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やっぱりタイは、カネしだい

ウチのタイ人家族ですが、長女がすでに1回、ワクチン接種が済んだ背景。そして妻と長男も、8月10日に接種予定が取れた背景について、7月29日にnote に投稿しました。「タイはコネが大切だなぁ」というのが、結論です。

しかし、どうやら現実は「コネ」ばかりではなく、「カネしだい」でもあるようです。まぁ、そういう思いは抱いていたのですが…。

バンコク都にある、タイ国鉄のバンス―中央駅。この駅が今後、バンコクと地方、そしてバンコク都内各地を結ぶ鉄道路線の基幹駅となります。下は完成予想図です。

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ターミナル自体はすでに完成しており、あとは本格開業を待つばかり。10月に予定している、という話を聞いたことがありますが、このコロナ禍で、さてどうなりますかね。それはさておき、現在、このターミナルがバンコク都における「大規模接種会場」として利用されています。ネットで予約が取れた人たちが、政府運営のこの接種センターで、無料でワクチンをうけています。だいたい、シノバック社製だと聞いていますが、運のいい人(?)はアストラゼネカ社製ワクチンを受けたようです。在庫状況によるのでしょうね。

7月19日からは、65歳以上のタイ在住外国人、さらに政府所定の基礎疾患を患っている外国人が、事前予約なしでアストラゼネカ社製ワクチン接種を受けられるようになりました。バンコク都は、こうした外国人用に1日当たり300回分のワクチンを確保したようです。

こうした外国人接種希望者の動線は、タイ人接種予約者と別になっています。外国語のできる案内スタッフを配置しなければなりませんから、それは当然なことでしょう。そして、ターミナルの第4番出入り口が、外国人専用の受付カウンターに指定されました。

ところが、外国人専用となった第4番出入り口に、大勢のタイ人が紛れ込んできました。

もちろん最初は、ターミナルに不慣れな人たちが誤って外国人専用カウンターに並んだに違いない…と思われたのですが、彼らが所持していた予約票に、どうも不審な点がある…。保健省職員である接種センター管理者が調べたところ、民間会社から派遣されている接種予約システムを管理運営スタッフが、どうやらワクチン接種予約枠を、勝手に売却していたらしい…。

現在、タイ警察の中央捜査局(CIB)が、慎重な捜査を始めています。

これまで、保健省職員、システム運営スタッフ、偽の予約票を所持していた市民ら20人以上から事情聴取をしたそうです。そして、現時点でわかってきたことは…。

民間会社派遣のシステム運営スタッフが、システム情報を改ざんしてワクチン予約票を偽造したらしい…。そしてその偽造枠を、1回接種あたり400~1,200バーツ(約1,300円~4,000円)で売却していた…。ただ、民間会社派遣スタッフだけで、これほど大規模な詐欺行為の実行が可能なのか。おそらく、その背後に保健省やバンコク都庁などの政府高官がいるのではないか。

先述の通り、CIBによる捜査が始まったばかりのため、現時点では逮捕者は出ていません。しかし大規模接種センターの警備責任者であるアムナート警察少将(警察本部鉄道警察局長)は、「少なくても、5,000~6,000のワクチン接種枠が売買されているようだ」とマスコミに漏らしています。そうだとすると、予約枠1件につき500バーツと仮定して、6,000人に売却したとしたら、合計で 300万バーツ…1,000万円以上。

タイ社会は、コネしだい、カネしだい。

そういうことをあらためて実感させられた、苦々しい事件です。だいたい、こうした大規模事業や大量調達、公共工事を通じて利益をガッポリ得ようとする関係者の存在は、事例をあげたらキリがない…。

え、今回の件だって、大規模接種センター長などのトップ幹部にまでカネが行き渡らなかったから発覚してしまったのではないか、ですと?

それはあなた、タイを知りすぎ…。ということかも知れませんけれど、でも正直なタイ人だって少なくないと、私は十分実体験しています。いや逆に、「あなた自身は真っ白なのか?」と問われれば、妻と長男のワクチン接種予約の経緯を思い出すだけで、「白くありません…」と答えざるを得ません。

つまりこれは、「タイ人だから…」というよりも、「人間だから、弱さが出てしまうときもある」ということなのでしょう、たぶん。


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