ささ

本を読んで日記を書きます。

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  • 読書と日記

    本を読んだら書く日記。 ネタバレを含む場合もあります。 2021.4~

最近の記事

71.読書と日記_これが生活なのかしらん/小原晩

これが生活なのかしらん/小原晩 ダウ90000の蓮見さんがYouTubeで紹介していました。エッセイです。 人の紹介を聞いてから読むと、なんとなく感想が引っ張られてしまう気がして、読後の居心地が悪いというかなんというか。 けれど読んでいる時はそんなことは忘れていて、いつまでも読んでいられるような、読み心地の良い文でした。 楽しいことは楽しく、辛いことは辛く書かれていました。 私は東京に住んだことがないし、この本の舞台は東京だけではないのですが、総じてなんだか東京のよう

    • 70.読書と日記_上流階級 富久丸百貨店外商部/高殿円

      上流階級 富久丸百貨店外商部/高殿円 1巻〜3巻をオーディブルで聴きました。 外商とは、企業や個人顧客の元に出向いて、物やサービスなどの商品を販売することです。 デパートの外商部で、"かなりの資産をお持ちの方"に向けた商売を行う様子は、知らない世界を覗き見する楽しさがありました。 しかしこのシリーズの魅力はそれよりも、主人公をはじめとした個性的な登場人物と、人間の悩みや欲求の描き方でした。 いくら資産を持っていても悩みや欲求は尽きないのですね。 むしろ、お金で解決できる

      • 69.読書と日記_777/伊坂幸太郎

        777/伊坂幸太郎 朗読:織江珠生 伊坂幸太郎の殺し屋シリーズ、第4弾。現在の最新刊です。 オーディブルで聴きました。 マリアビートルで主人公だったテントウムシ君が、今回も大活躍でした。 章ごとに視点が入れ替わるのは、伊坂さんの殺し屋シリーズの定番ですね。 序盤はバラバラのお話のように見えるので、章が終わるたび、この人物の話の続きを読ませてくれ~とじれったく思いながら次の章を読むのも、私の中では定番です。 お話が進むにつれて、それぞれの繋がりが見えてきて、諸々の伏線を絡めと

        • 68.読書と日記_ 螢・納屋を焼く・その他の短編/村上春樹

          螢・納屋を焼く・その他の短編/村上春樹 朗読:松山ケンイチ 去年、息子が産まれました。 楽しい事ばかりの生活ではありますが、読書のためのまとまった時間は、なかなか取り辛くなりました。 それで試しにオーディブルで聴く読書を始めてみようと試みて、1冊目を聴き終えた日記がこの文です。 オーディブルは今の私の生活に馴染むように思えます。 この本も、好きな本でした。 村上春樹の短編集はたいてい好きなことがわかっているので、あまり心配せずに聴けました。 そこそこ古い本でした。 特

        71.読書と日記_これが生活なのかしらん/小原晩

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          71本

        記事

          67.読書と日記_夜空に泳ぐチョコレートグラミー/町田そのこ

          夜空に泳ぐチョコレートグラミー/町田そのこ 短編集だった。 もっと地味な文章や、飾らない構成で書かれていたとしても、十分に心が動かされるようなお話だったと思う。 そんな、それ自体に力のある物語が読まれるための工夫を凝らされて、1冊の短編集になっていた。 そんな事しなくてもいいのにな、と思った。 いやでも、そうやって工夫を凝らされて売れたから、出会えて読めたのかもしれないのよね。 面白かったです。

          67.読書と日記_夜空に泳ぐチョコレートグラミー/町田そのこ

          65.読書と日記_泳ぐのに、安全でも適切でもありません/江國香織

          泳ぐのに、安全でも適切でもありません/江國香織 短編集でした。 はたから見るとどうしようもない人達の、当事者だけが解るキラキラした瞬間や感情、輝きのようなもの。 不倫はどう綺麗に描いたって不倫だ、なんてことを言う人に向けたお話たちではないのだろうな。 もちろんおそらくフィクションなのだろう。 けれど、こういう類の輝きを宝物みたいに心の隅に持ち続けている人たちが実際にいることを、私は知っている。 今までそういう友人の恋愛を、無責任に応援したり面白がったりしてきた。 だけ

