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457経済安保とTTP

中国がTPP(環太平洋経済連携協定)への参加申請をしたという。フェイクニュースでなければブラックジョークであろう。だれもそう思ったのではないか。
国際法を我田引水解釈し、世界征服の覇道の道をひた進む中国共産党の傍若無人を押しとどめるには諸国が連携するのが一番。それでできたのがTPPというのが、大方の日本国民の理解であるはず。しかるに中国の参加を認めるか否かで協議をするのだという。「あり得ません」と日本国の国会は決議すべきだろう。

新聞社説(読売新聞2021.9.18)が次のように書く。
「TPPは、関税の100%近い撤廃のほか、知的財産権の保護や自由なデータ流通、国有企業への不公正な補助金の制限など、厳格なルールを盛り込んでいる。中国が加わるには、これらの条件を受け入れることが先決だ。
現状では、中国は国有企業を優遇する補助金で競争をゆがめているとされる。データを国内に囲い込もうとするデータ保護主義への批判も出ている。このままでは、加盟が認められる余地はない。
習近平国家主席が、参加の検討を初めて表明したのは昨年11月だが、その後の中国の行動は、公正な貿易を目指しているTPPの基本理念や、世界的な人権重視の流れにむしろ逆行するものだ。
新型コロナウイルスの発生源に関する調査を求めた豪州に反発し、輸入品に高関税を課すなど圧力をかけ続けている。
香港では、返還後50年は「高度な自治」を保障するとした国際約束に背いて自由を奪うなど、法の支配や人権などを軽視する行為を繰り返している。
このような状況では、たとえ中国がTPPのルールを受け入れると言葉の上で表明したとしても、信認は得られまい。」

答えは出ているではないか。中国がこれらの基準を満たそうとすれば、共産党の独裁、専制をやめなければならない。しかしそれは望みえない。ならば加入の協議をすること自体が、謝ったメッセージを発していることになる。
加入国の中には、中国の参加に前向きの国があるというが、個別に圧力をかけられて明確に反対と言えるものではない。教室でいじめっ子と対決したときのことを各自で思い出してみればよい。束になってまとまって初めて、やっつけることができたはずだ。
加入国の中では兄貴分とされているのがわが日本。TPP取りまとめの中心でもあった。総理が面と向かって習近平に「あんたを排除する協定である」とは言いづらいのも分かる。こうした場合、民主主義国には政府の外交部局とは別に動ける国会がある。しかもわが憲法では国権の最高機関の位置づけだ。「ウイグルのジェノサイドを含め、これだけの問題がある。その解消が国際調査団によって確認されるまで、中国に関する加入手続きには入るべきではない」とわが国会が決議し、それを大々的に宣伝することだ。議会の総意を無視して総理が突っ走ることはできない。それがわが国の仕組みなのである。

中国以外の申請国であるイギリス、台湾などの要件審査は、協定に基づき、粛々と進めればよい。

国家の独立を守るのは軍事力だけではない。そう指摘する声がある。そのとおりだ。国を守るには、まず意思が必要だ。居住者の日本国に属しているという意識と信頼。次に国民に豊かな暮らしを保証する国家の経済力だ。その上に侵略を跳ね返す実行力、すなわち軍事力の常備である。
このうちの経済力の維持、すなわち経済安全保障、略して経済安保はどうなっているか。中国が仕掛けるさまざまな経済面の罠への対抗策として打ち立てられたのがTPPである。すべての施策は国家国民の命を守ることと結びついている。


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