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Vol.018 【ちょっと寄り道その2】なぜ良い写真が撮れないのか?〜実践編〜

またまた間が空いてしまい、申し訳ありません。前回のお話、覚えていますか?
なによりも、当事者意識を持つことが良い写真を撮る近道だと書きました。


なるほど、メンタルの部分はわかりました。では、実際に撮影する際に、テクニック的なことでなにか心がけておく事はあるでしょうか?

テクニックではありませんが、ここを押さえておくことで、良い写真の近道になる点はあります。
今回は、現場で良い写真を撮るための秘訣を皆さんにお伝えできればと思います。
(今回、作例としてLENSの社内勉強会にお邪魔させていただきました。使用するカメラは、広報で使用しているEOSkiss6iです。久々にミラーレスじゃない一眼レフの光学ファインダーを使うと、露出が分かりづらいですね。笑)

ファインダーで見る明るさと、実際の画像の明るさがずれるのは、昔は当たり前でしたがミラーレスに慣れるとすごく不便に感じます。チェックしてみると、露出オーバーです。ミラーレスじゃないと駄目な体になってしまいました。

撮るべきカットは大きく分けて3つ


先程書いたように、特別なテクニックは必要ありません。では、何をすればよいか?
どんなジャンル、どんな状況での撮影でも考え方は同じです。撮影する時に、3つのカテゴリーに分けて撮影してみましょう。その3つとは、

  • 「引き」

  • 「寄り」

  • 「遊び」

です。この3パターンを網羅しておけば、撮り漏れなどがなく、より良い写真が撮れる可能性が高まります。

「引き」の写真とは?

「引き」とは、広く撮った写真のことです。
部屋全体、被写体が全員写っている、などのことです。
「引き」の写真とは、よく言われる「5W1H」のようなものです。
いつ、どこで、誰が、なにを、どうしたのか?
それを伝えるためには、やはりある程度引いたカットが必要になります。その際は、あまりボカさず、ある程度の被写界深度がある写真が良いでしょう。面白みはないのかもしれませんが、状況をきちんと伝達するためには必要なカットです。
まずは、引いたカットを撮影して最低限押さえるべきカットを撮りましょう。

人数とか、場所とか、何をしているか?とか。引きのカットで、ある程度理解できますね。

「寄り」の写真とは?

「寄り」の写真は、引きで撮った状況を更に深堀りするためのものです。
働いている人の写真なら、その表情のアップ。
製品写真なら、特徴的な部分のアップ。
料理写真は、シズルを感じることのできる箇所のアップ。
ぐっと寄って、より雰囲気が伝わるような写真を撮ることで、観る人がわかりやすくなり、より強い印象を与えることができます。
どんな撮影にも、主題(メインテーマ)となる物があるはずです。寄りのカットは、いわばその主題を最大限に引き出すためのカットです。
「引き」では充分に引き出せなかった被写体の魅力を、「寄り」のカットでもっと訴求してみましょう。

真剣に聞いているのが、マスク越しからでもわかります。寄りのカットはそういう熱量を伝えるものです。

「遊び」の写真とは?


そして最後に「遊び」の写真です。
これは、正直決まりはありません。例えば、現場で自身が印象に残ったもの。手のアップだったり、調度品でいいな!と思ったもの。絵になりそうだな、すごくいいな!と思えば、一見あまり関係がないように見えても撮っておくことです。「遊び」のカットと書きましたが、デザインの構成上、こうした「余剰」のカットがあると、デザイナー側も、いろいろな構成案が作れるので、後で感謝されます。(笑)
「引き」と「寄り」である程度網羅できたら、最後に「遊び」のカットを追加して、さらに華を添える、そういった心構えで臨んでみましょう。

こういった手元のアップは、使い勝手がいいですよね。撮っておくと、重宝します!

(ちょっと小技)座る配置を工夫してみよう


話は少しそれますが、このような座談会形式(勉強会)の撮影をする場合、そもそも論として、
どこに座ってもらうか?どういう並びで座ってもらうか?
が、撮影を行う前の段取りとして重要になります。
上座下座がきっちりある場合は別ですが、自由に決めて良い場合は、撮りやすさや見栄えの良さなどで決めてみましょう。
たとえば窓が背景になるように座ってしまうと、一見して綺麗かもしれませんが、逆光の状況になるのでそのままだと顔などが暗くなりがちです。
ストロボなどで補えれば問題ありませんが、そういたことができない場合は、順光になるような向きに座ってもらうだけで、随分と撮影しやすくなります。

窓を向いた逆光のシーンは、やはり難しいです。
反対側に座ってもらうだけで、随分と撮影しやすくなりました。

また、人物の並び方も調整できるなら最大限工夫してみましょう。
5.6人で集まって撮影というシチュエーションは結構あります。そのときに注意すべきは「なるべくみんなの顔が写るように」です。
通常は、対面で座りますがそうすると顔が見える側と肩越しにしか映らない側に別れてしまいます。
数枚レイアウトできるなら良いのですが、紙面上1枚しか使えないとなると、映る側と映れない側に別れてしまい、不公平感が出てしまいます。

手前側の3人の顔が見えないですね。座り方は自然ですが。


かといって、全員が横並びに並べると、顔は全員写りますが、極端に横に長い写り方になってしまい、レイアウトしづらく、また人物も小さく写ってしまいがちです。

通称「最後の晩餐」カット。(笑)全員の顔は見えるけど、やはり横に長すぎですね。


僕がよく行うのが、テーブルの角を使って並んでもらうやり方です。そうすると、横に広がらず、また全員の顔が映る事が可能です。
実際には、こういった座り方はあまりしないかもしれません。ですが、ちょっと座り方を演出してあげるだけで、より良い写真が撮れるのです。
もちろん嘘はいけませんが、こういった工夫をしてみることも重要です!

こうして角を使えば、そこまで横に広がらず、また全員の顔も良く見えます。

「引き・寄り・遊び」の活用例

この「引き・寄り・遊び」の考え方は、建築、スナップ、料理など色々なジャンルで活用できます。下に、活用例を載せました。

引き
寄り
遊び
引き
寄り
遊び
引き
寄り
遊び

絶対じゃないけれど・・・・

この考え方が必ず正しいというわけでもありません。また、時間の制約によっては、ここまで網羅できない場合もあります。
ですが、できるだけこの3つのバリエーションを押さえられるように時間配分をしたり、シミュレーションをすることで、ノープランで挑むよりもきっといい写真を写す可能性は高まるはずです。
少なくとも「引き」と「寄り」は押さえましょう。そのときに心がけるのは。ただズームレンズを操作しての「引き」「寄り」ではなく、実際に自分が近づいたり、遠ざかったりしながら、この2種類のパターンを撮ることです。ズームの操作だけでは、単純に絵がアップになっただけの印象になってしまいます。実際に動いて、引きと寄りを切り替えることで見え方にバリエーションが生まれます。

「当事者意識」と「引き・寄り・遊び」
この2つの言葉、もし現場でどうしよう?と悩んだときは思い出してみてくださいね。

寄りのとき、思い切ってアングルをガラッと変えてみるのもいいでしょう。新しい発見があるかも!



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