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764ガーシー議員の民主主義

 先年夏の参院選で当選したのに一度も登院しない。各方面からの非難が高まっています。ガーシー議員のことです。有名人の隠された悪業を暴くとかでユーチューブ方面ではそれなりの評価を得ておられるようです。反面、反発も大きく、告発騒ぎやらで巨額の債務を抱えて国外逃亡していたとの紹介記事もありました。でもここでの論点はガーシーさんの個人的行為に関してではありません。考えたいのは彼に投票した有権者の意識についてです。
 本名は東谷義和さん。参院選でめでたく当選されました。ただし無所属ではありません。NHK党(略称)というれっきとした国政政党の公認候補です。参院選の比例区に出馬されましたが、①個人得票と、②政党名での獲得票をその党の候補者に按分した票の合計で当落が決まります。ガーシーさんの個人票は283,714票ありましたが、党への投票が834,995票ありました。同じ政党の他候補への投票もありましたが、ガーシーさんが党内では最多であり、党に1名割り当てられた当選枠を手にしました。
 ということですから当選政治家の責務として、自身の公約と所属政党の公約の実現に全身全霊を捧げる責任を負います。これは日本国憲法が「代表制民主主義」を採用していることからの当然の結論です。
 ところがガーシーさんは国外のドバイに居座ったままです。それで議員活動できるのか。その疑問に対してガーシーさんは「日本に帰らないことは選挙公約で示している」と反論しています。そこで生じるのが、
◯本当にそれが公約だったのか。
◯公約だとすれば選挙管理事務所は問題視しなかったのか。
◯問題ないのであれば、国会議員は登院義務がないことにならないか。つまりweb議会を認めているのか。
などの連鎖的疑問です。
 実際に彼に個人投票した8万人の有権者はどう考えて一票を入れたのかという疑問に至ります。投票は民主主義の基本ですから、いい加減な気持ちで投票したわけではないでしょう。また候補者として勧誘したNHK党の立花党首にもしっかり説明を聞かなければなりません。特にweb議会を目指しているのであればこの際、持論を高く宣言するチャンスです。
 近時パブリックコメントと称して直接国民の声を聞くことが増えています。ネット環境も整ってきたことであり、パブコメという中途半端なものではなく、参考意見として有権者の声を広く聞く方が直接民主主義的要素を政策決定に持ち込むことになり、民家をより洗練させることになるはずです。
 ガーシーさんは3月にも帰国されるようです。捜査当局が事情聴取で待ち構えているとのことです。彼の個別案件は粛々やっていただくことにして、有権者としては先に挙げたような代議制民主主義における議員の職責や職務の遂行方法についての本質議論を議会がサボらずに討議することを注視したいと考えます。

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