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【エリア予選初日抜け】《地震土竜、アンズラグ》採用型バード・レジェンズ

7月6日晴れる屋TC

ロータスコンボ×○○
白単○××
現出エルドラージ○×〇
探検○○
緑単✕○○
ラクドスヴァンプ○○
イゼットフェニックス✕○○

エリア予選初日に6-1からID。筆者は《地震土竜、アンズラグ/Anzrag, the Quake-Mole》さまが「1枚」入ったデッキでファイナルの権利を獲得しました。

この瞬間、わたしたちの《地震土竜、アンズラグ/Anzrag, the Quake-Mole》は「最近権利を獲得した≒環境最強クラスのデッキであるバード・レジェンズにピン挿しされている強カード」の地位を得たと言っても過言ではありません。


その爪は文明の礎に切り込むのである。

しかし、このモグラの神様のすごさは、それにとどまりません。
先週のプレミアム予選まで、筆者はこの《地震土竜、アンズラグ/Anzrag, the Quake-Mole》を4枚採用していました。
そして、アンズラグ様4積みのデッキを回すことによって得られた知見は、バード・レジェンズというアーキタイプを1段階上のクオリティに引き上げたと思っています。

《地震土竜、アンズラグ/Anzrag, the Quake-Mole》はなかなか使っていて楽しい、いい強さを持った1枚です。
今回はなぜ筆者がこの新しい神さまを4枚採用し、そして最終的に「1枚」採用に至ったかについての話をしたいと思っています。
全文無料で読めますが、有料で購入いただけると次の記事を書くときの励みになるので、ぜひよろしくお願いします。


最近のバード・レジェンズをめぐる環境



前回の記事「デッキガイド:バード・レジェンズ」は多くの人に楽しんでいただけました。とりあえず一度このデッキを握ってみた人も多いようで、とても嬉しく思っています。

このデッキはラクドス・ミッドレンジではないので、どこを引いても強いカードが手札にあるわけではありません。不思議な2マナのエンチャント《バード・クラス/Bard Class》をとても大事に扱っています。

エリア予選前直近のバブル・マッチ2戦、敗北を喫したのはいずれも純正のラクドス・ミッドレンジでした。彼らは一度出たバード・クラスを触ることができず、最初のキープで《思考囲い》がない時点で勝ててしまうゲーム展開もしばしばある一方、ハンデスを撃たれてバード・クラスを失うとほんの少しだけクリーチャーの質が相手が上回り、劣勢に陥っていきます。そして、最後にみんなが最も恐れるスペルである《絶望招来/Invoke Despair》ですべてを解決していきます。

こんなものを引いたら、唱えたいに決まっています。

相手は強迫含め7枚のハンデスがあり、こちらにはバード・クラスが4枚しかありません。バブル・マッチまで勝ち上がっている相手はおしなべて手練なので、《思考囲い/Thoughtseize》なしでキープすることはあまりなく、バードクラスあるから他そんなに強くないけどいいかな~~~~というハンドから本命の《バード・クラス/Bard Class》を抜かれてそれ以降何にも引かずに負け、というゲームが2回。手札の伝説をみんな失った後に《バード・クラス/Bard Class》を引いても、もう逆転は不可能です。

こちらのカードは大体クリーチャーか、クリーチャーを持ってくるカードなので、なくてもそこそこ戦えるものの、なんてったって相手はラクドスミッドレンジなのでこちらのそこそこと相手のそこそこだと相手が上回るパターンが多いです。

《バード・クラス/Bard Class》がない時、あるいは失った後にいかにしてゲームに勝利するのか?これはこのデッキを使う人たち全ての課題です。
「純系の」バード・レジェンズに、《バード・クラス/Bard Class》と相性の悪いカードは一枚も入っていません。これは裏を返せば、《バード・クラス/Bard Class》Lv2,Lv3のブン回し→勝利に特化した従来までのバード・レジェンズはデッキの中の全てのカードが《バード・クラス/Bard Class》がないと弱い、ということなのかもしれません。


え?もう終わり??

パイオニア環境も最近変化しています。探検、緑単が増加し、バード・クラス無しでは逆転不可能な盤面を高速で作り上げることが可能なデッキが増えていました。方法はどうあれ、彼らは《バード・クラス/Bard Class》に触ることができるので、あまり相性がよくありません。総じて、現状のパイオニア環境は太く,低速化しています。

現状のメタゲームに合わせてチューンするならば、脆い代わりに軽く早く,《バード・クラス/Bard Class》とシナジーのあるカードで構成された純系ではなく、もう一段太い戦略を採用したほうがいい、と考えました。《バード・クラス/Bard Class》に頼らないもう一つの勝ち筋を必要としています。コントロールに対してはマスカンを連打し、ラクドスのそれよりも一回り大きいクリーチャーで対抗しましょう。

このデッキは《バード・クラス/Bard Class》を失った後も2→4にマナジャンプすることが可能な構造になっています。現状、バード・レジェンズに必要なのはバード・クラス無しでも4~5マナでキャスト出来て、1枚でキル・ターンを短縮できる決定的なバーサーカーです。

ストレージの底から、もう一つの勝ち筋である《地震土竜、アンズラグ/Anzrag, the Quake-Mole》様が競技マジックの最先端、エリア予選に降臨しました。


《地震土竜、アンズラグ/Anzrag, the Quake-Mole》


地震土竜、アンズラグ (2)(赤)(緑)
伝説のクリーチャー — モグラ(Mole) 神(God)

地震土竜、アンズラグがブロックされた状態になるたび、あなたがコントロールしているすべてのクリーチャーをアンタップする。この戦闘フェイズの後に、追加の戦闘フェイズ1つを加える。
(3)(赤)(赤)(緑)(緑):このターンの各戦闘で、地震土竜、アンズラグは可能ならブロックされなければならない。

8/4

8/4!?…

8/4!!

8/4!!



8/4!???

