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ディートリック・エンス100万ドルプレーヤーまでの軌跡

 TBからリリースされ、日本球団への移籍が取り沙汰されていたディートリック・エンス投手が西武ライオンズと契約を締結したと報じられました。時事通信の報道によると、年俸は1億円とドル換算で約100万ドル(少し遠いですが、、、)となりました。本記事では、エンス投手が契約に至ったと思われる球速の大幅アップまでの過程を簡単にまとめてみました。

〇エルパソ退団後に大きな変化

 エンスは2017年にMINでMLBデビューしましたが、当時は平均球速90mphの技巧は左腕でした。しかし、今季TBで4年ぶりのMLB昇格を果たすと、球速は平均で94.6mph、最速で約97mphを記録しました。

 この大きな成長は、2019年のエルパソ(SD傘下AAAのチーム)退団後に変化が必要だと考えたことが始まりのようです。翌2020年にSEAのスプリングトレーニングに参加するも、コロナ禍の影響で5月末にリリース。その後、フィラデルフィアの選手開発プログラムに参加し、これまでと異なる様々な投球ドリルを経てメカニクスを改善させたそうです。Rapsodoの活用も球速上昇に寄与したとのこと。

 一方、現実の生活を考え、パートタイムの仕事を検討するとともに、大学の経営管理プログラムに登録するなど、この時点ではプロを諦めるという選択肢もあったようです。

 しかし、メカニクスの改善を経て、球速の上昇が顕著であることが分かると、野球を続けたいと思うようになり、奥さんの後押しもあって独立リーグのタリー・モンスターズへの入団を決意しました。入団後は、コーチが足りない事情とMLBでの経験も相まって投手コーチを兼任することとなり、プレーヤーとしてのパフォーマンスの向上だけでなく、プレイヤーではない立場から試合を観る目線も養われたとのことです。

〇過去を知るスカウトを通したオファー

 TBからオファーをされた経緯は、ケビン・イバッハというスカウトが独立リーグの試合を観たことです。イバッハはエンスを大学生投手としてスカウトしたことがあり、当時と比較して「自分が覚えているエンスではない」と発言しています。

 その後は、TBの投手陣が相次いでIL入りしていた状況もあり、2020年8月に2年のマイナー契約を締結。2020年こそMLBでの登板機会がありませんでしたが、2021年に前年を上回るペースで投手が離脱した事情から同年8月に昇格。豪速球を武器に2勝2セーブ、防御率2.32と一定の活躍を見せました。

〇日本で望む活躍

 やはり、フルローテで最低2桁勝利、防御率3.50以下を目指してほしいところです。マット・ムーアが2020年に残した結果を考慮すると、同程度は行けると思います。ファストボールとブレーキングボールの質は非常に高く、MLBでも結果を残せるスペックです。半面、コマンドはやや不安定なので、マウンドが合わずに球速が出ないと、ボールを見極められて苦しむ可能性が高いでしょう。とにかく、MLBと同程度の球速を出すことが必須です。

〇個人的所感

 エンスはファンタジーベースボールのダイナスティで保有するなど、個人的に来シーズンのパフォーマンスに極めて大きな期待を持っていたのでNPB行きはやや寂しい気持ちです。しかし、1年と少し前まで引退も見据えざるをえない状況だったので、100万ドル近い年俸をオファーされる投手になった嬉しさの方が勝ります。来シーズンは西武ライオンズの期待に見合うパフォーマンスを見せてくれると信じています。

※画像はTampa Bay Timesより引用


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