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445議員商売 日英比較

衆院選の真っただ中。わが祖国を子や孫に引き継げることができるのか、そのかじ取りを選ぶ大事な選挙。
議員もひとの子。自分とは別人格だから、思想信条、行動様式すべてに同じを求めても無駄。ということで投票では、「この人だけは議席につかせてはならない」者を順に除外するという基準で選考することにしている。
ボクの選挙区には、中国関係者から賄賂をもらった疑惑の刑事被告人で、任期切れまで議員職を続けた人がいる。本人は事実無根を主張して区民に支援を訴えている。市民としては疑惑解明を求める基本人権があるから、裁判で争うのはよろしい。ただしわが国の存亡事態を引き起こしている国がどこかを考えれば、疑惑を持たれていること自体がまずいだろう。除外候補の一番としていたら、当人が立候補しなかった。疑惑を解消してからリベンジするということだろう。裁判の行方を注視しよう。
これに引き換え、「北朝鮮拉致被害者は生きていない。事件そのものがなかったのではないか」などの発言をした生方幸夫氏は千葉6区で立候補したとのことだ。政府の存在意義は、国民の生命、財産を守るため。国民が自国領土内から他国政府の工作員によって理由なしに拉致されるなど、独立国に対する戦争行為であろう。それを否定する生方発言は、日本国政府の不存在を宣言するに等しい。国会議員は国の主権を代理しているのだ。ボクの基準では、「この人だけはダメ」の典型例になる。
生方氏は衆院の任期切れ直前に議員を辞職した。なぜ除名ではなく、辞職なのか。憲法58条には議院の決議で懲罰除名することができる。所属の立憲民主党を含む全議員に問いたい。あなたの議員感覚の上で、拉致の位置づけはどうかと。

政治体制が議院内閣制で国民象徴の世襲元首を戴(いただ)く点で共通するのがイギリス。その国会議員はどうなのか。今日(2021.10.21)の「産経抄」に次のように書いている。英国暮らしが長い日本人の経験談として、庭にやってくる鳩の糞害の対策依頼の手紙を議員事務所に送ったら、何と議員本人が訪ねてきた。
 産経抄では露骨には書いていないが、日本の議員ならば、役所に電話して「オレの顔を立て(忖度(そんたく)して)、何とかしろ」と個人的影響力を行使するのが普通だ。そのための献金であり、票であると議員も国民も思っている。
 イギリスの議員はその種の超法規的なことを考えないという。既存の法制度で解決できる方法があるかを有権者といっしょに考え抜く。合法手段がなく、なおかつ、住民の要望に理と必要性があると信じた場合、制度の改廃に取り組むのだ。なぜなら国会とは立法府であり、議員は制度の制定、改廃の提案権があるからだ。これを法治の仕組みという。
 今月15日に与党・保守党のデービッド・エイメス下院議員が、過激思想者に刺殺された。この議員に限らず、イギリスの国会議員は、選挙区の住民と1対1の面会機会を設けている。それを「サージェリー」と言い、医師の診察と同語が使用される。エイメス議員はこの相談の場で襲われたという。議員活動中の殉職だ。
 イギリスは小選挙区。代表は一人しかないのだから、当選後は政治信条を異にする人の声も聴く必要があると考えるからだろう。ひるがえって日本ではどうか。
 
 議員は命の危険を賭ける価値がある仕事か。当然そうだ。だから数々の特権が付与されている。命を惜しむ者は立候補するべきではない。報酬に目がくらむ、さらに賄賂や利益誘導に至っては、民主主義の敵である。
 イギリスの場合、下院(庶民院)議員の場合年間報酬が約1000万円。加えて政治活動に伴う手当がある。秘書などスタッフの人件費、議員の住居費、その他政治活動に必要な経費が幅広く、請求すれば受け取れる。支払いの詳細はネットで国民の公開される仕組みになっている。閲覧した人の計算では、議員平均で2200万円。報酬と合わせて年間国民負担は、下院議員一人当たり3200万円とのことだ。

 わが日本ではどうか。
 歳費と呼ばれる基本給と期末手当で年間約2200万円。これに「文書通信交通滞在費」や「立法事務費」などの非課税手当が一律に2300万円ほど支給される。報告、公開義務がないから、使い方は自由、しかも非課税だ。ここまでの単純合計で約4500万円。加えて実物支給としての、議員宿舎(マンション)や鉄道、航空機無料搭乗権などもある。さらに3人までの秘書給与が最大で3000万円程度を国が別支払い。以上で、少なく見積もっても平均7000万円。イギリスの軽く2倍以上かかっている。それに見合う貢献をしていると評価できる議員がどれほどいるか。

 イギリスの場合、上院(貴族院)では議員報酬は出ない。功成り、名を遂げた人が国家への恩返しとして奉仕するからだろう。わが国も2院制。上院(参議院)は同じように無報酬とすることが考えられると思う。憲法では、両議院の議員を選挙で選出すべしとは書いてあるが、憲法には報酬を支払えとは書いていない(それは国会法)。
一つの提案だ。参議院の選挙区を都道府県単位と全国区とする。無報酬でも立候補者の心配はない。都道府県では例えば知事。そちらで報酬を得ているから、国会議員報酬を求めないだろう。憲法では、衆参両議院の兼職禁止はあるが、知事との兼職禁止規定はない。全国区では業界や労組など組織代表者(例えば日本医師会など)が立候補するだろう。彼らも所属組織から高い報酬を得ているから、議員報酬がなくても生活に困らないからだ。成功した資産家の立候補も歓迎される。これにより参議院の独自色を発揮できることになる。いかがでしょう。

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