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イラン大統領墜落死 ”友好国”としてどうする?

 イランのライシ大統領がヘリコプターで墜落死した。イランといえば、ガザのハマス、シリアのヒズボラ、イエメンのフーシ派などの黒幕。同大統領は、イスラエルやアメリカとの戦争をこれから本格化させると演説しており、またロシアにドローン兵器などを支援供給している。さて、大統領の死亡で国際紛争はどうなる?

 日本とイランとの関係がどうなっているか。マスコミ報道(例えば読売新聞5月21日)では、「日本はイランとの伝統的な友好関係」とする(社説)一方で、「中国はイランとの伝統的な友好関係を重視」と習近平氏の弔電を紹介している(11面)。
 日本とも中国とも友好的な国とはどういうことだ。ずいぶんと器用なものだと不思議だったが、こう考えればいいのだと気がついた。中国の友好関係はイランの現体制との間でのもの。イランでは1978年に立憲王政を倒す革命が起き、以降、ウラマー(イスラム高位学識者=ハメネイ師)による専制が継続している。国民抑圧、世界平和秩序の破壊という点で、習近平、プーチン、金正恩と気脈を通じ、アメリカからは「悪の枢軸4国」と呼ばれている。

 では日本との友好とは何か。イラン人の親日性は、トルコ、ポーランドなどと基本は同じで、これらの国々がロシアの侵略恐怖におびえていた20世紀初頭に、日本が日露戦争でロシアを打ち破ったことに発している。つまり友好関係を言うならば、今の専制体制ではなく、イランの市井の国民が抱く素朴な日本への敬愛が基本なのである。

 報道では岸田総理は「突然の訃報に接し、深い悲しみの念に耐えない。哀悼の意を表する」との談話を発表したそうだ。日本は国民主権の民主主義国。それを背景にイラン国民向けにメッセージを追加べきではないのか。例えば「イラン国民が選ぶ次期大統領が世界平和と人権の回復に着手することを願う」とかなんとか。
 なおイラン革命の際には石油枯渇の怖れで日本中が右往左往したが、安全上の観点から今ではイランからの石油輸入はゼロとのことだ。

 おりしもこの日は台湾の頼清徳新総統の就任式。民主主義政権の継続は日本にとっては慶賀すべきこと。ところが中国の駐日大使呉江浩氏が、「日本の民衆が火の海に連れ込まれる」と恫喝している。日本国憲法は国民主権を「政治道徳の普遍の原理」と定義しており、自国民をも抑圧している体制の手先である大使のこうした発言は武力を背景にした「威嚇」そのものではあり、許してはならない性質のものである。
「不適切発言であり取消せ。そうでなければ”ペルソナ・ノングラータ”で退去を求める」べきであろう。呉大使は昨年5月にも同様の発言をしており、失言ではない。当時の林外務大臣は国会で「極めて不適切な発言であり、中国政府に外交ルートを通じて厳重に抗議している」と答弁している。にも拘らず同じ恫喝を繰りかえしたのである。
 なお、呉大使の発言に同席して同調した日本の政治家がいたようだが、素人目で見ても刑法80条の外患誘致罪の予備には該当すると思える。外患誘致罪は未遂を含めて「死刑」に処せられることになっている。

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