元夫にかけられた呪いの話

そういえばと思い出したので備忘録として記しておきます。色々あったけどいまは至って健康に暮らしています。

結婚していた時の話

籍を入れたら暴君だった

結婚の挨拶に実家に来てくれた後、どうやら父とLINEで連絡を取るようになり、元夫に父の会社に来ないかとの誘いがあったらしい。この父が我が親ながらなかなか癖の強い人物のため反対したものの、結局転職することになってしまった。
父の会社には十数人の従業員の中に弟もいた。最初の数ヶ月以降、元夫から「お前の父親も弟も頭がおかしい、クズだ」と罵られるようになった。弟は兎も角、父に関しては半分同意しつつ、家族のことを酷く言われるのは悲しくなったし「反対したのに転職を決めたのは自分の意志でしょう」と腹立たしくもあった。
結婚前に「家事が得意じゃないから8割くらいはしてほしいし、もし働くならパートで良い」と言われていたため、結婚と同時に退職して事務員のパートを始めたのだが、元夫の家事は玄関にまとめたゴミを捨てるだけだった。家賃は三分の二を負担してくれていたが、それ以外は全て折半だったため、何度か家事と生活費の負担の分配について相談したものの、「俺の意見が絶対的に正しい」と折り合いをつけないタイプの人で何も解決しなかった。論破して(実際は会話にならないのでこちらは無視してた)勝ち誇った顔をするのは中学生までにしてほしい。

突然の留学と呪いの言葉

暴君との結婚生活も一年が経った頃、「今後の見聞のため留学したい」と言い出した。そんなの結婚前に済ませておいてよ、大体そんなお金うちにはありませんけど…と思ったものの、父の会社から費用が出るらしく、関係性も少しは改善したかと渋々了承した。そして1ヶ月半の留学を終え帰国した元夫は父の会社を退職し、前職の社長が立ち上げた会社へ転職した。恩を仇で返すとは正に。
それを境に夫婦間での会話が一切なくなった。たまに夜遅くに帰って来て「お前は向こうの部屋で寝ろ」と寝室を追い出され、居間の隅で寝ていると「話しがある!」と起こしてくる傍若無人っぷりに、早く別れたいけど会話したくないし裁判になってもパートの身分ではお金の余裕がないし、交通事故とかであの世に行ってくれないかなと思うようになった。
とある晩、毎度のこと「話がある!」と起こされて一方的に罵詈雑言をぶつけられていたら「言い返せないクズだな。だからお前の遺伝子を(俺の家系に)入れたくない」と言い放ち寝室へ消えていった。ここで殺人犯にならなくて本当に良かった。しかしこの時の言葉はいまもずっと私の胸に刺さっていてまだ抜けない。

離婚してからの話

誕生日に離婚していた

とある夏の日、パートから帰宅すると食卓の上に紙が一枚置かれていた。恐る恐る見ると、どうやら離婚しようとのこと。人生で一番大きなガッツポーズが出た。
冷静になってから母にLINEで報告した。父にも自分から話した方がいいのではと促され「離婚することになりました」と送ると、「どうせ喧嘩だろ?仲直りしなさい」と返ってきたのですぐに着信拒否とブロックをした。
引っ越し先の部屋を決めた頃、置手紙以降行方不明だった元夫から「10月からそちらの家に戻る」と連絡があったので、引っ越し先の大家さんに入居日を早めてもらえないか打診して夜逃げ同然で出て行った。ちなみに、離婚届を提出したら教えてほしいと伝えていたものの一向に連絡がなかったため、役所に受理証明書を請求しに行くと私の誕生日に提出されていた。おめでとう新しい私。この件で中学生以来の体重37kgを叩き出した。
引っ越し先は両親にも教えていなかったけれど、会社の先輩が手伝いに来てくれた。この先輩に離婚の相談(会社や上司への報告等云々)をした際、「ドッヒャー!本当に!?(原文まま)」ととても可愛い反応をしてくれたのは別の話。

離婚してからいままで

半年くらいは母とすら連絡を取っていなかったものの、徐々に近況報告をするようになり、母や弟が仲を取り持ち父への怒りも収まったことで実家に遊びに行くようになった。
両親との関係は良好になったものの、元々自分に自信がなかったことに加えて、呪いの言葉を度々思い出しては自己嫌悪することがある。人と暮らすのが怖い。暴力を振るわれた訳ではないけど、布団を剥ぎ取られたあの日々を思い出すのか異性に触られるのも苦手だ。潜在的なものもあっただろうけど、人が変わっていく様を間近で体験したこともあって、自分と家族と他人としてしか考えられず、一歩引いて知人としてしか付き合えない。
それでも、パートから正社員雇用をしてもらえて、かわいい犬とうさぎと暮らし、たまに実家に行っては両親や犬たちと寛ぎ、弟も交えておいしいお酒と食事を楽しむ生活で十分過ぎるくらいだった。まぁそれも弟嫁にぶち壊されてしまったけれど。
いまは近所の居酒屋でぼんやりしたり、ソシャゲに課金したり、相変わらず犬もうさぎもかわいいのでぼちぼち幸せに暮らせている筈。

まだ呪いは残るものの、何年も前に終わった話なので「そういう経験もしたんだ、おもしれー女」と思ってください。


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