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ルバイヤートの話。

「ルバイヤート」という本をご存知ですか?

11世紀のイランの詩人であり学者でもあったウマル・ハイヤームによる詩集で、どの詩もみなルバーイイという四行詩なのですね。

僕はこの詩集がすごく好きなんです。なんか、あまりに身も蓋もないので爽快なんですよね。

たとえば、この詩。

恋する者と酒のみは地獄に行くと言う、
根も葉もない囈言にしかすぎぬ。
恋する者や酒のみが地獄に落ちたら、
天国は人影もなくさびれよう!

いや、そうですけど! 言ったらあかん!

あと、この詩も好きです。

若き日の絵巻は早も閉じてしまった、
命の春はいつのまにか暮れてしまった。
青春という命の季節は、いつ来て
いつ去るともなしに、過ぎてしまった。

時はお前のため花の装いをこらしているのに、
道学者などの言うことなどに耳を傾けるものでない。
この野辺を人はかぎりなく通って行く、
摘むべき花は早く摘むがよい、身を摘まれぬうちに。

それも言うたらあかん! 大人として!

中東っていうとイスラム圏だし、戒律とか厳しそうなイメージありますけど、こういう人もいるんですね。当たり前ですけど。

ていうか、この詩集の半分くらいは酒の詩なんですよね、この人。どんだけ酒飲みやねん。

死んだらおれの屍は野辺にすてて、
美酒を墓場の土にふりそそいで。
白骨が土と化したらその土から瓦を焼いて、
あの酒甕の蓋にして。

死んでも飲みたいか!

もう、筋金入りですよねえ。何かこの詩集読んでると頭の中で勝手に「酒が飲める飲めるぞー酒が飲めるぞー」の歌が流れてくるんですよね。ほんと仕方ねーなー、このおっさんは。って気持ちになります。

で、しかも美女が好きなんですよね、この人。

夜は明けた、起きようよ、ねえ酒姫
酒をのみ、琴を弾け、静かに、しずかに!
相宿の客は一人も目がさめぬよう、
立ち去った客もかえって来ぬように!

本当にねえ。酒が好きでエロいおっさんなんですよ、この人。もう、最悪じゃないですか。

でもね、そうかと思えば、こんな詩も詠むんですよね。

戸惑うわれらをのせてめぐる宇宙は、
たとえてみれば幻の走馬燈だ。
日の燈火を中にしてめぐるは空の輪台、
われらはその上を走りすぎる影絵だ。

ないものにも掌の中の風があり、
あるものには崩壊と不足しかない。
ないかと思えば、すべてのものがあり、
あるかと見れば、すべてのものがない。

えー。急な真面目な顔してそんな難しい話して!

もう、なんか、ずるいわー。別の意味でやらしいわー。

ほんと、最高です、この詩集。

アラビア語は読めないので詩としてのすごさは分からないんですけど、とりあえずこのおっさんが酒と美女と詩が大好きだってのは分かります。

なんか、それでいいんですよね。てか、それがいいんですよね、きっと。

ということで、また明日。

おやすみなさい。


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