8月4日と言えば、アンズラグ様の日です。
プレビュー当時多くの人々を震撼させたのはその衝撃的なスタッツ。4マナ8/4。普通に考えたら、4マナは4/4です。そんなスタッツで一体どんなデメリットがあるんだ、と思って何度読んでも、メリットしか書いていない。

令和以降のインフレを象徴するようなハイスペック生物として、あれよあれよと私たちの神さまは持ち上げられて、予約価格は4000円にまで跳ね上がりました。

しかし、その後の活躍は皆さんご存じのとおりです。出たターンには何もせず、コンボやアグロにはその一撃はあまりにも大振りで、あらゆる除去で徹底的に破壊され、サイド後に4マナは重いという理由で抜かれていきました。

4マナの《地震土竜、アンズラグ/Anzrag, the Quake-Mole》様は速攻をお持ちでないので、戦場でなんだかぼんやりしている瞬間が存在します。どうやらグルール一族の神さまたちは特に攻撃的ではないようで、現れてから一度周りを見渡す隙が存在するようです。

素キャストだとシュートする気なし

一般論として、唱えたターンに何にも起きないカードは弱いとされています。あの《長老ガーガロス/Elder Gargaroth》ですら、最初の評価は高いものではありませんでした。

逆に考えると、攻撃時メリットがあるカードにこんなに凄いパワータフネスがついているのは、唱えたターンに一度周りを見渡す間が存在する速攻がない生き物たちがいかになめられているのかを示しています。


警戒・到達はつよすぎる



絶妙な調整の賜物なのかなんなのか、今ではアンズラグ様は、4000円で8枚買うことができます。おいたわしや、一回四千円になってしまったばっかりに、わたしたちの神さまは資本主義という文明にさんざんバカにされています。しかし、私たちの神さまに石を投げることが許されているのは、実際にこのカードを使って人を殴った経験がある者だけです。


親父にもぶたれたことないのに!

冷静に考えると、パワー8って結構すごい数字です。だいたい2回殴ったら、あと4点くらい何とかなりそうな気がしてしまいます。しかし、周りを見渡しているモグラの神さまが2回その爪を振るうには、マスト除去丸出しの状態で3ターン戦場で生きのこる必要があります。

当然、発表当時のバードレジェンズでも筆者はこの新しい神さまを「1枚」試していました。しかし、戦場に出すのはブン回った後の3ターン目か、いかにも負けそうなゲーム後半。神さまがいなくても勝ったり負けたりはしています。あと引きしても速攻がないので、単体であまり強くありません。


0マナで唱えるから強い

さらに、このカードはバード・クラスとそこまで相性のいいカードではありません。確かに《地震土竜、アンズラグ/Anzrag, the Quake-Mole》はLv2の状態で(2)(赤)(緑)から(赤)(緑)分軽くなるものの、それでも2マナかかります。

この2マナというのは、Lv3でチェインしている最中に非常に重く感じます。セットランド権を使ってLv3をアンロックしたターン中に勝ちたいとき、最悪でも1マナで唱えられないマナ域のカードはゲームの行き先をふさいでしまうことがあります。2マナで出した後飛躍的にマナを伸ばすことができる《歓楽者ゼナゴス/Xenagos, the Reveler》以外の重くて強いカードはパラパラと呪文を着地させていく過程でデッキの足枷になり得ます。

バード・レジェンズのバグ要素①

それでも《結ばれた者、ハラナとアレイナ》は戦場にいるときにあまりにもリターンが大きいので1枚採用していましたが、それですらもLv3下は重く感じてしまいます。

除去られても戦場のクリーチャーを強化して帰っていく!



当時未熟だった私は、デッキに1枚だけ《地震土竜、アンズラグ/Anzrag, the Quake-Mole》を差し込んで、デッキ全体が重くなったことを確認し、いつしかサイド後必ず抜く1枚になり、最後は0になりました。

2マナは重く「サンダー・ジャンクション」前に抜けたものの、このカードならではの光るところもありました。アンズラグ様は、どういうわけか生き残った時に、一見負けてそうな状況を、なんだかんだ突破できることが多かったのです。白状すると、最初のプレビューを読んだ当時の筆者は、アンズラグ様の爪の一撃が引き起こす不条理をよく理解していませんでした。


アンズラグさん殴ってるぞ!!

いざ殴り始めると、私たちの神さまはとにかく強いです。この「追加戦闘」というのは、それまでの盤面によっては、あまり誘発させたくない効果でしょう。当然、このカードをなるべくスルーし続ける形になります。

しかし、20点のライフで8点の一撃を何度も受けられるのでしょうか?一度はアンズラグの爪を受け止められるかもしれません。ですが、2度受けるのはかなりきついはず。2回こいつで殴れば勝てる、という事実はマジックというゲームを非常に単純にします。追加戦闘を考えると、事実上ブロックすることを推奨されないクリーチャーなのです。
このカードは、8点本体に与えられる置物に近いのではないでしょうか?

アンズラグ様が殴って来るとどうなるのか、けっこう多くの対戦相手はあまり分かっていません。ライフが8を下回っている状態でアンズラグ様の召喚酔いが解けた場合、仮にブロッカーが立っていたとしても、アンズラグ様を倒せないとゲームが終わってしまいます。ブロックされた場合、アンズラグ様は「あなたがコントロールしているすべてのクリーチャーをアンタップ」なさるので、ご自身でもう一度対戦相手のクリーチャーに向かって突撃し始めます。寓話のコピーで作ってチャンプでごまかす、はアンズラグ様の前では通用しません。実は、アンズラグ様は効果がめちゃくちゃ強い。殴り始めたら、ご自身が倒されるまでアンズラグ様は止まらないのです。

チャンプブロックすると追加戦闘フェイズが発生してしまうので、一撃でアンズラグを落とせるようにブロックするか、スルーするかしかありません。もし隣に1体もクリーチャーがいないなら、それがアンズラグ様への正しい対処手段です。

スゲェ!!!アンズラグさんブロックされてっぞ!!


やはり文明もアンズラグ様のアタックを受けることができないんだ!!

