。家族が熱を出し、離反活動をしたとしても、その請求を狙う人にとっては全く問題はなく、そのサポーターとして利益を得ることができる。

⑤マスメディアの協力を募る

マスメディアにとっては、自分の紙媒体やメディアが売れるのが優先事項である。被害者など大義があればなおさら良い。社会的な不安を煽れば煽るほど、社会問題になりやすく、収益が稼ぎやすい。新興宗教たたきはまさにおいしい。
家族がまずマスメディアで不安を募らせ、家族は信者を変えようと尽力する。家族vs宗教という大きなハレーションになってくる。そこには信者の信じる自由はそれほど尊重されない。

金、人、プロダクトを攻撃すると、大体団体は疲弊化する。それらが請求をしたいと願っている人間が狙っていることである。

宗教団体には様々な時期があり、カリスマ、エバンジェリスト、教会設立などの時期がある。大体問題を起こしやすいのはカリスマ、エバンジェリストの時期である。なぜなら、多くのステークホルダーが熱狂し、社会とのつながりを切って、新しい社会を作ろうとするからである。請求者が①②③④⑤を考慮して叩くのは、当然のこととも言えるだろう。

3)相手の思惑が分かるとどのような手段が有効かが分かってくる。それに対する備えをとればよいことになる。

①マスメディアが肝になる


上のモデルはマスメディアが根幹である。マスメディアが騒ぐことで政府が動き、一定の宗教が悪者になり、親族が信者の切り崩しを行うという流れがある。
とすると、PR関係のつながりをもつこと、その訓練の機会を持つことは必須である。宗教=マスメディアなどキラキラ関係ないと思うと、大体失敗する。
宗教団体が強く、個人が弱い、被害者であるというイメージでたたかれることが多い。とすればマスメディアで露出する場合、男性で強いイメージだけで戦うことは、かえって今の風潮からすれば叩きやすい鴨でしかない。
とすれば男性女性をPR部隊で組み込むことは必須のことである。トレーニングをしっかりし、マスメディアでたたかれても、マスメディアにとって面白くないリアクションができるように準備をしておくことが大事である。

②家族と信者は分かりあえるものではない


家族はもともと分かり合えるものではない。違う考え方で良く、距離をとるしかない。戦うこと自体が無駄である。このあたりの対策をちゃんと考えない限り、紛争は激化しやすい。

③分裂を防ぐ


実は、大事なのは分裂をさせない仕組み作りと、世代交代の仕組みを作ることである。世代交代をし若い人間が先頭に立っている場合、社会的に分裂しているイメージはない。しかし、年配の人がトップにいて、若い人が離反しているイメージは、より離反をしやすい環境にある。ならば組織改革をし、早期に若い人に世代交代をしておいた方が団体は存続しやすい。

④法律論だけで片づけない


法律論はそれなりには重要だが、世論と法律論は合致するものではない。法律論は法律論ではありながら、リアルの紛争(つまり裁判所まで)、法律論を出し過ぎない方が良い。理由は、手の内を読まれるだけではなく、紛争があると社会的に受け止められるからである。

⑤動きすぎない


信者からすれば、マスメディアから騒がれた時点で色々心配になり、団体としては動かざるを得ないことの方が多い。しかし、動けば動くほど社会的な関心が強くなるケースは多い。マスメディアとしては動いてくれるほどもうかるドル箱になる。
動かない方が、社会的な関心は低下し、面白くなくなる。つまらなさは大事なポイントになる。

⑥社会的にハレーションが起きそうなことは避ける


50代、60代の方が、宗教に熱狂し、献金をしてしまうケースは多くある。同様に、20代、30代の人が宗教に熱狂し、人生をささげるケースもある。何が問題か。実は後者よりも問題なのは、献金のように思われる。後者は自己の責任として片づけやすいが、前者はそうもいかない。数字が出てくる。その献金は、後々家族からすると自分の遺産部分だったとし、回収を狙ってくる可能性もある。お金を稼ぐのが困難な人物が不相当なお金を自分の老後のことを考えずに献金してしまえば社会的な不信につながりやすい。この問題はそもそも難しい。
回収が容易にできるとすると、銀行のようにいつでも返す仕組みになってそれも問題である。
この点、様々な宗教システムは、①病院を作ったり、②施設を作ったり、民間サービスに戻ってきている。献金という税金がかからない仕組みも考えられるが、お金がないという点で社会的な問題になりかねない。宗教がそもそも社会をよくするという仕組みを望んでいるならそのあたりのケアはしておくべきである。献金はほどほどにしつつ、民間ビジネスとして適切な判断を行うことが大事である。

⑦日ごろから善を積み重ねる。

宗教上の善行も大事だが、社会的に認められるには社会的にも良いことをすべきである。例えば、東日本大震災の時に新聞記事にのる程度のことを積み重ねる方が良い。こうしたことは、PR的にも好ましく、信者としても誇りになる事項である。家族の不安感も減りやすい。

今回は当たり前の7項目をあげた。実際には危機管理やコンプライアンスにおいては様々な留意事項はあるが、8000字に近く、一旦は終わりにする。



スキ、その他の行為は、元気玉として有効利用させていただきます。皆様のお力を少しでも世の中の改善に使わせていただきます。