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630参議院不要論 真剣に考えるべき事項である

 参院選が終わりました。改めて参議院の必要性について考えてみましょう。衆議院のほかに参議院が必要とする人は国民の何%でしょうか。
 衆議院と参議院で議論している内容はほぼ同じ。閣僚などにすれば、同じ説明を二度行い、質問と答弁を繰り返すことにほかなりません。時間と労力はまさに重複。一院制にして衆議院での審議時間を増やして熟議したほうが何倍もマシでしょう。
 このように言うと「キミは憲法を無視するつもりか」と叱られます。まさにそこがポイントです。憲法の規定があるから、参議院の存在をなくせない。これに尽きます。現在の憲法の草案が、占領軍(GHQ)の若手将校たちの1週間の突貫作業の作品であることは周知です。独自に大日本帝国憲法の抜本修正案を検討していたわが国の政府はびっくり仰天。でも「マッカーサーの威光」に盾突くなど思いもよりません。おそるおそるいくつかの修文提案をしました。その中の一項目が議会の二院制。
GHQの面々の後日の回想を読みますと、日本政府から修正要求があることを想定し、それらを拒否する代償としてあらかじめ受け入れ材料として一院制を提案しておいたとあります。つまり日本側は、重要項目を取り下げる代償として、参議院設置の餌を食べたわけで、GHQの手のひらで踊らされた感じです。
 
なぜ日本政府は両院制にこだわったのか。それは当時の世相から、完全な普通選挙では極端に過激な党派が多数の議席をとるなどの事態を恐れたから。だってそれまでの選挙にあった納税要件などの制約がいっさい取り払われるのですから、衆院選で共産主義政党が勝利して革命騒動になることだって予想されないではありません。
政府は「選挙又は勅任せられたる議員をもって組織する」として、要するに貴族院の焼き直しのようなものを作りたいと考えました。しかしGHQもさるもので、全議員が「国民による選出」を条件にOK。それで衆議院、参議院の2院制になったというわけです。
世界には1院制の国と2院制の国があります。ただしわが国のように、どちらも人口比で選挙区が設定される国はほとんどありません。
類型的には、①連邦制の国家なので、構成州の意見を代弁する議員で構成されるものがあります。アメリカ、スイス、ドイツ、オーストラリアなどです。アメリカの例が分かりやすいでしょうね。州ごとに同一人数(2人)。各州の人口規模を問いません。ただしわが国は連邦制ではありません。
次は貴族院的なもの。国家に貢献した人なども勅撰議員資格を得ます。明治憲法がそうでしたが、イギリス、カナダなど今でもそうです。でも現行憲法は貴族制度を否定しています(14条)。
憲法改正すべきとの声が日増しに高まっています。ただしどこをどう変えるのかについての議論は深まっていません。憲法条項に指一本触れさせないと教条的に叫ぶ勢力が、実は民主主義を破壊する危険分子なのだということが国民の共通理解になってきた段階に過ぎないからです。憲法改正するのであれば、参議院の廃止は分かりやすい項目だと思われます。
でもそれまでにもまだ何年もかかるかもしれません。それまでの間、参議院をどうするか。司法からは1票の格差が指摘されています。1票の価値が衆議院では2倍、参議院では5倍を超えてはいけないとされるようですが、公平の観点では1に近くなければならないはずで、2倍なんて論外です。
分かりやすい解決策です。衆議院は小選挙区のみとして、単純に各選挙区の人口を同等に区割りする。その反動で、参議院は人口比にはこだわらない。分かりやすい指標として、都道府県ごとに2名の定数とし、3年ごとに1名を選出する(46条)が分かりやすいのではないでしょうか。

 このように言うと少数政党が不利だなどの声が出るのですが、それはおかしな議論です。候補者は政党のロボットではありません。有権者の声を自身の政治活動に反映し、あるいは有権者を説得して支持層を拡大することが期待されています。それが代表制民主主義ですから、各選挙区1名の代表選出が望ましいと考えられます。※

 衆議院の解散選挙中に国家非常事態が起きたらどうするかという議論があります。その対策は簡単でしょう。非常事態なのですから、総選挙を一時中断して前議員が職務に復帰する。危機が解決されればノーマルな状態に復する。それだけのことでしょう。

※ ある選挙区の上位者の得票数(得票率)は次のとおりでした。
1位544,187(49.9%)
2位197,292(18.1%)
3位159,017(14.6%)
4位105,735(9.7%)
 過半の県の定数は1です。でも選挙区は定数2でしたので2位は当選、3位は落選でした。でも2位の支持者は1位の3分の1に過ぎませんでした。

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