しかしレジェンズたちのアンズラグ様に対するリスペクトは尋常ではありません。散々神輿を担いで殴らせたアンズラグさまは、デッキ全体に絶大なメリットをもたらします。バード・レジェンズの主力となるクリーチャーはいずれも戦闘開始時の誘発型能力を持っているので、このデッキでは様々なクリーチャーの誘発を複数回使えることになります。《地震土竜、アンズラグ/Anzrag, the Quake-Mole》もまた、「何体か並べて始めて強くなる」効果を持つレジェンドの一つであるのは間違いありません。

身を挺して守ります!!

さらに、バード・レジェンズのレギュラー枠には《忠実な護衛、ハジャール/Hajar, Loyal Bodyguard》 というクリーチャーがいます。《地震土竜、アンズラグ/Anzrag, the Quake-Mole》さまとの相性は抜群で、彼は出て即座に破壊不能付与の効果を起動できるため、対戦相手がブロックしないなら顔面に8点、ブロックするなら破壊不能を付与されたアンズラグが何度も戦闘、クリーチャーを殺しまくり、最後は顔面に9点、という状況を作ることができます。
相手にブロッカーが何体立っていようとアンズラグの爪を受け切ることができず、全てを破壊し尽くして相手の文明の礎に切り込むことができます。

ハジャールからモックス・アンバーを絡めて3ターン目《地震土竜、アンズラグ/Anzrag, the Quake-Mole》轟臨は
3回殴ればおおむねゲームに勝てる、そこそこソリンリッパ―
な流れなのではないでしょうか。都合上ブロックできないのであれば、飛行を持っているのと同じです。


盤面で戦うデッキに対して妙に強い


緑単デッキがぶん回り,いつのまにか盤面が強大なクリーチャーで埋まっている場合、基本的には全除去以外ではゲームに負けています。しかし《地震土竜、アンズラグ/Anzrag, the Quake-Mole》と《忠実な護衛、ハジャール/Hajar, Loyal Bodyguard》は違います。この2枚は、対緑単戦や「陰湿な根」デッキに対して最強のカードです。破壊不能が付与されたアンズラグ様はブロッカーをその爪で惨殺し尽くし、何度も戦闘時誘発が付与されたレジェンズ全員のダメージをライフに叩き込んでくれます。

そして私たちの神さまの義務感と使命感に火が付く7マナの恐るべき起動型能力。(3)(赤)(赤)(緑)(緑):このターンの各戦闘で、地震土竜、アンズラグは可能ならブロックされなければならない。はここぞというときに突破口になってくれます。

それがどんなに愚かなことだとわかっていても、アンズラグ様の単騎アタックをブロックしければならなくなる、この不条理。
この能力を起動したアンズラグ様は、破壊不能を付与することで対戦相手の立っているクリーチャーを全員〇す断頭台と化し、一撃で盤面の突破口を完成させてくれます。


えっ、土地を1枚持ってきていいのか!

一度抜けはしたものの、環境は変わりました。アンズラグ様の時代です。とにかく《地震土竜、アンズラグ/Anzrag, the Quake-Mole》で2回(くらい)殴る!という身も蓋もない作戦を第一に置き、第二にバード・クラスによるぶん周り押し付けを軸とする作戦を採用し、バード・クラスの戦術的優先度を下げたら一体何が起きるのでしょうか。

バード・レジェンズの強みは、圧倒的にゲームの展開に影響を与える1枚、《バード・クラス/Bard Class》の存在ゆえ、対戦相手は《強迫/Duress》《呪文貫き/Spell Pierce》をクリーチャーデッキに対してサイドインしなければならないという矛盾を強いることです。バード・レジェンズはクリーチャーデッキでありながらこのエンチャントをめぐるゲームを作ることができます。中身がグルール・カラーのミッドレンジ・デッキであれば、それは好都合かもしれません。《バード・クラス/Bard Class》を乗り越えた対戦相手を待っているのは何度も殴ってくるパワー8、《地震土竜、アンズラグ/Anzrag, the Quake-Mole》です。

《呪文貫き/Spell Pierce》はアンズラグに対して無力であり、思考囲いはライフを減らし、バード・クラスに対する《失せろ》はアンズラグ轟臨のためのランドを安定供給してくれます。現在の環境では、《バード・クラス/Bard Class》はLv3まで辿り着かないことも多いので、このピントのずらしを利用してゲームを掌握しましょう。

過去のリストを見てみると、みんな、このカードを1,2枚しか使っていなかったことに気付きます。これだとアンズラグ様を大事にしたくなってしまうので、接死に対して雑に攻めていけません。きっと違います。この神さまは、別に死んでも構わないくらいの勢いで膠着した盤面にバンバン突撃するのが一番強いのです。そのためには、1枚という枚数では足りません。4枚入れて雑に殴り続けるのが超強いクリーチャーです。

何度追放しても、殺しても、デッキの底からひょいとやってきて、そのたびに対処を強いる盤面の王者。それが私たちの新しい神さまの姿です。

アンズラグ様!!お急ぎください!!

しかし、アンズラグさまに限らずグルールの神さまは特定の条件下でのみ輝く、要介護な存在であるのは間違いありません。このカード最大の弱点は「速攻がない」というところです。私たちはこの神様になんとしても速攻をつけてがんばらせ、隙を小さくしてあげなければなりません。太いクリーチャーでデッキを構築し、マナサポートとしてバード・クラスを運用する、重く遅いバード・レジェンズ。3回殴れば勝てる、実質ワールド・ブレイカー持ちであるアンズラグ様をあえて4投し、がんばって走らせるデッキです。どういうわけかスピード・アタッカーがついている世紀末・ヘヴィ・デスメタルは違うんです。


3回殴ればゲームに勝つ!!

