投資家が「お金」よりも大切にしていること

好きな本シリーズ。

藤野英人著
投資家が「お金」よりも大切にしていること

2013年2月第一刷発行

長年くすぶっていたモヤモヤがすっきりできた本。

著者は投資家、ファンドマネージャー。
バリバリ金融の世界の中枢にいる方でしょうが、これはお金の本というよりも、生き方の本だった。

私が特に感銘を受けたのは

第3章「人は、ただ生きているだけで価値がある」

の内容。

最近、生産性があるとかないとかで、世の中がざわついたりしていますが、私はその件に関しては、以前この本で腹に落ちた。
また読み返してみたけれど、やっぱりその通りと思う。

本当に簡単にまとめると、

経済は、政府・家計・企業をぐるぐる回っている。
消費活動は、この経済活動の一つ。
生きている人で消費していない人は一人もいない。
赤ちゃんだって、病気で意識のない人だって、みんなが消費している。
ミルク、肌着、オムツ・・・、病院に関わる人やベッド、シーツ、薬etc、それぞれに多くの人が関わり、経済は動いている。

社会貢献とは、新しい何かをつくりだすことだけではなく、消費することによっても成し遂げられるものです。
ですから、私たちが働くことにも大きな価値があるし、私たちが消費することにも同じくらい大きな価値があります。

生きているだけで価値がある

道徳心からとか、宗教団体の教えとか、単にきれいごとから言っているのではなく、お金の流れをいつも近いところから見ている著者の言葉だからこそ、心に響くものがあった。

確かに、消費者が存在しなければ、生産者も存在しない。
どんなにお金持ちでも、人間一人が食べる量は限りがあるだろうし、ケータイだって何十台もは使わないだろう。
一人一人が大切な消費者。

働いて、その分消費して・・・という人が多いでしょうが、消費するだけの人、消費するだけの時期があっても大きな流れからいったら、些細なことなのでは?

生産性が高いことだけがえらい?
10万稼ぐ人より、20万稼ぐ人の方がえらい?
じゃあ、ソフトバンクの孫社長みたいな人と比べたら、大抵の人は生産性ないも同じじゃない?

子供産む人は産まない人よりえらい?

いろんな事が平均なら安心できる?

私自身、何かと平均以下が引け目だった。
でも、引け目に思うこと自体が傲慢だった。
過度に引け目に思うと言うことは、状況が平均以上になった時には、そうじゃない人の事を見下す事に繋がったりするし、自分が持ってないものを持っている人のことが妬ましく思えてきたりもする。

見上げるも見下すもない。
経済の中では、お互いがなくてはならないのだから。

誰でも皆、もちろん私も、今のままで、生きているだけで価値がある。

そう自分を自分で認められたら、ほっとしたし、周りにも感謝できるようになった。
自分が出来ないことで、受け取れている事がどんなに多い事か!
っていうか、ほとんど。
経済の仕組みの素晴らしさよ!
私も、その仕組みの一員。

一人一人が、自分なりの好きな世界で生きていたら、それでいいのだと感じさせてもらえた。
自分の好きな世界に消費したい。

自分が目指す生き方がうまくいかない時もある。
病気になったり、誰かに助けてもらわなければ生きられない状況になる時もある。
そんな時も、それぞれ経済を動かしている価値ある一員なのだ。

この他にも、日本人の清貧の思想とかブラック企業のこととか、今までと違う視点から考えさせられる事がいっぱいの本だった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?