ガーツ&ボニー

ガーツは手の中のクラシックな拳銃を見て後悔した。
出来心で、残虐と金持ちで有名な蒐集家ゴーラルの宇宙船に忍び込み、コレクションルームを漁っていたらあっさり警備システムに見つかり、とっさに骨董品の銃を掴んで逃げ出した。
侵入したダストシュートには先回りされ、図面でしか知らない船内を逃げ回っている内に、船の端に追い込まれる。愛用のレーザー銃は、ビビッて乱射してるうちにエネルギー切れ。残るは、安全装置の外し方すら分からない、リボルバー。稼ぎとしても武装としても、命を懸けるにはみみっちい。

ガーツはため息を飲み込んだ。吐けば、そのまま諦めてしまいそうだからだ。

「しっけた面してんなあ!」

リボルバーが身を震わせて、言葉を話した。金属を軽く叩いたような耳障りな声だ。ガーツは目を丸くした。こんな古臭い骨董品に、AIが搭載されていたなんて。

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