今月MTGアリーナのエクスプローラーで、ミシックまで使ったデッキがこちら。プラチナ4からミシック到達までに2日間という速さは、アンズラグが現環境でいかにクリティカルなクリーチャーであるかを端的に示しています。

https://www.hareruyamtg.com/decks/783278

以前のリストからの変更点を簡単にまとめると
・《精霊との融和》の不採用
・メイン除去を《チャンドラの誓い》から《塔の点火/Tower Geist》に変更
・《影槍》《争闘/壮大》の採用
《イツキンス》や他2マナを削減し、速攻付与クリーチャーの採用・アンズラグ4枚
でしょうか。

エクスプローラーからパイオニアへ

・《精霊との融和》の不採用

フィニッシャー級のドローソース


アリーナにしか存在しない、けれどもやりやすくて楽しいエクスプローラー・フォーマットでは、以前の記事で紹介した奇跡のバードレジェンズ特化型ドロースペル、《ニッサの誓い/Oath of Nissa》を使うことができません。
バードクラスLv3状況下0マナでキャストし、5枚めくれるこのカードは、ゲームの後半、フラッシュバック《記憶の氾濫/Memory Deluge》に匹敵する決定力を持つドローソースと化します。

《ニッサの誓い/Oath of Nissa》の不在は、もう一つのドローソース、《精霊との融和/Commune with Spirits》の価値までも下げてしまいます。このため、デッキのバランスは大きく変わります。


本当に必要?

《精霊との融和/Commune with Spirits》を経由して《ニッサの誓い/Oath of Nissa》を持ってこれない場合、主に《精霊との融和/Commune with Spirits》で持ってきたいのは、
・追加の土地
・バード・クラス
・クロ―ティス
の三種類になります。しかし、追加の土地であることは多いものの、このカードはバード・クラスやクロ―ティスではありません。それらを探しに行けるだけです。

もし、その《精霊との融和/Commune with Spirits》が土地に変わってしまったり、セルフ・ハンデスになってしまった場合、展開はかなり弱くなってしまいます。《バード・クラス》や《運命の神、クローティス/Klothys, God of Destiny》を絶対ゲームに絡めたいなら、《精霊との融和/Commune with Spirits》で探しに行けるだけのハンドはマリガンした方がいいです。また、初手に《バード・クラス》がない場合、リスクとリターンが見合わないので1ランドではそもそもキープしないパターンが多いです。

さらに、《精霊との融和/Commune with Spirits》は伝説でないので、バード・クラスを置いてしまった後に、あまり戦術に絡まなくなります。クリーチャーを戦場に持ってきたいことが多い後半戦に、このカードはエンチャントか土地しか持ってこれません。《ニッサの誓い/Oath of Nissa》はその性能・持ってくる対象ともにゲーム後半になるほど強くなりますが、ゲーム後半の《精霊との融和》は味が薄いです。

構築段階で《バード・クラス/Bard Class》の優先度を下げたこともあり、よくよく考えてみれば、あの時《精霊との融和/Commune with Spirits》あったらなあと思ったこともないので、一回全抜きしてみることにしました。アリーナで試したところ、《精霊との融和/Commune with Spirits》はなくても回ったので、紙でドローソースを《ニッサの誓い/Oath of Nissa》のみにしたところ、いい感じに回るようになりました。これによりハンド全体の味が濃くなったのは、明白なブレイクスルーだったと感じています。

・《チャンドラの誓い/Oath of Chandra》→《塔の点火/Torch THE Tower》

バード・クラスレベル3への依存度が下がったおかげで、本筋とあまり関係がないものの、高確率でサイドインする万能除去、《塔の点火/Torch THE Tower》をメイン採用することができるようになりました。《チャンドラの誓い/Oath of Chandra》の代わりと思って使いはじめたピン除去です。


アリーナには存在しない。別にあってもあまり変わらなそうです。

これまでの《チャンドラの誓い/Oath of Chandra》はソーサリータイミングのクリーチャーにしか当たらない3点火力。対戦相手に説明しているだけでめまいがする弱さのカードでした。しかし、今回はデッキ全体を重くした代わりに、バード・クラスレベル3の比重が下がり、除去まで伝説のカードに頼る必然性が薄くなっています。《塔の点火/Torch THE Tower》のメイン採用こそが、今回のバード・レジェンズにおいて最大の強化ポイントと言っても過言ではないかもしれません。メインからインスタント2点か3点選べる1マナの除去は革命的といってもいい強化ですし、このデッキで協約コストを払うことは容易で、パイオニアでは《ニッサの誓い/Oath of Nissa》を協約コストにすることで、《運命の神、クローティス/Klothys, God of Destiny》のインスタント顕現解除にも使えてしまいます。これは《放浪皇/The Wandering Emperor》をきれいに対処するのに非常に便利です。

やっぱりこれが一番

今のパイオニア環境で、《塔の点火/Torch THE Tower》の打ちどころが全くないマッチアップはほぼ存在しません。インスタント除去がないと負けてしまう試合も増えています。

この2枚はメインのアグロデッキや探検に対する勝率を劇的に上げました。レジェンド・カウントでこそないものの、カードパワーが違いすぎます。インスタント除去強い!《塔の点火/Torch THE Tower》最強!!

・速攻付与クリーチャーの追加

アンズラグ様に速攻を付けよう!というアイデアは、公式からも提示されているものなのかもしれません。同じ「カルロフ邸殺人事件」に収録されていたクリーチャー《古き神々の咆哮、ヤラス/Yarus, Roar of the Old Gods》はほかのクリーチャーに速攻を付けることができるデザインです。

下にごちゃごちゃ書いてあるけど、よくわかりません。


しかし彼は4/4と恵体の持ち主でありながら、自身には速攻がなく、走っていかないというのが爽快感のないポイントです。あまりやる気を感じません。きっと、中学校の頃の自分も、みんなからこんなふうに思われていたのかもしれませんね。下のテキストも厳しいって。ボソボソしゃべってんなよ。ちなみに恵体という言葉はネットスラングで正しい読み方は存在しないらしいです。とにかく、パイオニアでは、もっともっと強いクリーチャーを使うことができます。



《造反の代弁者、サムト/Samut, Voice of Dissent》

《致命的な一押し/Fatal Push》で取られない!

