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シアターで出会ったBTSは「最高」を軽々と更新した

ライブビューイングを初体験しました。3/12PTDソウルの2日目。ライブを見るたびにメーターを振り切るBTS愛。大音量・大画面で見るBTSのライブは感動的によくて、7人への愛がマシマシになりました。

すでにBTS愛は丼に山盛りの状態。高々と積まれたキャベツやモヤシやチャーシューの上にこれ以上なにも乗せられないと思っていたのに、まだ行った。もっと乗せられた。まだまだ乗せられる。人生に油断は禁物です。世界一の高峰・エベレストだって年々その高さを更新し続け、すでに公式値より数メートル高くなっていることが報告されているのです。

入場者特典のポストカード。物体を手にする喜びってありますね

現場ライブのかけがえのなさって、アーティストとの共同作業でそこでしか生まれない瞬間を作りあげて、「あの日あの場所のライブ」というストーリーの一員になれるところですよね。大好きなアーティストと同じ空間で同じ音を分かち合う。そこには確かに双方向のコミュニケーションが存在しているし、時には人生を大きく動かすようなインパクトがあったりもする。体験として自分の歴史に刻まれるのがライブの真骨頂です。

現場ライブが「体験のシェア」なら、お家ライブは「眺める」にかなり近い行動。ステージから散らばった光の粒を手のひらで受けとって、そっと大切にする感じ。遠く離れていても、同じ時間を共有できる喜びがあります。

そしてライブビューイングには「眺める」が「体験のシェア」にぐっと近づいたような感覚がありました。自分があの景色の一部になっているような没入感がある、すごく濃い時間でした。

LGOのMVでは真っ暗だったスタジアムに光が灯った

音のデカさが距離を縮める

まず音。音がデカい。ライブこれすなわち音圧。ドンドコ足元を揺らす打音や鳩尾の下あたりがビリビリ震える低音など、耳以外の器官で音の振動を味わうのはライブの醍醐味のひとつ。ライビュではさすがに現場のようなビリビリは発生しなかったんですが、聞こえの感じがライブにかなり近かったです。

自宅のスピーカーで音を鳴らすのと決定的に違うのは、音でぎゅうぎゅうに埋め尽くされた空間の真ん中に自分がいること。耳をすませなくとも色んな音が勝手に飛び込んでくる。特筆すべきはメインの旋律の裏に絶え間なく入ってくる合いの手。あれで耳がいっぱいになると飛ぶくらいの幸せを感じました。耳の満腹感はQOLを爆上げする

ラッパー3人のビートを刻む合いの手からライブの波動が生まれるのが好きすぎで、音源聴いてても耳が野太いアレを探しに行っちゃう体質になってしまいました。JKのバックコーラスは好奇心旺盛な子どもが飛び回ってるみたいに自由自在で楽しいし、メロディに足したい音を一発でビシッと打ち抜く爽快感がある。一生やんちゃっ子でいてほしい

ジミンも1日目よりもかなり調子を上げていて、あちこちでgrowlしまくってくれました。BTSでgrowlするのはジミンだけなので、ジミンがgrowlを入れてくれると、ぶらっと入ったコンビニでポケモンパンを見つけて「オマエここにおったんか」ってなるときみたいなラッキー感がありますね。ライブの最後には、ステージからはけるまでずっと「We don't need permission to dance」って歌ってくれて嬉しかった。

大音量だとシンプルにメンバーの声がよく聞こえます。7人の声の質感の違いがくっきりと際立つ。一生言ってますけど、全員声が違いすぎる。よすぎる。全員優勝!充電期間があったからかみんなすごく調子よさそうで、ボーカルにかぶせてある音が心から邪魔だと感じました。

特にジン。ジンの声量ですよ。「fake love, fake love, fake love」と歌うときの圧倒的な声量。光の速さで天にまっすぐにのびていく声にほれぼれします。PTDの「we don' t need to worry」は、ジンのパワフルな声に出会えるのでいつも楽しみにしているパート。ジンのボーカリストとしてのポテンシャルはまだフルで発揮されてないような気がしているので(本人も気づいてなさそう)、ボーカリスト・ジンのスキルをいかんなく発揮できるような楽曲で、いつかジンの歌を聞いてみたい。なんとなく今とはガラッと違うスタイルになりそう。

