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デッキガイド:ヨーリオン・バード・レジェンズ

2024年ももう終わり。今年は今まで一番マジックをプレイした1年でした。いや、マジックをプレイした、というよりもクラス・エンチャントのレベルを上げていた、と言ったほうがいいのかもしれません。飽きもせずに週末のたび(赤)(緑)を立てて《バード・クラス/Bard Class》を唱えてばかりいました。

いくつかのデッキを試してはみたものの、結局このグルールカラーの私的な美学に満ち満ちたデッキを回してしまっていて、それでも、対戦相手のデッキはこの一年目まぐるしく入れ替わったし、回すたびにほんの少しずつ発見があり、なんだかんだ楽しくマジックをプレイ出来たと思っています。幸せとはポジティブな惰性を指すのかもしれません。


健康のために一日一度は唱えたい!

次のシーズンも、そのまた次のシーズンもパイオニアは競技フォーマットから外れてしまっています。逆に考えると、これはあんまり強くないのかもしれないけど回していて楽しいデッキの回し時ととらえられなくもありません。

今回発見したヨーリオン・バード・レジェンズは一見ネタデッキっぽいですが、筆者の小さな発見が詰まったデッキです。

不思議なことに、デッキごとの相性は通常のバード・レジェンズと変わってくるし、60枚構築のバード・レジェンズとは一味違った快楽値をもったデッキです。


名誉グルールと認めよう!

騙されたと思って読んでみてください。筆者もまだ騙されたまんまです。


きっかけ

CCFが終わった後、筆者にとってはアゾリウス・スピリットが最も熱いデッキでした。CCFで勝ったデッキではないようですが、周りにスピリット・デッキをずっと使っている人がたくさんいるので、使っていて面白いデッキなのだろうと思ったのと、構築済みを買っていたのでわずかな課金で完全体にできそうで、今までと全然違うデッキであるという理由からです。

筆者だって今までと違うデッキを使ってうまくなるように努力すべきなのは間違いありません。

TTTは優秀なチームであり、何人かのスピリットマスターが在籍しています。とりあえず、スピリットマスターたちが「すべての基本が詰まっている」と称していた青単スピリットを使って大会に出てみましょう!


ちなみに、60枚バード・レジェンズはスピリットに勝ちません。

スピリットの理想的な1ターン目は《島/Island》を置いてからの《霊廟の放浪者/Mausoleum Wanderer》です。迷わずキープして出すと、対戦相手はこれからの恐るべきクロックパーミッションに対する不安をあらわにしてくれます。

これがスピリットデッキのブン回り。次のターンにはすでに手札には選択肢がたくさん並んでいて、除去に対して構えるか打点を増やすかのゲームの分岐点が生まれています。

初手はやることがないから迷わずタップインだったバード・レジェンズとは違います!

1/1で殴り続けていても勝つには結構な時間がかかってしまうので、ここは《至高の幻影/Supreme Phantom》をチョイス。

最高のスタートを切れて、しめしめと思うものの、ここに《稲妻の一撃/Lightning Strike》的な火力が飛んできました。…どうやら相手は赤単の様です。

続いて《霊廟の放浪者/Mausoleum Wanderer》を焼かれて、必死に《僧院の速槍/Monastery Swiftspear》を止めようとするゲームが始まってしまいます。もしかして、このゲームけっこう不利なのでは…

赤単→イゼフェニ→青白コントロール→青白コントロールというけっこうきつめのマッチアップを終えて0-4。やはり《幽霊による庇護/Sheltered by Ghosts》《呪文捕らえ/Spell Queller》が入る青白の方が使いやすいと確認。

針の糸を通すようなクロック・パーミッションを使っていると、相手が用意してくる《湧き出る源、ジェガンサ/Jegantha, the Wellspring》や《空を放浪するもの、ヨーリオン/Yorion, Sky Nomad》などの相棒システムの強さを実感します。手札に加わる追加のハンドであり、マナコスト相応の強さを持っています。

パワー3のクリーチャーですら脅威となりうる青白スピリットにとって、《湧き出る源、ジェガンサ/Jegantha, the Wellspring》のパワーは規格外です。それならまだしも《空を放浪するもの、ヨーリオン/Yorion, Sky Nomad》の強さは異常であり、4/5のうなぎがふわふわと浮いているだけで、小さなスピリットたちは撤退を余儀なくされてしまいます。