7年前のクラシックなクリーチャーでありながら、今この瞬間、シンプルに性能でほかのレジェンズたちを上回っています。警戒、二段攻撃、速攻の強さは色褪せることがありません。さすが令和…平成!!???

《バード・クラス/Bard Class》下では4/5のスタッツとなり、《分派の説教者/Preacher of the Schism》や《輝かしい聖戦士、エーデリン/Adeline, Resplendent Cathar》に対し一方取ることができ,多くの戦場で最も強力なパーマネントであり得ます。グルール・カラーの瞬速クリーチャーは非常に読まれづらく、5マナと言う重さもあまり気になりません。全体に速攻を与える能力は次のターンにキャストした巨大なアンズラグをスーパー・アタッカーにして戦場に破壊的な一撃を与えることができます。

もちろん、5マナ出る状態であれば、《太陽降下/Sunfall》の返しに出すことも視野。アンズラグ様のポテンシャルを思い切り引き出すのに完璧な1枚です。Lv3状況下ではこのカードが出るだけで、アガサでトランプル・速攻を付ける手間がなくなることも少なくありません。
なんならアンズラグ様よりもカード単体として強く
、アンズラグ様の隣で何度も殴るのにも適しています。

今回のデッキではLv3に入ってそのまま勝つ!というより、爪の一撃を2発食らわせる、というのが勝ち筋であり、《バード・クラス/Bard Class》はあくまで交渉の道具となります。追加のアンズラグ様がんばらせ係として《結ばれた者、ハラナとアレイナ/Halana and Alena, Partners》も増量しました。

カウンターを乗せて強化と速攻付与、強い!

《争闘+壮大/Collision+Colossus》



精霊との融和は3枚入っていたのでもう1枚くらい非伝説スペルを増やしてもいいかと思い、《争闘+壮大/Collision+Colossus》を1枚追加。メインからソリン・リッパ―に追い付ける手段が増えました。+4/+2の修整を受けトランプルを得る、壮大モードは新しく入った《造反の代弁者、サムト/Samut, Voice of Dissent》や、《地震土竜、アンズラグ/Anzrag, the Quake-Mole》と相性抜群で、思いのほかフィニッシャー級の楽しいスペルでした。ある程度大きくなった《帳簿裂き/Ledger Shredder》も処理することができます。


…というわけで、6月後半の構築では、バード・クラスが揃わなくても、最速《地震土竜、アンズラグ/Anzrag, the Quake-Mole》《結ばれた者、ハラナとアレイナ/Halana and Alena, Partners》の2枚を揃えてゲームを終える、というプランを徹底しました。《忠実な護衛、ハジャール/Hajar, Loyal Bodyguard》も増量し、序盤に除去を切る必要がなさそうな、カードパワー不足が懸念されるレジェンズを排し、横並びしないコンセプトのため《歓楽者ゼナゴス/Xenagos, the Reveler》をアウト。強いカードしか入っていない激重の構築を目指しました。これらのエクスプローラーでの学びをパイオニアに流用、試しに持って行った初日に、うっかり3‐0してしまったリストがこちら。このリストを、そのままその週のプレミアム予選に持ち込むことになります。

プレミアム予選(まける)


しかし、このアンズラグ様4枚スペシャルを持ち込んだ水戸でのプレミアム予選は惨敗してしまいます。

ラクドス✕✕
探検✕〇✕
ラクドス✕〇✕
ラクドス✕〇〇
ラクドス✕〇✕
青白コントロール○○
で2-4という惨憺たる結果。

そして、その理由も明白。

・本物は真似できない

全部の効果が強すぎます(吸血鬼がいれば)


《忠実な護衛、ハジャール/Hajar, Loyal Bodyguard》からモックス・アンバーやルビーを絡めて《地震土竜、アンズラグ/Anzrag, the Quake-Mole》様を3ターン目に着地させる、というのは、3回殴れば勝てる、まぁまぁソリンリッパ―っぽい流れ、だと思っていました。
ですが、「まぁまぁソリンリッパ―」では、本物のソリンリッパ―に勝てないと判明しました。どういうわけか本物は《傲慢な血王、ソリン/Sorin, Imperious Bloodlord》の効果により絆魂と接死がついて、ガンガン大きくなっていきます。相手のライフがすごい速さで増えていくのでアンズラグ様の一撃が届かず、自分が追いつめられるばかりになってしまいます。パイオニアのトップデッキがハジャールアンズラグでなくソリンリッパ―なのにはしっかりと理由があるのだとわかりました。

・アンズラグ様のサイドアウト率が高すぎる


全部の効果が強すぎます(無条件で)


基本的に赤緑のレジェンズたちはアホの子たちなので、青白の戦略にいいようにやられてしまうことが多いです。特にアンズラグ様は《放浪皇/The Wandering Emperor》などの白の除去、青のバウンスを大変苦手とされています。
展開の早いアグロデッキに対してもそこまでクリティカルではなく、他のレジェンズたちの力で突破できない盤面を作るデッキに対してしか強くありません。かなり得意苦手がはっきりしている1枚です。さらに速攻を付けさせていただく係→アンズラグ様の順番で置かないと強い盤面を作れないので速攻付与を先置きしなければならず、複数枚のアンズラグ様は腐りがち。常態的に2枚以上はサイドアウトしていく形になっていました。

シンプルにデッキが重い

アンズラグ様2枚、2マナ1枚、土地3枚というハンドでキープしたあと、2マナを除去されマナ源を《モックス・アンバー/Mox Amber》しか引かず、何も出せないターンが続き、自分はここまで何しに来たのだろう、と思ってしまいました。きっと、アンズラグ様もそうお考えになっていたに違いありません。4マナ域6枚、5マナ2枚に土地は20枚なのだから当然です。

