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39/n シン・道具と金と技 チェンソー、ソーチェーン(チェンソー用チェーン)、目立ての正しい理解

ソーチェーンサービスジャパン(略: SSJ)です。

SSJは全国向けにソーチェーンのオンライン目立てを事業として行っています。宣伝を兼ねて、タイトルの記事をシリーズ化してnote上に公開することにしました。本記事の内容はXアカウントのhttps://twitter.com/SSJP2023 固定ツイートで先行公開していますが、noteで公開する内容は、Xアカウントで公開中の資料 「4D Sawchain Study」の「 V.1.25」以降の内容となります。

安い?高い?適正価格

 過去回から冷静に発展して… 程度の大小はさておき、物事の質は価格に、価格は質をそれぞれに反映しています。明らかに競合製品や物価とズレていれば、上下含め国際的にその内に自然な価格に収まりますし、自然な価格ではない場合は買い手から相手にされないので企業は存続できません。これは比較対象があるからであり、仮に絶対でも相対でも選択肢が1つであれば高いも安いもありません(冷蔵庫のプリン理論)。
 自前で毎年冬用の薪を賄う規模では、ハーベスターや架線、トレーラーはいらないでしょうし、「業務で使う」といっても常に全て1番最新や最良のアイテムで揃える必要があるかというと異なります。しかし、定期的に「最新」や「最良」を体験したり、少しずづ導入していくのも悪くありません。新たな業務設計(ワークフロー)に繋がるかもしれませんし、社会的な「変化強制イベント」が起きた際にも負担が少なくなるかもしれません(いつの間にか既存の業務設計が変化させられない段階になってしまい板挟みに…)
 そんなわけで、純正以外の安いソーチェーンでも「差」を分かって扱うには良いんだと思います。但し、無意識の行動や、慣れというものは怖いもので、体の動きは知らず知らずの内に道具の質に合わせられています(実体験)。フルタの方程式ではバットの話がよく出てきますが、感じる人は感じますよということです。スチールとオレゴンでは製造時の角度と硬さが異なりますし、スチールの公開情報は「水平に目立て」でも新品時には製造時のホイールのエッジを使った?水平視点角が付いています(ここでは横刃仕上角に対して鋭角な上刃切削角=ダウンアングルと考えてください)。カッターに色を塗ってベンチグラインダーやオートグラインダーで水平視点角無しで研ぐと、頂点からトンネルの内側に掛けて色が残るので分かります。新品に比べて、頂点の高さ座標が変化する使用したカッターと、円形のホイールでは再現困難ですが、それを無意識に調整して再現できるのが手研ぎの良さです。

実現可能か、切れ味が落ちないソーチェーン

 切れ味が落ちなければずっと使い続けられて出費が抑えられる…と、1度は考えたことがあるかもしれません。実際に国際的な本体メーカーの設計開発の方から「高耐久チェーンの是非」の問い合わせを受けたことがあります(その時は工学的な情報を伝えただけで終わったような…)。鉄道業界では「車輪 vs レール」で硬さを追求してきた過去があり、現在は硬度は等しいか、レールの方が僅かに高いに落ち着いているそうです。
 話をソーチェーンに戻すと、高耐久チェーンや普通のソーチェーンを含め、切れ味を現在より長持ちさせる方法はあります。しかし、そうなると今度はチェーンとバーの接触部分の硬さや物質量、リベットの柔軟性と摩耗具合、はたまたドライブスプロケット(リムやスパー)や、動力源の冷却性能やパワーカーブ、振動対策、人が持てる重量含め、業界全体を巻き込んだ総合的なバランス取りが必要になってきます(そもそも金属は硬いと脆くなりますが…)。これが握手をしている部分です。現在は切れ味が落ちる、というフェイルセーフを取っているわけです。
 さて、仮に奇跡的にこのプロジェクトが完了した後、ユーザーは出費が抑えられてめでたしめでたし… とはなりません。この研究開発費を回収するのと、今後の生産量の減少、利益の維持も加味して、チェンソー含めて価格は跳ね上がることになります。Greed!!
 鉄道業界では過去に片方だけ硬度を上げたらメンテナンス頻度&費用のバランスが取れなくなって結局元に戻したことがあるそうですし、オートバイのチェーンメーカーでも、スプロケットとのバランス取りが困難で高耐久チェーンは頓挫したとのことです(2次情報を聞いただけですので話半分でどうぞ)。

「使い捨てにできるソーチェーン」

 ソーチェーンはチェンソーからすると1つの部品ですが、ソーチェーンを更に分解すると「ソーチェーンの各部品」で構成されています。1番製造コストが掛かるのは、1番工程の多いカッターです(メッキ処理と研磨)。オレゴンでは過去に廉価版とホビーモデルのバーの長尺化を兼ねて、セミスキップ(フルスキップではなく…だったと記憶しています)の91チェーンがありました。が、現在はありません。恐らく本体メーカーも含めて売上高の低下を嫌ったか、単純比較で切削スピードが遅くて嫌われたか、「シーケンスがスタンダードではない=製造不良」だとクレームが殺到した…そんなとこだろうなと推測します。
 もし、SSJが「現在の市場」で「使い捨て」にだけ焦点を当てて極力コストカットをしたチェーンを作るとなると、3/8LPの043を更に上から押しつぶした形のように縮めて、カッターも91PXや90PXのショートカッターより更に折れない程度まで極力短くします。あまり重要視されていない?キックバック対策のデプスゲージやドライブリンクのバンパーもカットします。これで使う金属量=コストが抑えられます。チェーンが外れやすいとクレームが出るならドライブリンクの足だけ長くする、リベットもフルで締めると時間とスピナーの部品代が嵩むので潰しは最低限にする、目立ての情報も作成にコストが掛かってソーチェーンの出荷量=売上高も落ちるので公開しない… 意地悪い考えですがそんなところでしょうか。「情報公開」というのはなかなか難しいところです。現状、自身で目立てができるorできないでは「ソーチェーンの部品代」だけで10倍ぐらいは変わるでしょうから、やっぱり業界の正常な発展や価格競争を踏まえて、目立てはできるに越したことはないわけです。

廉価版に拘ったイメージ図

嘘か本当か「結局は目立て次第」

 このフレーズは発言者がどこまで「ソーチェーンの差」を認識して、どこまで許容しているか、または言語のテンスとアスペクトによって真意は異なってきます。確かに研がなければどんなソーチェーンやチェンソーでも燃料とオイル、各部品を損耗させる… つまり、蛇口を開いたままで金を垂れ流すだけの塊になってしまいます。しかし、仮に目立ての精度は同じでも、更に性能を底上げさせる「ジオメトリー」や「製造精度」といった「明確な差」がそこにあるのは今まで散々紹介してきた通りです。

続・嘘か本当か「腕次第?」

いくら性能の良い機械を導入したところで、注文や発注が無ければ置物ですし、作業中の遊び=ダウンタイムが長くなると、費用対効果に見合わなくなってします。メンテナンスと言っても幅広いですが、ノーメンテのSTIHLやHuskyよりセルフケアが行き届いたHAIGEやHolzfforma…

X/nシリーズはもう少し?続きます。ここまで散々好き勝手書いてておかしな話ですが、結果論だけでごちゃごちゃ言うのもあまり行儀がよろしくありません。とりあえず、また気の向くままに…

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