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異様な記者質問 原発放流水に関して大阪府知事に

 大阪府吉村知事の定例記者会見でのやりとり。ポイントを要約しよう。
記者:中国の輸入禁止で売り上げに影響を受けた漁業者に政府が200億円の補助金を出すそうだが、それは筋が違うのではないか。中国は原発処理水の放出を問題にしているのだから、放出をやめれば済むことだ。知事は政府に放出中止を申し入れるつもりはないか?
知事:放出は科学的根拠に基づき健康、環境に影響なしとの前提で行っていると承知しており、政府の方針は正しいと考えている。
記者:商売は顧客があって成り立つ。中国に買ってもらうようにすり寄ることが政治の使命ではないか。もっと中国政府の主張を理解すべきだ。
知事:では聞くが、あなた(記者)は中国政府の「処理水は危険説」に賛同しているのか。質問者の見解をまず確認しておきたい。
記者:科学的にはいろいろな説が成り立つわけで、中国政府の主張にも理解するのが政治の勤めとの考えを持っている。
知事:国際機関を含めて世界中の科学者からも「安全な処理水」とのお墨付きを得ているし、日本政府は中国にもしっかり説明しているはずだ。そもそも中国の原発は、今回処理水の何倍もの濃度の放射能水を海に放流している。中国にこそ、貴国の主張に根拠があるのかと、ジャーナリストであれば確認すべきではないのか。
記者:しかし中国が納得せず、原発地とは無関係の北海道のホタテなども輸入禁止にして、日本の漁業者が苦しんでいる。それに対して国費200億円を投下するのは筋が違う。
知事:そのとおり。筋が通らない。それは中国のやり方がおかしいからである。その無理押しに妥協して処理水放流をやめたら、日本は世界からの信用を失い、日本人は自信を失ってしまうことになる。その点、あなた(記者)も日本人であるならば、じっくり考える必要があろう。

 時間切れで終わってしまったが、見ていて心が暗くなった。
 もちろん記者に対してである。知事の主張はまったく正論であるにもかかわらず、その記者は食い下がり、他の記者からやめろととの声も出なかった。

 中国の輸入禁止で困っている漁業者への対策は、「今回は緊急補助するが、そもそも中国のようになんでも政治利用する危ないところに商品の大部分を振り向けることがリスクなのであり、輸出先の多角化などを業界として展開していかなければ同じことが繰り返される」との知事の説明に説得力があった。
 数年前にも中国は台湾のパイナップル輸入禁止という悪手を使った。農業者を困らせて台湾国内の分裂を狙ったのだが、日本人が台湾パイナップル買い込んで事無きを得た。それでパイナップル好きになった者が少なくなく、台湾の漁業者はかえって自信を得たのではないか。

「中国はそう言うことを平気でする国なのですよ。それを承知で付き合う必要がある」。そういうことなのだが、その点で政府の方針は生ぬるすぎるのではないかと思う。
 どう考えても中国のやり方は理不尽である。通常ビジネスであれば、唐突で根拠のないビジネス反故は賠償の対象になるはずだ。
「漁業者へ支出する200億円は貸し出しとする。日本政府として漁業者に成り代わって中国政府に賠償請求をする」。外務大臣はこのくらいのことを言うべきであろう。そしてしかるべき国際機関に調停等を申し出る。

 ところで筋悪の質問を繰り返して記者の意図は何だったのだろう。記者の背後になにかあるのだろうか。
 それにつけても国益を守る観点の希薄さが気になる。日本にはなぜスパイ防止法がないのか。中国の国家保安法のようなおどろおどろしいものは願い下げだが、最低限の国益保全の立法が必要ではないか。ボクの考えでは内容は簡素でよい。
「外国政府またはその関係者の請託等を受けて、わが国の政治政策に影響を及ぼそうとした者は死刑または仮保釈なしの終身禁固。上記請託をした者は永久国外追放」
 この内容であれば外国エージェントはせいぜい国外追放であり、外交摩擦はあり得ない。国内で言論の自由との関連の議論が出るだろうが、主権者(日本国籍者)でない者が政治に口出しすることは憲法違反である。
 政治資金やパーティー券。カネを出す者は多かれ少なかれ、政策をカネで買おうとする意図がある。日本国民の場合は、その内容で合法違法を判断することになるが、外国人のカネが絡む場合は一律アウト。それが国民主権の基本であろう。
 危ない橋を渡るのはよそう。みんながそう考えを正すことが政治不信解消の田一歩のよう感じた。

 


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