《バード・クラス/Bard Class》レベル3で終わらせられないのはかっこ悪い


マナベースを《バード・クラス/Bard Class》ありきで考えていました。ゲームの駆け引きの道具としては《バード・クラス/Bard Class》を使っているので、当然レベル3にダイブするのですが、ここの部分を少々弱体化しています。アドバンテージ獲得手段を特に持っていないデッキなので、バードクラスが置けた後も、Lv2の状態からゲームを畳めないと、レベル3起動に追い詰められてしまいます。その時の着火剤がもう戦場にすでに存在する《結ばれた者、ハラナとアレイナ/Halana and Alena, Partners》だったら弱いのは明白。結局このデッキは、リソース的に追い込まれたあとに《バード・クラス/Bard Class》Lv3がどうしても必要なのです。

0マナのカードがあまりめくれない構築になっているので、セットランド権を使った後は5マナひねった後に伝説のカードをキャストしよう、という勇気がわかず、ターンを渡す、といったマインドになってしまいました。また、(赤)(緑)でキャストできる軽いレジェンドは、種類数を絞っているためあまり横並びせず、フィニッシュまでつながらないことも多かったです。





あたらしい神さまの悲しい結末。水戸から柏に向かう車の中で、Thursday Tap Tempoのみんながなんとなくアンズラグ様をかばいながらも枚数を減らすように説得してくれました。もしかしたら、アンズラグ様は本当に弱い、しょーもない1枚なのかもしれません。今は4枚入っていても、またストレージで眠ることになる運命。柏で夕食を食べたあとに、上野で結局終電を逃してしまい、満喫で眠ることになりました。

自然に目が覚めてしまって、起きたのは朝の三時半。あまり居心地のいい満喫ではなかったのですぐに出て、重くなったデッキの入った重いリュックを背負い、私たちの新しい神さまの事を考えながら少しずつ明るくなっていく上野御徒町中央通りを歩いていました。

マジック:ザ:ギャザリングは神さまという概念をどのように解釈しているのでしょうか?

ひげの生えた女性、《ニコ・アリス/Niko Aris》。
本文とは特に関係ありません。

一応、ポリティカル・コレクトネスの実施は大いに正しいことです。その節々の摩擦に色々言ってくる人がいても、基本的に正しい考え方です。

そしてマジックはポリティカル・コレクトネスを早いうちから意識していたカードゲームです。


ギリシャ神話の神々は人間らしく愚かだ、というステレオタイプ

そんな、商品から宗教的なもの、性別規範的なものを排除したいポリティカルコレクトネスの世界では、「神/God」というクリーチャー・タイプはとても強く、とてもデリケートな単語です。このゲームを作っている人たちも,なるべくなら相当に気を遣いたい単語のはず。

MTGは「神」というデリケートな概念を包括するためにここではないどこかの次元と、神さまを強く結びつけています。

要するに,ここの神様はこういう性質を持っている存在なのです、現実の「神」という概念とは違うんです、という表現を徹底しているようです。


ご存じ畜生神

2013年に出てきた最初のテーロスの神さまは、エンチャント・破壊不能という性質を持っています。

古代ギリシャの世界をモデルにした「テーロス」次元の世界では、自分の戦場に同じマナシンボルが集まっていないと、神様はクリーチャーとして戦場に存在することができません。それまでは《太陽の神、ヘリオッド/Heliod, God of the Sun》はすべてのクリーチャーに警戒を持たせる置物です。

しかし、戦場の(白)シンボルを持っているパーマネントの数が増えると、4マナ5/6・破壊不能の生物として降臨します。クリーチャーの「信心」が十分に満ちている状態でしか、実体化しない、信じているものの前でだけ現れるというフレーバー。
「破壊不能」の「エンチャント」は処理しづらく、いつまでも戦場に残るので、彼らはとても強力です。

次に2017年,古代エジプトをテーマにした「アモンケット」で神様が現れました。

《有翼の叡智、ナドゥ/Nadu, Winged Wisdom》

アモンケットの神様たちは、普通にその辺を歩いていて、日常に馴染んでいるようです。 

これらは最初からクリーチャーとして戦場に存在しますが、プレイヤーが条件を満たさないと戦闘に参加してくれません。プレイヤーはこの神々の存在を前提にデッキを構築する必要があります。


つらい

ずっとクリーチャーなのがポイントで、破壊不能の生物なので倒されない、と思いきやなんだかんだ彼らはマイナス修正や追放除去で殺されてしまいます。


めちゃくちゃつよい

そして「アモンケット」次元の壊滅を描いた「破滅の刻」では死後にプレイヤーのコントロール領域に還って行き、再び蘇る、死という概念を超越した神々が登場します。神のあり方が、破壊不能だから死なない、から殺されても何らかの手段で戦場に戻ってくる、に変わりました。

神々もまたゾンビにされ、死を超越した存在になってしまう

アモンケットの次元では、人々は死を通過儀礼として受け止めています。この変化は、実にアモンケット次元のストーリーを非常に上手く表現しています。


KAMI

日本をテーマにした神河にも神は存在します。ところがこの神様は、Godではなく、kamiです。クリーチャータイプは「スピリット」で「God」ではありません。kamiはいろんなところに少しずつ存在しているようで、まぁ、すごいくらいのニュアンスです。日本語と同じですね。


お気に入りのカード。大釜で煮込もう!

皆さんお気づきのように、様々なポップカルチャーの影響が混在するマジックの世界において、過去にあった古代の国をモチーフにした舞台にしか神というクリーチャー・タイプは登場しません。古代ギリシャ、古代エジプト、古代日本。その背景にすごく気を使っていることが伺えます。


そんななかで次元一つが丸ごと一つの都市になっている「ラヴニカ」では文明の発展を拒否したグルール一族にのみ神さまが存在する、というのは非常に示唆的です。文明が行き届いた世界では神の居場所はなく、グルールの支配地区にしか神が存在し得ない、というのはもののけ姫の世界観を彷彿とさせます。


イルハグ様を軸にしたイルハグ・シュートというデッキも存在する

グルールの神さまは、普通のクリーチャーと同じように除去で死にます。死んだりコントロールを奪われたりあらゆる方法で妨害されますが、その代わりに攻撃した時に凄まじい効果があるやつらが、グルールの神さまです。グルール一族は殴ったときにとにかくすごいヤツを神さまとして崇めている部族のようです。テーロスの神さまと、ラヴニカの神さまは全く別です。当たり前ですが、神さまの本質は、その信仰の形にあるという事をマジックは表現しています。

《地震土竜、アンズラグ/Anzrag, the Quake-Mole》は私たちが言葉として思う「神/God」ではなく、本当は私たちに生体兵器として利用されているだけの大きなモグラなのかもしれません。他のレジェンズとそこまで変わらない、歌に気をよくして出てきただけの敵意のない普通の生き物です。

全部1枚!