なおかつ、戦場に出てくるだけでこのカードは目に見える形でアドバンテージを取っていき、もたもたしているとハンド枚数も打点も相手の方が上回っているという状況になってしまいます。

結局その日優勝したのはTTTのイゼット・フェニックス。どうやら墓地にカードが貯まって、カードを探す速度が倍になる《美術家の才能/Artist's Talent》でものすごい強化を受けているようです。

優勝した彼が終電を逃したので、筆者の家に泊まって何回か青単スピリットとイゼフェニでゲームしたのですが、結果は誇張なしで0ー10くらいで、微妙な腕前である筆者の使ったイゼフェニでも、青単スピリットをぼこぼこに倒すことができました。や、やっぱり、イゼフェニを組むのがいいのかもしれません…

友人と足りないパーツを確認したところ、筆者のカード資産でもあと5000円程度で組めると判明。あとちょっとでしばらくtier1であろうデッキが組めるなら安いものですし、いい練習になるのは間違いありません。

やっぱフェニックスを組むのが良さそうです。明日は彼と一緒にフェニックスを組んで大会に出てみましょう!

ところが明日イゼフェニを組んで大会に出よう!と息巻いていた彼も、連日マジックで遊んでいることを彼女に怒られて、大会に出るのをあきらめておうちに帰っていきました。どうやらフェニックスが大好きな彼にとっても、人生には3ターン目に3体のフェニックスを戦場に戻すよりも大事なことがたくさんあるようです。

家に帰っている途中で、《幽霊による庇護/Sheltered by Ghosts》や《呪文捕らえ/Spell Queller》を手に入れたとして何回負け、そこに至るまでにどれだけの時間を使うのかと考えました。結局大会に出て島を立てて青単スピリットを使うとなると,大会に出るモチベーションも上がりません。

人生には、1ターン目に《霊廟の放浪者/Mausoleum Wanderer》を出すよりも大切なことがたくさんあります。

やっぱり、筆者は《霊廟の放浪者/Mausoleum Wanderer》を1ターン目に出すことがブン回りだとはどうしても思えません…。しょぼすぎます…。

筆者の思うブン回りとは、針の穴を通すようなクロックパーミッションを完遂することではなく、針ごと叩き折るようなブンで相性をひっくり返すことです!筆者が思う一番ド派手なクリーチャーと言えば、一目見た瞬間にキャストしたいなと思えた1枚、《忌まわしい守護獣、ハグス/Hugs, Grisly Guardian》でしょうか。本来これをやるべきではないかもしれませんが、少しだけ試しにハグスを組んで回してみました。


最初からヨーリオンと組むことを前提としていたなら驚異的なカードデザインである(考えられていない)


…と思ったものの、伏線は貼られていました。ハグスは土地を多く入れることを要求しているし、昨日めっちゃ強く感じた《空を放浪するもの、ヨーリオン/Yorion, Sky Nomad》は最強の相棒で、《バード・クラス/Bard Class》デッキはバードクラスが引けなかったときに重いカードがたくさんある方がデッキ全体として勝つ…これらをすべて筆者は過去のnoteで書いています。さらに、noteとして書き残してある以上のノウハウが私たちの中には蓄積されていました。



これまでの蓄積のすべてが一本の線でつながり、ヨーリオンを相棒にして、土地を10枚増やして、重いクリーチャーを可能な限り投入したデッキをアリーナで構築して遊んでみることにします。

デッキリストには魔法がかかっていました。土地をたくさんデッキにいれれば《忌まわしい守護獣、ハグス/Hugs, Grisly Guardian》を強く使えますし、重いカードを安定してキャストすることができます。こういう方向性もありなのではないかと考えた筆者は、現在のバード・クラスに単純に20枚足して、壮大な力の集合体のような凄まじいデッキリストを完成させました。

80枚構成のグルール・ビートダウン。素晴らしい。バカが考えたデッキです。

大体1万5000円分くらいカードを購入すれば紙でも組めると判明、次の週にはこの構築を大会でも持ち込みました。やはり本能には抗えないのかもしれません。やっぱり人には向き不向きというものがあります。

イゼフェニもアゾスピも組めた価格ですが、あまり後悔はしていません。紙のカードは資産なのだから、そのうち全部組めばいい話!

