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384ミドリガメ飼育禁止

外来生物対策の専門家会議が生態系への影響が深刻としてアカミミガメとアメリカザリガニについて「外来生物法」による規制の必要性を示した提言をまとめたという。これを受け環境省は、これら二種の動物の輸入、販売、野外放出を禁止する方向で検討に入る一方、飼育規制のあり方についても議論するという。
この記事で外来生物法の存在を知った。正式名称を「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」と呼び、平成16年の制定だ。法律の目的として第1条で「この法律は、特定外来生物の飼養、栽培、保管又は運搬(以下「飼養等」という。)、輸入その他の取扱いを規制するとともに、国等による特定外来生物の防除等の措置を講ずることにより、特定外来生物による生態系等に係る被害を防止し、もって生物の多様性の確保、人の生命及び身体の保護並びに農林水産業の健全な発展に寄与することを通じて、国民生活の安定向上に資することを目的とする」となっている。
趣旨は立派だが、アカミミガメやアメリカザリガニについては、今さら(too late)という感じではないか。近所の親水公園にコイとカメの公園がある。このうちカメはどこから見てもすべてがアカミミガメ。寒さに弱く産卵は無理との説もあったが、どうしてどうして。春先には子どもの手のひら大の子カメもたくさん泳いでいるから、自然繁殖していることは間違いない。
エサやり禁止の立て札はあるが、食パンのミミを与えている家族連れも少なくない。特定外来生物に指定されれば防除(駆除のことだろう)することになるが、区役所は池にいっぱいのカメをどのように防除するのか。
同じく環境省が所管する「動物の愛護及び管理に関する法律」(動物愛護法)の第2条第1項では、「動物が命あるものであることにかんがみ、何人も、動物をみだりに殺し、傷つけ、又は苦しめることのないようにするのみでなく、人と動物の共生に配慮しつつ、その習性を考慮して適正に取り扱うようにしなければならない。」と規定してある。池を干してアカミミガメを捕獲し、大きな穴を掘って生き埋めにするなどを区役所が始めたら、「残酷な行為をやめろ」といった抗議をする団体が出てきそうだ。
湖沼や河川に住み着いたアカミミガメの捕獲となれば、費用と人手も膨大になるのは必然で、しかも取り切れる保証はないだろう。テレビで印旛沼だったかで、すでに特定外来種の指定を受けているカミツキガメの捕獲作戦を報じていたが、役場の担当者が数日がかりでわなを仕掛けても捕獲数は数十匹。繁殖数にも追い付いていない感じだった。アカミミガメも同じことになるだろう。つまり区役所の新たな人員と予算の要求理由になるわけだ。
次にすでに市民が飼育している個体をどうするかだ。このカメの飼育開始の大半は、夏祭り等の露店でミドリガメとして売られている直系3センチほどの子カメだ。まん丸でとてもかわいい。その大きさのままであれば、動物愛護の精神どおり寿命が尽きるまでかわいがるだろうが、この子カメはみるみる成長し、水槽に納まらなくなって飼育者が慌てることになる。持て余して役場に相談しても引き取ってくれる自治体は多くない。(丹波篠山市など引き取る自治体もあるが多数派ではないと思われる)。
かといって殺すには動物愛護法が障害になる。そこで公共の河川に夜陰に紛れて捨てることになる。娘が通っていた小学校では、クラスの代表が亀戸天神の池に放しに行った。
アメリカザリガニに至っては、もはや国内自然環境に同化してしまっており、これを人為的に全面駆除することのほうが新たな環境影響を起こしそうだ。
日本の領土内での生存を許さないというのであれば、ここまで増える前に特定外来種に指定して、手を打つべきであった。

384アカミミガメ

写真アカミミガメの幼体と成体の写真の出典:
捕まえたアカミミガメを引き取ります/丹波篠山市 (tambasasayama.lg.jp)

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