そうなると、何枚もデッキに投入し、何度も働かせるのはちょっとかわいそうに思えてきました。しぶしぶアンズラグ様を1枚まで減量。速攻を付与する生物たちも、ここまでたくさんいる必然性が薄くなったので減量を決意しました。

全て1枚で回してみたところ、思いのほかデッキが強くなりました。「伝説のクリーチャー」は戦場に重ならないのでもう引いてしまっているレジェンズは単体でいくら強くても2枚目は全員弱い、ということにここで気づきます。マナが増やせる《勇敢な追跡者、ルビー/Ruby, Daring Tracker》何枚かゲーム中に握りたい《忠実な護衛、ハジャール/Hajar, Loyal Bodyguard》以外は複数投入することで各々のカード・パワーを下げてしまいます。すごく強いな、と思っても我慢して1枚。みんな1枚ずついるからなめらかに動くのです。


やはり軸

筆者は慌てて《歓楽者ゼナゴス/Xenagos, the Reveler》と《鐘突きのズルゴ/Zurgo Bellstriker》《終わりなき踊りのガリア/Gallia of the Endless Dance》《悪魔牙のノール、ターグ・ナール/Targ Nar, Demon-Fang Gnoll》、0マナでキャストできる全種類のレジェンズをデッキに戻しました。採用枚数の基準はゲーム中に複数枚欲しいかどうか。《地震土竜、アンズラグ/Anzrag, the Quake-Mole》様はほかのクリーチャーで神輿を担いだ末に1枚やってくることによって最大限の力を発揮する、と気づいたため1枚。結局このデッキは最後の最後のリソース手段をLv3に頼らなければならないということがわかっています。レベル3に置いて、戦場に絶対かぶっていない伝説をめくり続ける状況が一番強いです。0マナレジェンズの品目数を削りすぎると、クリーチャーがあまり並びません。やはり、赤緑マナの0マナ生物は正義です。デッキは回るようになり、たまに強いパーマネントをたたき続けるちょうどいいバランスになりました。


まだまだ現役のスペック!

研究の末にプレイングと組み合わせの幅が広がり、結局《地震土竜、アンズラグ/Anzrag, the Quake-Mole》様もまた、他のレジェンズと同じように、1枚はいてもいいカードだと感じました。やはり、レジェンズたちの《地震土竜、アンズラグ/Anzrag, the Quake-Mole》様に対するリスペクトはすさまじく、様々な組み合わせが発見されています。バードレジェンズはクリーチャー同士で紡ぐ複雑なパズルのようなデッキです。5マナのサムトとアンズラグ様の加入により、クリーチャー同士の「強力な組み合わせ」の数は単純に増えました。

加えて、新しいデッキ、「アゾリウス・ファルコン」に対するメタカードとして《影槍/Shadowspear》を採用。

うまく行ったら、ハジャール+アンズラグのまぁまぁソリンリッパ―コンボも《影槍/Shadowspear》によって本物のソリン・リッパ―に近づけるかもしれません。あまり試していないので、ここはよくわからないです。

どんなに強くてもみんな1枚ずつ。(赤)(緑)の宿命づけられたレジェンズたちを全て最低1枚採用。普通強いカードは4枚なのに、《バード・クラス/Bard Class》は不思議なカードです。種類数が多いのはそれだけで正義です。戦場で絶対にかぶっていない、ピン挿しのレジェンズの多さは、《バード・クラス/Bard Class》というカードのパワーを最大限まで引き出し、それまでの重めの速攻付与2枚ずつの構築に比べると、驚くほどなめらかに回るようになりました。

除去とスペルのアップデートは様々なデッキに対する勝率を改善し、デッキ全体をちょっと重くしたものの除去、クリーチャーのラインナップ、マナベース全て盤石な新しいバランス。「サンダー・ジャンクション」期の結論構築といっても差し支えない綺麗なデッキリストが完成しました。

エリア予選



私たちの神さまが必殺技をご起動なされる直前の瞬間。
筆者の友人で、バード・レジェンズの名手である友人のfenu氏による撮影。

R1 バント・ロータス×○○

《反逆のるつぼ、霜剣山/Sokenzan, Crucible of Defiance》2枚ドロー!


初戦はバード・クラスを設置したものの、相手がストレートにコンボを決めて負け。
第2ゲームは、1ターン目ズルゴからテンポよく展開できる初手をキープ。燃え殻蔦を設置・《演劇の舞台/Thespian's Stage》に母聖樹で相手のライフを追い込む。
第3ゲームはお互い2マリスタート。そんな中奇跡的にサムト+《反逆のるつぼ、霜剣山/Sokenzan, Crucible of Defiance》+ターグ・ナール先輩のささやかなコンボが決まる。

R2 白単○××

キッカーで打てば、《変わり谷/Mutavault》を破壊できるのに!