バード・レジェンズを80枚にした理由

もしかしたら、最重要カードである《バード・クラス/Bard Class》が引けなくなるのになぜデッキ枚数を増やしてしまうのか、と思う方もいるかもしれません。しかし、バードレジェンズは《バード・クラス/Bard Class》を引いても勝つとは限りません。レベル3に必要な5マナまで届かなかったり、伝説のカードを引かなかったり。

①最近の《バード・クラス/Bard Class》はすぐ対処されちゃう

バード・クラスからのコンボに寄せきったバード・レジェンズは土地が2枚で止まってしまうと、レベル2でせっかく得たアドバンテージを生かしきることができずにじわじわと追い詰められて普通に負けてしまいます。

このデッキの典型的な負けパターンは、

土地2+《バード・クラス/Bard Class》+2マナの伝説のスペルたくさんの初手でにっこりキープ

《ポータブル・ホール/Portable Hole》《呪文貫き/Spell Pierce》《思考囲い/Thoughtseize》で《バード・クラス/Bard Class》はあっさり対処

2マナのクリーチャーを我慢して出し続けるものの、3マナ、4マナのひっくり返せないカードが出てきて土地も止まり,手札の3マナ、4マナ圏内のカードを唱えられずにゲームセット

…というもの。

《バード・クラス/Bard Class》からのコンボにデッキを寄せすぎると、《バード・クラス/Bard Class》を割られたときに軽いクリーチャーを連打する形になります。これらはよりマナレシオに優れた環境一線級のクリーチャーたちにやられてしまったり、《致命的な一押し/Fatal Push》されてしまったりしておとなしく負けていくこともあります。

マジックというゲームはとてもうまくできていて、《バード・クラス/Bard Class》はレベルを上げたときのリターンが大きい代わりに、環境によってはあっさりと処理されてしまう1枚です。

特に《無効/Annul》《スカイクレイブの亡霊/Skyclave Apparition》などによってマナコストの小さなパーマネント、そしてエンチャントに対するガードが上がっている昨今では、ゲーム序盤の小さな必殺エンチャントの生存率は下がってしまっています。

それとは反対に、《スカイクレイブの亡霊/Skyclave Apparition》《致命的な一押し/Fatal Push》圏外の5マナ以上のクリーチャーたちの生存率は特にサイド後、驚くほど上がっています。


すっかりお気に入り!プリペアートゥダイ!

このリストに採用されている5マナ以上のレジェンズたちは唱えた瞬間即死!というほどではありませんが、2ターン生き残ればゲームに勝つことができる強力な1枚です。結構お強い対戦相手にしたって、80枚にも及ぶ巨大な肉塊をぜーんぶ処理できるわけはないので、最終的にはレジェンズたちのうち誰かが生き残って勝つことができるはず!というわけです。

②土地が止まらずに重いパーマネントを連打しているほうが意外とイケる

60枚のデッキで24枚の土地が入っているデッキを80枚デッキにすると、31枚程度の土地が入っていることになると言われています。

元のバード・レジェンズはアグロデッキであり、土地は20枚ほどしか入っていません。ヨーリオン・バージョンはここに31枚の土地が入っているため、60枚における土地24枚カウントで、単純に60枚での(ほぼ)結論構築よりもはるかに土地の割合が増えている、ということになります。60枚だとスロットが厳しく、なかなか土地枚数を確保できません。

バードクラスというカードは、伝説のカードがデッキの半分を下回ってしまうとLV3時に伝説のカードがめくれる可能性が下がってしまって弱くなってしまいます。《塔の点火/Torch the Tower》や《墓掘りの檻/Grafdigger's Cage》などの各種のサイドは参考になるリストも多様で強力ですが、これらを入れすぎると着火剤がデッキから減りすぎてしまいます。これは集合した中隊と同じで、デッキの半分は伝説で埋めたいところ。


サイド後はメインほどの脅威でないことを期待!



