2023年TDL、大谷選手のトレードバリューを考察する
2022年オフに少ないアセットを元に巧く補強をしたLAAですが、トラウト、レンドンの怪我離脱等もあり、2023年7月15日時点で勝率は5割を割り込んでいる状況です。大谷選手の放出は不透明ながら、LAAはオファーを聞く姿勢は示しているところです。今回は大谷選手のトレードの見返りについて考察したいと思います。
〇前提
まず、第一の前提として大谷選手の保有期間はレギュラーシーズン2か月+プレーオフであるということです。したがって比較対象は主にレンタル選手となります。トレード時点で2年半コントロールできたフアン・ソト選手のような見返りはありえないというのが当noteの認識です。
次に投打で計算できる戦力という意味で前代未聞であるということです。前段とは逆にはなりますが、過去のレンタル選手トレードを基準としながらも、少なくともそれを上回るレベルの見返りは見込めるのは間違いないということです。
〇過去のレンタル選手トレード一覧
まずは過去の主なレンタルトレードを並べます。
当時プロスペクトを卒業して若手主力として及第点のスタッツをあげていたケイシー・コッチマンが将来的な成長も込みでメインピースとなりました。コッチマン自身はプロスペクトとしては全体TOP20クラスでしたが、デビュー後のパフォーマンスで評価を落としていました。なお、+1人のマレクはLAA傘下トップ10内のリリーバープロスペクトでした。
サバシアの見返りのメインはラポータでしたが開花せず、この中でPTBNLだったブラントリーだけが大きく開花しました。なお、他の2人は当時のMIL傘下ではブラントリーより上でした。サバシアは移籍後、11勝2敗のERA1.65でMILは26年ぶりにプレーオフ進出しました。
クリフ・リーの見返りのメインはジャスティン・スモーク。こちらもBA全体TOP13と評価の高い選手でした。キャリアはSEA出てから開花した印象ですが。。。ベバン、ロウソンも当時のTEX傘下では上位でかなりのパッケージでした。なお、NYYが当時ヘスス・モンテロをメインとしたパッケージを提示して決まりかけたところ、TEXがスモークを提示して逆転しました。そのモンテロもその後、ピネダとのトレードでSEA入りしましたが残念なキャリアに終わっています。
グレインキーにはLAAが傘下TOP10内の3人を放出しました。メインは当時全体55位だったジーン・セグラです。レンタルと言えども傘下TOP10内3人は驚きです。セグラはその後、ARIで開花し、昨年までソリッドな内野手として活躍しました。
ジョン・レスターの見返りはFAまで3年以上あるバリバリ主力だったセスペデスとドラフト指名権でした。TOP100プロスペクト+2~3人のプロスペクトパッケージと3年以上残るMLB主力が概ね同じくらいと考えるとMLBでレギュラーを張ることの価値の大きさが分かります。
クエトのトレードもTOP100レベル1人を含む3人。ジョン・ラムとリードも傘下TOP30でしたが、リードはギリギリTOP30に入っていたレベルで移籍後に大きく伸びました。ただ、いずれもMLBではイマイチなキャリアに終わっています。
プライスの見返りは当時トッププロスペクトのノリス+2人。ノリスがいるために残り2人はそこまで上位のプロスペクトではありませんでした。しかし、実際にはノリスが鳴かず飛ばずでボイドがプチブレイクしたにとどまりました。個人的にはTBファンとして1年経ってノリスが手に入るのかと地団太を踏みましたが、今思えば、スマイリー・フランクリンの2人の若手MLB選手+アダメスという将来のトッププロスペクトは正解でしたね。
ダルビッシュのトレードは当時TEXフロントが苦戦してデッドライン過ぎてから報道が流れたと記憶しています。苦戦しただけあってかなり値切られた印象のパッケージです。カルフーンは控え選手としてジャーニーマンとなっています。残り2人は当時10代のA以下のマイナー選手でしたのでパッケージの2~3番手も相当妥協を強いられたことがうかがわれます。
マチャドのトレードもまた見返りが小さいという批判を受けていた記憶があります。2010年代半ばからプロスペクトを守るスタンスが強まった印象です。ディアスは2018年シーズン中に評価を上げましたが開花しませんでした。この中ではクレマーがBALのローテに成長しています。
最後にターナー付ではありますが、シャーザーのトレードです。2人セットということもあり、全体TOP100クラスが2人もいました。2人とも苦戦していますが、グレイは今季やや成長が見られます。実は大谷トレードの見返りのヒントはこのトレードにあると考えています。
〇結論
大物選手のレンタルトレードの一覧ですが、個人的には2012年までと2014年以降でプロスペクトパッケージのメインが小粒になった印象があります。メインが全体TOP100でも50位には届かないか、セスペデスのようにMLB主力1人に切り替えるなど売り手が妥協を強いられている印象です。
また、レンタルに限らないトレードも合わせてみると、レンタル選手にはプロスペクトを出し惜しみする一方、翌年以降もコントロールできる選手にはプロスペクトを出し惜しみしないというのが最近のトレンドのようにも見えます。
個人的にはシャーザーとターナーが合わせてfWAR6.5だったところ、シーズン前TOP100以内だったが、TOP50には入らなかった2人というのが印象的です。大谷の今季のfWARが6.2である点を考慮すると、シャーザー+ターナーと同水準かやや劣るパッケージになるのではないかと推察します。もちろん、大谷は1人で6.2のWARを稼ぎ、ロスター枠も1つしか消費しないのですが、ターナーがトレード翌年もコントロールできたメリットの方がさすがに大きいと思います。
このように考えると、大谷の見返りは以下のようになると思います。
いずれにしても既にMLBデビューしてある程度計算できる選手1人は必須のように見えるので、その選手の水準がどの程度であるかがポイントのように感じます。もちろん、既にCY争いだったり、SS獲得が期待できるような選手は無理にしても、野手ならOPS.700台後半~800台前半、投手ならERA3.50~4.50のレベルで頑張っている若手は手に入るのではないでしょうか?2012年以前もパッケージのメインだったトッププロスペクトのほとんどは戦力になりませんでしたが、既にMLB主力だったセスペデスは一応戦力となり、転売にも成功していますので、大谷トレードを失敗させないためには、メインの若手の質が一番重要になるでしょう。
※画像はMLB公式
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