初戦は2tバードからレベル2で圧勝。
第2ゲームは影槍に頼りすぎた結果、装備先をテンポ良く除去されて負け。《影槍/Shadowspear》は絆魂とトランプルが付くとはいえ、カード1枚分装備でテンポを失っているため、ピン除去に弱くなり必ずしも白単に強いとは言えないのかもしれない。

第3ゲームは《燃えがら地獄/Cinderclasm》と《運命の神、クローティス/Klothys, God of Destiny》でキープするものの2マナで土地詰まりで敗北。

R3 vs 現出エルドラージ○×〇

第一ゲームで暴れすぎて、《老いたる深海鬼/Elder Deep-Fiend》を読めず

第一ゲームは設置から1ターンで手札のパーマネントを全て展開し勝ち。
第2ゲームは《倦怠の宝珠/Torpor Orb》設置を優先。3tバード・クラスを設置するものの、レベルアップスタックで母性樹。《老いたる深海鬼/Elder Deep-Fiend》が現出しテンポを失ったこちらに、《ストーム・ジャイアントの聖堂/Hall of Storm Giants》が襲いかかる。
第3ゲームは速度勝負を仕掛け、最速レベル3が決まって勝利。

第4ゲーム vs探検○○

強い。サイドにもう一枚入れたい

偶然メインから塔の点火ありでキープ。バード・クラスから手札ほぼ展開、手札に塔の点火という状況を作って勝利。
サイドカードはたくさん入っているが、序盤のコンバットでほとんどの火力を使ってしまう。最後にハンドに残ったのはハラナとアレイナ。戦場の3マナサムトを育てて、双剣山でドローを稼ぎ、マッチアップのキーカードである《暴れ回るフェロキドン/Rampaging Ferocidon》にたどり着く。

R5 vs緑単✕○○

6+14=20点!!

初戦は残り1まで削るものの、相手がぶん回って《ウルヴェンワルドのビヒモス》出現まで辿り着いてしまう。
第二ゲームはバード・クラスレベル2の破壊をこちらのアップキープまで引っ張られたため,スタックで5マナ《造反の代弁者、サムト/Samut, Voice of Dissent》が登場。戦場のクリーチャーと合わせて残ライフを削り切る。
第3ゲーム、土地5枚にモックス・アンバー,戦場に忠誠値3のゼナゴスandアンズラグ様,・油を使い切ったミグロズ、相手のライフ20、こちらのライフは1という状況。トップしたのはイツキンス。相手のブロッカーはラノワールのエルフ一体。イツキンスをキャストし、ゼナゴスをプラス。ちょうど7マナでアンズラグの起動型能力を起動。無慈悲なるアンズラグ強制ブロック。6点分スルー。追加戦闘で3体分、6+14=20点。無慈悲なる一撃が文明の礎に切り込んだのである。回していて驚くほどエレガントに勝てて、最も印象的なゲームでした。アンズラグ様最強!!

R6 vsラクドスヴァンプ○○


パイオニアの2ターン目最強アクション

1ゲーム目、2ゲーム目ともに囲い飛んでこなかったので一瞬で終了。寓話・税血と除去しかプレイしてないので、ラクドスヴァンプだったかどうかも不明。

R7 vsイゼットフェニックス✕○○

イゼット・フェニックスに対するバーサーカー。


初戦はバードクラス、土地4、まぁやるか、とキープ。
フラッド気味の第6ターン、土地6枚と《モックス・アンバー/Mox Amber》、手札にはアンズラグ様。しぶしぶアンズラグ様を出し、レベル3を起動してエンドした返し、《時間への侵入/Temporal Trespass》のバックアップを受けた帳簿裂きとフェニックスがアンズラグ様の頭上を通過していき敗北。イゼフェニ戦なので渋々アンズラグ様にはサイドボードでお休みいただく。
イゼット・フェニックスだとわかったら、優先すべきは《運命の神、クローティス/Klothys, God of Destiny》。
第2ゲームは1マリから、《運命の神、クローティス/Klothys, God of Destiny》でキープ。2T《氷の中の存在/Thing in the Ice》を《引き裂く流弾/Rending Volley》で処理できたのが大きい。

3ゲーム目は土地1《ニッサの誓い/Oath of Nissa》、《運命の神、クローティス/Klothys, God of Destiny》でキープ。クローティス+12点パンチで勝ち。

6-1からIDで権利確定!!

アンズラグ様はやはり、パイオニアの神さまでした。最強とは言い切れないシチュエーションも数多く存在し、サイドアウトしたゲームも少なくありません。それは他のレジェンドたちにも言えることで、こいつらはみんな、特定のマッチアップと、特定のシチュエーションで輝くカードが多いです。全マッチアップ通して、レジェンズたちの細かい効果を細かく使って勝利したゲームが全体の5割程度を占めています。事実、緑単とのマッチアップはアンズラグ様のお力添えなくしては突破できない盤面でした。いくら単体で奥ゆかしい強さとはいえ、1枚の枚数を特別増やしたり減らしたりするのはあまり良くないようです。特に(赤)(緑)、0マナでキャストできる軽いレジェンズは、今後全てデッキに入ります。1枚も外してはいけません。ここの種類が多ければ多いほどバード・レジェンズというデッキは強くなります。


逃げ惑う人々!!

デッキに1枚くらいだと、ちょっと重くてもかわいげとして受け入れることができますし、デッキにピン挿しのカードは、要所で気持ちよく引けるととっても強く感じます。統率者デッキと同じでゲーム体験も毎回新鮮です。これにしか突破できない盤面がある、そんなカードが1枚あるというのはいい事です。たまーにアンズラグ様を活躍させられると楽しい、というちょっとしたスパイスを与えてくれる1枚であることは間違いありません。そして、バード・レジェンズのクリーチャーたちはみんなそんな感じです。《地震土竜、アンズラグ/Anzrag, the Quake-Mole》を4積みしようという発想に至らなければ今回のリストに辿りつかなかったはず。自分がファイナルの権利を手にできたのは、コミュニティのみんなの意見と、アンズラグ様のお力添えあってこそです。

筆者は、音楽の力に気をよくして地上に出てきた、のろまなモグラの神さまをもう少しだけ信じてみようと思っています。きっと、いつの日か皆さんの前にも災害のように突然《地震土竜、アンズラグ/Anzrag, the Quake-Mole》が現れるはず。その時のために、備えを怠ってはいけません。

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