バード・クラス自体は伝説のカードではないので、24枚の土地を入れると、もう除去は入れられません。しかも、新しくて楽しそうな伝説のカードを入れると、音楽に愛された(赤)(緑)の伝説たちを解雇しなければならないところまで、デッキのスロットが埋まってしまっています。フリースロットは2枚程度でしょうか。つらい。

デッキ枚数80枚だからこそ、半分以上の伝説+24枚以上の土地+除去というバランスを実現できるのです。筆者はキャントリップを含めて土地の枚数が24枚以上程度確保できることは、ビートダウンデッキの強さの条件の一つだと考えています。

なおかつ、60枚から80枚になったところで、初手にバード・クラスが来ている確率は10%程度しか変わりません。であれば、土地を増やして滑らかに3-5マナのクリーチャーをキャストできる構成にした方が良いのかもしれません。

また、この構築では、3マナ圏でこれまでの盤面に対する圧が強いクリーチャーよりも、《ゴミの策略家、ムエラ/Muerra, Trash Tactician》《ケルドの心胆、ラーダ/Radha, Heart of Keld》のような3→5のジャンプ、悪くても4マナのパーマネントにアクセスできるカードを優先的に採用しています。

もし初手で《バード・クラス/Bard Class》を適当に対処されてしまったとしても、順調にマナが伸びて2マナ、3マナ、4マナ…と唱えられれば、少なくともゲームにはなりますし、何かのきっかけで後半のカードとして《バード・クラス/Bard Class》をキャストして盤面を崩壊させることもあり得ます。


③数学的な優位を取れている。

総じて、序盤のエンチャントを処理されてもミッドレンジ以降のやり取りに飛躍的に強い構築となっていると言えるでしょう。あと、このデッキでもし《バード・クラス/Bard Class》を引いたらめちゃくちゃ強いのは言うまでもありません。

《バード・クラス/Bard Class》を引いてくる確率は10パーセント下がっていますが、引いた時の嬉しさは1,5倍なので数学的な優位を取れています。勝ちました。


それでも《バード・クラス/Bard Class》が減ってしまっていることによって爆発的なアドバンテージ獲得能力を失ってしまっているのではないか…と考えている人もいるかもしれません。ですが、心配はありません。ウィザーズはしっかりと、5枚目の《バード・クラス/Bard Class》を刷ってくれています。





《アニーの加入/Annie Joins Up》。


加入サイクル、全部思ったより強い。

ヤバい。ヤバすぎます。このカードは《バード・クラス/Bard Class》レベル2,5といっても過言ではありません。

5点の除去は《ドミナリアの英雄、テフェリー/Teferi, Hero of Dominaria》も《跳ねる春、ベーザ/Beza, the Bounding Spring》も、悪夢滅ぼし、魁渡/Kaito, Bane of Nightmares》だって1撃で取れちゃうけっこうなスーパー除去ですし、なんと言っても本体は戦場に出た後の常在能力です。

あなたがコントロールしている伝説のクリーチャーの誘発型能力1つが誘発するなら、その能力は追加でもう1回誘発する。

出たとき効果でも戦闘時の誘発型能力でも、追加でもう一回遊べるドン!なので、



4/4修正!!バードクラス下6/7!
2体に速攻!!


4ドロー2ディス!!


2ドロー+@!!

と凄まじい効果です。
このデッキでは恩恵を全く受けられないクリーチャーの方が少なく、置いて相手の脅威を処理した次のターンから宇宙が始まります。除去しながらアドバンテージに繋げ,次の一撃を強化できるメガガルーラのグロウパンチ。《アニーの加入/Annie Joins Up》こそがバード・レジェンズが白をタッチしたかった理由。

近年の赤緑のクリーチャーは特にスタッツに優れているというわけではなく、すさまじい誘発型能力を持っているものが主流です。当時もかなり試された1枚ですが60枚デッキの土地マックス22枚のスロットで3色目にタッチするのはなかなか困難でした。80枚デッキだからこそ《アニーの加入/Annie Joins Up》をタッチで入れることができます。

