はじめての入院
初めての入院。林さんに頼んで朝に迎えに来てもらい病院まで送ってもらう。周囲の人に恵まれているなぁ、と常々思うが、周囲に頼る人がいない場合の心細さといったら壮大なものなのだろうな。何せ、恵まれていると自覚がある俺ですら心細いのだから。(人一倍メンタル弱いのが要因でもあるが)
そもそも、入院する時の書類に『身元引受人』『連帯保証人』の欄があったのだが、書いてもらえる相手がいない時はどうしたら良いのだろうか。きっと何かしらの手立てはあるのだろうけれど、手立て云々の話ではない。一般的な社会観は、独り者にあたりが強い。少しずつ少しずつ壁が迫ってくるのだ。
手続きを終えてベッドに案内される。4人部屋だ。同室の人に自己紹介をするでもなく、挨拶をするでもなく、一区切りのスペースを自分のものとして得る。本来ならテレビ見放題、冷蔵庫使い放題の部屋で差額が発生してしまう予定だったのだが、テレビも見ないし冷蔵庫も使う気は無かったのでお願いしたところ設定を変えてくれて差額料金が発生しないで済む対応をしてくれた。ありがたい。もし言わなければ毎日千円以上加算されるのだから、言って良かった。
病院食はそれなりに美味しくて良かった。窓側の区画なので外の景色も見れる。コロナでのホテル療養時もよく外を眺めていたなぁ、と思い出す。
麻酔科医の診察を受け、リハビリの先生から説明を受け、松葉杖を初めて使う。歩行の仕方が3種類もあるとは知らなかった。普段目にしたことがあるものでも、使い方を知らないものがそこいらに溢れている。意味や用途を知ると、急に馴染みを感じるのは無機質なものに対する愛着が芽生えるということなのだろうか。人に対しても、相手を知るたびに親しみが増していく。
嫌悪する相手には?相手を知らないから嫌悪感を持つのか、相手を知っているから嫌悪感を持つのか、相手を知った気になっているから嫌悪感を持つのか。
手術は明日の14:00頃らしい。夜の21:00からは経口補水液しか飲んではいけないと言われる。(以前は点滴だったようだが、わざわざ痛い思いをして点滴をせずに、経口補水液で良いとされるようになったらしい)さらに明日の朝9:00からは何も口にしてはいけないとも。
手術は2時間、その後3時間は安静。ほぼ24時間、食べ物を全く口にしないことなんて今まであっただろうか?もともと食欲が少ないので、空腹にも耐えられるとは思うが、初めての経験なのでドキドキしている。
手術の説明に、「尿道カテーテル」とあった。想像するだけで痛々しく、免れたいと願っていたところ、どうやらカテーテルは使わずに済みそうだと言われた。しかし、確定ではないので、もしかしたら術後に麻酔が切れて目覚めた時、カテーテルが入っているかもしれないとも言われた。恐怖。
18:00の夕食後、19:30にシャワーを浴びる。四角い僅かなスペースでのシャワー。基本湯船に浸かる生活をしている自分にとっては、ただ身体を清潔にするだけの業務でしかない。
業務。嫌な響きだ。
ところで、21:00から明日の9:00までに経口補水液を1.5l。飲めるだろうか?
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