短パン履かされがちリーダー

画(え)のデカさがエネルギーを伝える

ライビュの良さ、大音量の次は大画面です。大きなサイズの映像が現場との物理的な距離を埋めてくれて、「その場にいるような感覚」にぐぐっと近づけてくれました。なんか演者が発するエネルギーへの巻き込まれ感が強くなるんですよね。実際に現場に行ったら米粒サイズのメンバーしか見えないのに、バカでかいサイズの映像で臨場感が強くなるのって面白い現象ですね。

BTSのライブは後半の盛り上がり、スタジアムがどでかいダンスフロアに変貌する時間帯が最高中の最高なんですが、観客を熱狂の渦に巻き込む力の伝播がすごかった。あっけなく巻き込まれました。メンバーが息を切らして所せましと駆け回り、俺たちの音楽は最高だ~!と飛んで跳ねて踊る姿にいやおうなく心が動く。そのエネルギーが伝わる速さと大きさが桁違い。埋められない物理の距離を物理のデカさでカバーしてきました。BTSのライブが楽しいのって、ほかでもないメンバーが誰よりも音楽を楽しんでる姿を見せてくれるからですよね。

なので客席で静かに座ってるのがほんと大変で。何度も見ているはずのDynamiteからButterのダンスブレイクではやっぱり「ギャーーーッ」と声をあげたくなったし、Wings→Stay→So What→IdolのEDM波状攻撃では腕や足が踊り出そうとするのをおさえるのに必死。これは世界一幸せな拷問と呼ばれるべきではないでしょうか

LAのライブではセットに入ってなかったけど、Wingsってほんとにいい曲ですね。ライブで人間のエネルギーと混ざってこそ本領を発揮する。階段を一段とばしで駆け上がるようにスピードが増していって、パンパンにふくらんだ熱の塊が爆発するのがJ-HOPEとJKのハモるラップ。Wings最大のクライマックスがここ。あそこで肩に乗ってる重荷をバーンと振り払って飛んでいってしまいたいような(どこに?)気分になります。

この曲が発表されたのは2016年。BTSが翼を広げて飛び立とうとしているタイミングだろうから、当時は決意表明のような位置づけの曲だったかもしれません。リリースから6年経って、世界中の100万人以上のファンがオンラインライブを見ている現在は、以前とは全く違う文脈で歌われている。焦燥感や切迫感に駆り立てられた自分たちの内側を照らすんじゃなくて、聴き手の手をとって外の世界に連れて行ってくれるような、優しく背中を押してくれるような外向きのエネルギーを感じました。時間がたっても曲想ににじむ瑞々しさはまったく色あせない。スーパースターになっても素朴な人間味がまったく失われないBTSのメンバーと同じです。

雨すら「特別な一日」の演出の一部に

ライブの途中から雨がだんだんひどくなってきたんですが、雨脚が強くなるほどに少年団の皆さんは明らかにテンションが上がっていってました。土砂降りに興奮して傘をささずに家まで帰って水浸しになった長靴をボコボコ言わせてゲラゲラ笑い合う小学生のよう。はしゃぎすぎてアーティスト保護のネジが緩んだのか、肩だしキム・ソクジンやジャケット脱ぎ芸ミン・ユンギなど珍しいものも拝見できました。日ごろ目にしないものを見たときの衝撃の大きさよ。見慣れたJKの腹筋には全く動じない鉄の心が溶解寸前の状態になりました。

Black Swanでジミンが滑って転んじゃってたけど、「これは振付の一部ですが?」って顔で、まったく動揺を見せずにつないでみせたのはさすが。かと思えば、Idolで足を滑らせたときは本人も周りのメンバーもゲラゲラ笑っててそれもまたよし。TPOをきっちりわきまえたスターの鏡ですね。画面の端にちらりと映る小ネタ的やりとりも大画面だと逃さずキャッチできるし、わちゃわちゃ感の中に自分もいるみたいに楽しい。自宅モニターが10わちゃわちゃなら映画館だと10000わちゃわちゃってとこでしょうか。