余談ですが、このデッキには最終的に《宴の結節点、ジェトミア/Jetmir, Nexus of Revels》《千番目の月、アニム・パカル/Anim Pakal, Thousandth Moon》《復興の領事、ピア・ナラー/Pia Nalaar, Consul of Revival》などの白いクリーチャーが採用されていません。あくまで白は後半にしか安定して確保できないので、タッチという形になっています。

また、おおむねこれらのカードは次のターンにその恩恵を享受できることが少ないです。環境によっては《鎮まらぬ大地、ヤシャーン/Yasharn, Implacable Earth》《異端聖戦士、サリア/Thalia, Heretic Cathar》などをサイドに投入してもよかったかもしれません。ですが、現段階ではこのデッキの5マナ以降のクリーチャーは次のターン以降のアドバンテージにつながりやすいものを優先的に採用しています。

その中に赤緑のマナベースからから白を出しながら、《アニーの加入/Annie Joins Up》の恩恵を受けられるタッチカラーに理想的な1枚がいます。





《落星の学者、ロクサーヌ/Roxanne, Starfall Savant》


男の子ってこういうのが好きなんでしょ?

対セレズニア・カンパニー最終兵器。2点の隕石を戦場に投下しながら殴れる《原始のタイタン/Primeval Titan》と《業火のタイタン/Inferno Titan》のハイブリッド。クロックパーミッションに対して一度暴れ始めると止まらない状態まで持っていくことができます。

殴って除去ってマナを増やしていく、美人のネコさんで、5マナだし対処は必須!もし仮に生き残ってしまったあかつきには隕石から毎ターン2マナ出るようになります。このマナベースで本当に《空を放浪するもの、ヨーリオン/Yorion, Sky Nomad》をキャストできるのか、という問いに対してはロクサーヌ・スターフォール・サーヴァントこそが答えになるはず。彼女自身も《空を放浪するもの、ヨーリオン/Yorion, Sky Nomad》の恩恵を受けることができ、隕石を雑にばら撒くほどに次のターン以降の戦況は有利になります。速攻をつけるとめちゃくちゃに気持ちいい上,次のターンにはあふれるマナから全てを可能にできます!

もしかしたら、1ターン目に《霊廟の放浪者/Mausoleum Wanderer》を唱える以上に重要なことは人生においてたくさんあるのかもしれません。しかし、3ターン目に《落星の学者、ロクサーヌ/Roxanne, Starfall Savant》を叩きつけ、隕石で出た白マナから《アニーの加入/Annie Joins Up》、そのままハグスをX=4以上で唱えて衝動ドローする以上に人生において重要なことが、残りいくつあるでしょうか?


《ケルドの心胆、ラーダ/Radha, Heart of Keld》


トップ見れるから何なん?先駆けてワシは言うたが


この構築において最も評価を逆転させたのは、彼女かもしれません。3マナ3/3のラーダ。トップを見て,土地だったらプレイできる効果を持っています。
《秋の占い師/Augur of Autumn》などにも見られるこの効果ですが、これは本来ドローするはずだった土地を直接戦場に出し、次のトップがなんらかの(多くは伝説の)呪文である確率を上げてくれるので、実はドローよりも強力です。この効果と《太陽の執事長、インティ/Inti, Seneschal of the Sun》などの衝動ドローも相性が良く、いらないからあえて弾いて次のトップの土地を探しに行く、という緊急アクションも可能です。

60枚構築では土地の割合が少なく、トップ見れたからなんなん?と思わなくもなかったですが、ヨーリオン型であればバンバンめくれます!

ハグスによる追加セットランドとも相性抜群で、バード・クラスの様子を見てレベルを上げることにも使えます。比較的もったりした動きをしているので、1ターン先の未来を見られるのは結構嬉しいところ。土地が多い構築だからこそ輝く1枚ですが、大ピンチに陥るとラーダからトップを見て微笑みながら投了している自分もしばしばいます。時間はお互いの物なので、悲しいトップを見たら早めに投了できるところも強いとか弱いとか以上の価値があります。


《運命の大嵐、ドラゴンホーク/Dragonhawk, Fate's Tempest》


アホみたいな名前!

