それぞれの横浜大会を見て感じたK-1とRISEの違い
9月末はRIZIN、K-1、RISEとそれぞれの団体で大きな興行が開催されました。
その中で同じキックボクシング団体のK-1とRISEの違いを感じることがあったのでまとめます。
先にK-1、RISEを別の業界で例えるとK-1はテーマパーク、RISEは遊園地です。
どういうことかと言うとK-1は特定の選手や試合ではなくその興行自体を楽しみにしているファンが多く、RISEは特定の試合や選手を楽しみにしている人が多いということです。
まずはK-1から説明します。
テーマパークつまりディズニーやUSJに特定のアトラクションに乗ることを目的に遊びに行く人は少ないです。
大体、絶叫系から癒やされる系などいろんなアトラクションに乗り、キャラクターと戯れる、パレードを見るなどしてその空間の世界観を楽しむ人が多いと思います。
今回大会前にTwitterを見て感じたこととしてK-1は特定の試合よりもその興行自体を楽しみにしているファンが多いと感じます。
つまりディズニーを楽しむ人と同じだなというわけです。
中にはK-1を持ち上げるためにRIZINやRISEを見てやっぱりK-1が最高だなとTwitterでつぶやく新生K-1原理主義者みたいな気持ち悪い層もいますが、興行自体を楽しみにするファンを作れているのは団体として強いです。
これが実現できているのは色んな場面でキャラ設定ができているのが大きいのではないかと思っています。
例えば新生K-1の解説といえば魔裟斗というように他の団体よりも解説者のキャラも強いです。
これはK-1という名前を使えていることが大きく影響しているでしょう。
おそらく名前がK-1ではなくKrushのままであったら魔裟斗は解説していないと思います。
解説者で言えばRIZINも高田延彦、藤井恵とほぼ毎回解説している人もいますが高田延彦は解説ではないと言われていますし、藤井恵に関してはコアなファンでなければ知らないと思うし、そもそもPRIDE、RIZINで試合をしたことがなくOGでもありません。また失礼な言い方になりますが間に合わなった人というキャラです。
今のK-1が好きな人は魔裟斗の現役時代を知っている人も多いでしょうし、知らなくても親世代がファンだった可能性も高いと思われます。
選手サイドでは武尊が引っ張ってK-1王者はKOで勝たなければならないとし、下の世代のファイターやファンもそういう価値観の人が多いです。
唯一その風潮に異を唱えているのが村越ですが実力があることも影響して逆に判定マシーンとしてキャラが立っています。
一方RISEは遊園地と例えました。
どういうことかと言うと遊園地でテーマパークのような楽しみ方をする人はいないと思います。
例えば富士急ハイランドに行く人は絶叫系に乗るために行く人が多く、あの空間の世界観を味わうために行く人は少ないでしょう。
RISEも似たような状態だなと感じています。
今回のRISEは天心の試合はもちろん、原口、白鳥直樹のリマッチ、ベイノアねぎそして-53キロトーナメント準決、決勝が注目されていたと思います。
しかし他のカードで印象に残った試合、大会前から話題になっていた試合が他にあるでしょうか?
今回に限らずですがRISEは天心や原口など能力の高いファイターがいる一方でRISEのストーリーになっていないと感じます。
例えば今回の-53キロトーナメントは他団体からも有力な選手を集めて日本一レベルの高い-53キロトーナメントを開催しました。
しかし、天心が自分の試合があるにもかかわらずプロモーション側に回るなど残念ながら選手だけでは注目を浴びなかったというのが現実です。
RISEだから見たいというよりこのメンツなら見たいという人が多く、それはRISEファンではなくキックファンということになります。
しかし格闘技が好きな人という時点で一部の層に限られるのでこれでは人気は出ないでしょう。
那須川天心がデビューして急速に成長し、大きな会場を抑え、K-1を除く他団体の有望選手を集めてきたRISEですが方針を早く転換しないと手遅れになると感じています。
というのも那須川天心は来年3月でRISEから卒業します。あと1試合です。
天心がいないRISEをK-1と同じくらい注目する人がどれだけいるでしょうか?
また、天心が出なくてもRISEの動向が気になるという人がどれだけいるでしょうか?
なぜこんな事になってしまったのかを考えたときにRISEとK-1の違いが明らかになってきました。
K-1は団体以上の選手がいないと思います。
武尊はどうかという人はいると思いますが武尊と戦いたいと言ってK-1に来た人は村越くらいでしょう。
3月に激闘を繰り広げたレオナ・ペタスはたまたま自分の階級の王者が武尊だったというように見えます。
彼は母親とK-1のベルトを取るということを約束していたようです。もし武尊が別の階級で別の人間が自分の階級の王者でもモチベーションは変わらなかったと思います。
ここはやはりK-1の名前を使えているのが大きいかもしれませんが、よく考えるとK-1のビッグマッチは基本的にタイトルマッチです。
つまりいかなる時でも頂上には各階級のK-1のベルトがあるのです。
逆にRISEは団体よりも個人が上に立ってしまったことが最大のミスだと思います。
その象徴が那須川天心です。
RISEのベルトよりも天心と戦いたいという人が多く、志朗や鈴木真彦、過去には内藤大樹もそうです。
天心がRISEを去ったあと志朗や鈴木はRISEに残ってくれるのでしょうか?
内藤はONEに参戦して活躍しています。
また、RISEは毎年強豪を集めたトーナメントを開催していますがそのトーナメントの頂点が階級の王者でないことも良くないです。
例えば今回のトーナメント優勝はランキング4位の風音ですが優勝しても王者になるわけではありません。
また、このトーナメントを優勝して優勝者のベルトを巻かれた今、大崎一貴の持つライズスーパーフライ級のベルトを取りに行くのでしょうか?
風音はリング上で天心との対戦を要望しました。
また、よく調べると色々疑問もあります。
例えばRISEの象徴の一人でもある原口ですが現在はどの階級の王者でもなければランキングにも入っていません。
また、過去のRISEトーナメントを調べてみるとタイからも強豪を呼び、日本代表がK-1と比べても少ない世界トーナメントを開催していますが、体重が-61と-58です。
なぜ階級が存在しない体重でトーナメントを行うのでしょうか?
こうやって自分たちで自分たちの団体のベルトの価値を下げていると思います。
そもそもRISEにおいて最大の価値をもつ称号がなにかもよくわかりません。
そこらへんがK-1と比較して運営というか仕組みが成熟していないと感じます。
RISEの中で将来有望かもしれないと感じるのはむしろgirls powerでかつての新生K-1黎明期のような個々が自分の個性を出している光景が見れて面白いです。
いまは明確な正解がない状態で誰が正解になるかを寺山とAKARIがトップで争っており、他にも階級は異なりますが宮崎だったり平山あたりが対戦相手と毎回バチバチの言い合いをしている印象です。
また神村エリカの存在も新生K-1における魔裟斗みたいになりつつありもしかしたらRISEは女子キックの団体になる日もそう遠くはないかもしれません。
一つだけ気をつけたほうが良いのは売れなかった時代のOGをありがたがって解説に呼ぶことで聞いていてマイナスな発言もあったのでもっと伸ばしたいなら呼ばないほうが良いと思います。
さて、K-1とRISEの違いを説明すると言うよりはRISEへのダメ出しになりましたが、RISEにとって天心がいなくなるというのは過去最大の危機です。
また、天心がいなくなることに対して一番焦っているRISEファイターが天心なのが絶望的だと思います。
来年3月まであと半年を切っていますがここからRISEがどうやって運営していくのかそれを注目しようと思います。
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