ONの衣装は赤バージョンにチェンジ

非日常への儀式が気分を高める

それとライビュでは現場ライブに近い非日常感を味わえました。身だしなみを整え、電車やバスに揺られて移動して劇場に到着。シアターの扉を開けると、そこはいつもと違うざわめきや匂いがする真っ暗な空間。こういった儀式をひとつずつこなしていくと、やっぱり気持ちが高揚しますね。

お家ライブは日常の中にぽこっと差し込まれたエンタメ時間なので、お風呂上りのノーメイクパジャマ姿でも参加できる気楽さがいいところ。ただ生活空間の中にいるせいで、ふとした瞬間に仕事のあれこれが浮かんだりしてしまうことも。ライビュは別空間なのでものすごく集中できました。気持ちの切り替えやストレス解消に物理的な移動がよく効くという説は本当かもしれません。

私が行った会場はボムを点灯してる人も少なく、メンバーがうながすと手拍子が起きるくらい。終始落ち着いた雰囲気の会場に「フフフ・・・」とさざ波のようなほほえみが生まれたのは、アンコールでこの姿が映し出された瞬間。

Baby KOYA on RJ on Mr. WWH

結果的に3日間通してPTDを見ちゃいました。PTDはオンラインとLAライブの2回見てたので、今回少し悩んだんですよね。基本セットは同じだろうし、どれか1日でもいいかなーと。でも「同じツアーのライブを何度も見たらトゥーマッチに感じるんじゃないか」なんてのは杞憂に終わりました。アンコールのセットは毎回違うし、パフォーマンスもどんどん変化していって3日間それぞれ違った顔を見せてくれるしで、すごく楽しかった。推しは推せるときに推せ。ライブは見れるときに見ておけ。ですね。

1日目は久しぶりのホームタウンでのライブにはしゃぎすぎてペース配分を見失い、ステージの上でぐったりと膝をついてハアハア息が上がっている少年団さんがかわいかった。テヒョンさんの謎ダンス・謎側転・謎ものまねはテヒョンワールドすぎて笑いました。2日目にはすっかりブームが終焉していたとこも含めて大好きすぎます。

3か月の充電期間をはさんで久しぶりに7人そろった姿を見たせいか、オープニングではなんだか泣きそうな気持ちに。最近転職したりと自分の生活がざわついていたので、変わらぬ姿でステージにいてくれるBTSを見て、安堵感のような感謝の念のようなものがわきあがりましたね。

2日目はパフォーマンスの硬さがとれて絶好調の少年団。StayでJKのリードパートに遠慮がちに自分の歌を合わせていくテヒョンさんがかわいかったです。アンコールのAnpanmanとGo Goは嬉しすぎてぶちあがりました。

そして3日目は遂にテヒョンさんがStayのリードパートを担当することに成功。歌い出す前に「この曲はワシが作った」とかホラを吹いていたらしいですね笑。Telepathyがすっかりこなれて完全にライブの曲になっていたのも感無量。曲が育っていく様子を見れることの喜びよ。

アンコールのWe are Bulletproof : the Eternalは、「MAP OF THE SOUL ON:E」でも歌ってたんですけど、あのときはメンバーの雰囲気が沈鬱すぎてつらかった。テヒョンさんも左端でほんとに元気がなくて。その時と比べれば、たとえ声が出せなくても立って踊ることができなくても、地元で対面ライブができたのは大きな前進。未来が全く見えなかった2年前と違って「いつか」を信じることができる。歌ってるメンバーを次々にアップで映すだけのカメラワークはいまいちでしたけど。この曲は7人そろった姿で演じないと意味がないんですよ。

私よりもさらにライトファンな友人とライビュに行ったのですが、彼らのパフォーマンスがよすぎて「どう?この人たちすごいでしょ?ライブいいでしょ?ねえ?」と言いたくなる気持ちをおさえられず、何度も隣にいる友人にチラチラと目線を送ってしまいました。いまだにJKがRMを自慢したくてしょうがなくなる気持ちが分かるような気がします。

ライブで音楽を生で浴びるのが好きすぎて、今までは「現場ライブとそれ以外」の「0か100か思考」。「俺か俺以外か」みたいなやつです。でもそれは間違いだった。これからのエンタメ選択肢が「現場ライブとライブビューイングとお家ライブ」になりました。グラミー受賞からのラスベガスライブも楽しみです。ライビュもやっておくれ。


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