最近の推しカードです。
効果テキストは意外と複雑で、出たとき効果が誘発してしまったときに誘発数が確定してしまっているので、エンド前にドラゴンホークを除去してもターンエンドの火力まで誘発してしまいます。パワー4以上を並べている状況は一見作りづらそうですが、ルビーやハジャールの効果を絡めたりすると結構簡単に複数回誘発できます。ここにアニーの加入が置いてあると、こいつに関しては着地した瞬間即死もありうる不思議な1枚です。

このほかにも様々なクリーチャーが採用されていますが、これらは全て筆者が今年書いてきた記事にその魅力を記してあります。

一年間文章を書き続けると、年の瀬に楽をすることができるようです。


また、一年間記事を書いてきたごほうびとして、今回は @mashiloy_aid さんのマジックアドベントカレンダーにお誘いいただいて記事を書く機会に恵まれました。去年のこの時期には全く考えられなかったこと! https://adventar.org/calendars/10884

意外と強かった

いえーい!
アホみたいなデッキだなあ、と考えていたのですが、思ったより強かったです。

強さの要因としては、

・相手がたまに初手マリガンをミスる
・相手がサイドボーディングをミスる
・4マナ・5マナのカードが思ったより強い

という感じでしょうか。やっぱり《アニーの加入/Annie Joins Up》が強力!クリーチャーが倍の強さになるのは、マナコストが軽くなるも同然!そして相棒ヨーリオンを見たら、1マリの人間は本能的に《致命的な一押し/Fatal Push》をボトムに送ってしまいがち。


探検がデッキ的に強くなってしまうと弱体化する?



バード・レジェンズ相手には《失せろ/Get Lost》や《ポータブル・ホール/Portable Hole》人によっては《強迫/Duress》までサイドインしてくることがあるのですが、3マナから5マナのクリーチャーを連打しているところにそんなカードを取られても効かないばかりか逆効果です。このデッキは、どちらかというとバード・レジェンズよりもグルール・ストンピィに近く《バード・クラス/Bard Class》に対する依存度はそこまで高くありません。まさか、ヨーリオンからグルール・ストンピィが出てくるとは思うまい。

《失せろ/Get Lost》に関しても探検で確実に土地を伸ばして重いカードをキャストできる状況にした方が有利だったりするので、これまで刺さっていたカードがあまり刺さらなくなっている、どこかのらりくらりとしたデッキに仕上がっている点は発見でした。

重いカードを準備し、土地がたくさん入っているだけでここまで相性が変わるとは驚きです!特に青白系のデッキに対しては優位になっていて、雑に連打した激重打点クリーチャー80枚構成という戦術それ自体が青白に強かったのかもしれません。


80枚構築の弱点

80枚構築は回った時の気持ちよさは明らかに上であるものの、60枚バードレジェンズよりも圧倒的に強い!というわけではありません。今のところ、80枚のヨーリオン・バード・レジェンズは60枚バード・レジェンズに最も不利なデッキとなっています。


ミラーマッチは《バード・クラス/Bard Class》を砕きあい、最後に残ったクリーチャーで戦うゲーム。破壊か《バード・クラス/Bard Class》を引けないと、そもそもゲームのスタート地点に立つことすらかないません。


なおかつ、特定のカードを頑張って引きに行きづらいため、結構有利マッチだったパルヘリオンやロータス・コンボ、ゴルガリ・サクリファイスに対する耐性も下がってしまっています。

絶対的な強さはないものの、丸い強さはある、不思議な使い心地です。何より,太くて強いクリーチャーを出しまくる喜びは堪えられません。本当は絶対的な強さなどというものはなくて、環境へのなじみ具合だけを指しているのかもしれません。

ミッドレンジのマッチアップには有利めなので、この辺は環境を読んで味変として使い分けるのも悪くないと思います。外した時の責任は一切負えません。

環境読みはたぶん外すので、アゾリウス・スピリットやイゼット・フェニックスを使いましょう。

CCFが終わって、次のシーズンもそのまた次のシーズンもパイオニアは競技フォーマットには選ばれませんでした。パイオニア・マスターズもアリーナでリリースされるようですし、いろんなデッキをアリーナで試していくのも悪くなさそうです。ヨーリオンとバード・クラスが合うのだから、パイオニアにはまだ見つかっていない強力な組み合わせがたくさんあるはずです。

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