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768フィンランドの義務教育に学ぶ

北欧のフィンランドで義務教育期間が18歳までに延長されたとの記事がありました(読売新聞1月25日)。ヨーロッパではなくほかにもドイツやベルギーなどが18歳までになっているとのこと。ただしOECD(先進国クラブ)でも大勢はまだ15歳から16歳だそうです。

フィンランドが義務教育期間延長した理由を記事は次のように説明しています。
IT関連のスタートアップ企業などから増えているが、そうした企業が求めるレベルのスキルに達しない若者が増え、ニートが7.1パーセントと北欧で最大になってしまっており、その半数近くが日本での中卒者である。

同国の教育大臣は、18歳まで教育を受けることで労働市場が求める『最低限のスキル』の証明になるとしています。この場合の教育機関は、高校のほか日本での職業訓練校に相当するものも含まれます。
フィンランドでは教育期間の延長に伴い、学校にスクールカウンセラーを配置したとのことです。精神的ストレスなどで通学を諦めることがないよう若者へのケアを充実させるためとのことです。
義務教育期間では開始年齢を下げる国もあります。フランスの3歳からの幼児学校が知られますが、フィンランドでも5歳への引き下げを検討しています。

こうした動きに比べてわが日本の旧態以前が気になります。義務教育6歳から15歳は戦後期に決まってから固定されたままです。しかも問題は大あり。いじめ、不登校、ニートなどに加え、教育の成果もピサの成績で見られるように国際順位を年々落としています。そのくせ塾通いは増え、子どもの学習時間は増えています。まさに「不都合な事実」が起きているのです。

根本を変えなければなりません。その一つとして義務教育期間の延長は意味あることです。わが国の教育の強さは「村に不学の者なし」とする基礎学力の徹底でした。江戸時代の寺子屋以来の伝統と言っていいでしょう。国民がもれなく自分にあった到達点の学力を身につけること、この原点に戻ることです。

塾に通い小手先の受験テクニックを覚えて偏差値が高い上級学校に受かろうとするのは利己的です。自分さえよければという考えであり、「みんなで助け合って暮らしてきた」日本社会の伝統ではありません。

義務教育をできるだけ長くする。3歳から18歳は時代が求める知識レベルに則したものでしょう。

ただし制度いじりに終わるのでは本末転倒です。落伍者が出ないようにしなければなりません。平均のアップ、底上げこそが目指す方向だからです。フィンランドの教育大臣が強調しているようにスクールカウンセラー配置が必要でしょう。また進度に合わせたクラス編成や留年による学年繰り返しも効果的なはずです。その際のポイントは「留年は恥ずべきことではない。基礎学力を持たないことか恥なのだ」と国民意識を変えることです。

義務教育とは学費(授業料)無料ということです。だれもが身につけるべき教養は公的費用で対応する。義務教育の学校のほかに受験塾とダブルスクールするのは、児童の健全育成、家庭の経済負担、塾講師に優秀な人材を取られるなど、どの面から見ても有害です。
自費で学ぶ第二スクールは、文化、芸術などの習いごととか競技スポーツの選手養成など、学校での正科にない分野であるべきです。

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