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古傷

※怪我の話です。苦手な方はご注意を。

僕の顎には傷がある。

あれは何歳の時だっただろう。それも覚えてないぐらい幼い時だ。

父親と風呂に入っていたのだが、上がる前に身体を拭いてもらっていた。

そして拭き終わって出ようと思った刹那。

タイルに足を滑らせる。

前のめりに倒れる。

その先には浴槽。

小さい子どもだったからだろうか。

上手く手がつけなかった。

顔から浴槽に激突した。

薄っすらした記憶だが、痛いかどうかもよくわからなかった。

だが大慌ての父親がリビングの母親を大声で呼ぶ。

やってきた母親が悲鳴に近い声をあげる。

すぐにタオルを持って戻ってきた母親。

顔がそのタオルで押さえられる。

白いタオルが真っ赤に染まっていた。

顎が裂傷していたのだ。

すぐに夜間救急に連れて行かれ、縫合手術を受ける。

やはり痛かった記憶はない。逆に痛すぎて記憶から消えてしまっているのかもしれない。

その時から僕の顎にはその縫合の痕が残っている。

髭もそこだけは生えてこない。

まぁ思ったより目立たない箇所だからほとんど気にした事はないけど。

これが人生で一番大きい怪我かもしれない。

風呂、気を付けましょうね。


佐々木スクイズ

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