          65.読書と日記_泳ぐのに、安全でも適切でもありません/江國香織

          64.読書と日記_世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド/村上春樹

          世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド(上・下)/村上春樹 村上春樹の書くお話の中でも、かなり好きなお話だった。 面白かったし、読み終わってむかついた。 もっと読んでいたかった。 途中で主人公が、女と小説の話をしている時に言った。 多分これは、俺はそういう小説を書く、という村上春樹の意思なんじゃないだろうか。 たいした小説じゃないなんて言えないけれど、村上春樹の小説たちがそういった軸で書かれたと思うと、かなり腑に落ちるところがある。 私はずっと読まされている。読み

          64.読書と日記_世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド/村上春樹

          63.読書と日記_怪物/映画ノベライズ

          映画「怪物」のノベライズを読みました。 映画は未視聴です。 以下ネタバレを含みます。 夫が映画を観て、帰りにノベライズ本を買って来たので、借りて読みました。 ホラーではなかった。 いわゆる叙述トリックもので、 お話は母親、先生、子の3視点にパート分けされている。 前情報なく読んだので、ほとんど後半まで、何かしらの怪物あるいはそれに通じるサイコパスな人間が出てくる話だと思って読み進めていたが、違った。 登場人物は、みんなどこかしらに引っかかる所はあるものの、 どの人物も

          63.読書と日記_怪物/映画ノベライズ

          62.読書と日記_殺し屋シリーズ1〜3/伊坂幸太郎

          グラスホッパー、マリアビートル、AX アックスの3冊を読みました。 途中、マリアビートルが原作のハリウッド映画であるブレッド・トレインを見ました。 今月、シリーズ4作目が発売予定とのことです。 私は、読書は好きですが感想を書いたり話したりする所謂アウトプットが苦手です。 そもそもこの 読書と日記 を始めた理由のひとつも、アウトプットの練習でした。 殺し屋シリーズは、3冊とも同じ世界線のお話ですが、物語自体はどれも1冊完結で、主人公も異なります。 日記を書くことをずるず

          62.読書と日記_殺し屋シリーズ1〜3/伊坂幸太郎

          61.読書と日記_ゴールデンスランバー/伊坂幸太郎

          ゴールデンスランバー/伊坂幸太郎 大好きな小説が増えました。 映画化もされているお話で、伊坂幸太郎さんの代表作の1つでしょうか。 今更、初めて読みました。 首相殺しの犯人に仕立て上げられた男が、国家権力から逃げるお話です。 いつもは読んでからあまり間を空けずに記録をするのですが、気がつけば1ヶ月くらい空いてしまいました。 その間に映画も見ました。 小説も映画も、どちらも素敵です。 信頼と習慣。 おそらくこれが、このお話のテーマです。 男は、この2つだけを武器に国家権力

          61.読書と日記_ゴールデンスランバー/伊坂幸太郎

          60.読書と日記_ 永遠(とわ)も半ばを過ぎて/中島らも

          永遠(とわ)も半ばを過ぎて/中島らも Kindle Unlimitedから。 らもさんの小説。面白かった。 私の中でらもさんは、薬物とアルコールに溺れた何をしているかよくわからない、行き過ぎたサブカルというかアングラというか、とにかくよくわからないが書いたものを読むと面白い、そういう人です。 「薬物やってトリップして良い音楽ができたとして、そんなのはズルだから俺はやらない」 高校の時にバンドをやっていた同級生が、そんな内容の事を言っていました。 らもさんの書く物を読んで

          60.読書と日記_ 永遠(とわ)も半ばを過ぎて/中島らも

          59.読書と日記_マルチの子/西尾潤

          マルチの子/西尾潤 Kindle Unlimitedから。 マルチ商法は、それ自体は犯罪ではないらしい。と、この小説を読んで初めて知った。 仕組みはネズミ講と大体一緒だ。 お金の配当のみを目的としているか、商品やサービスの提供を目的としているかの違いで、前者は明確に犯罪、後者はそうでないらしい。 法律について詳しくはよくわからないので興味があれば各自調べてください。 なんにせよ、下の階層に行くほど利益は出なくなる仕組みである。 それを知りながら自分だけ儲けようと考え

          59.読書と日記_マルチの子/西尾潤

          58.読書と日記_素敵な選TAXY/バカリズム

          素敵な選TAXY/バカリズム テレビドラマの脚本を本人が小説化した本です。 ドラマが放送していたのは2014年とのこと。 最近、ブラッシュアップライフというバカリズム脚本のドラマにハマっています。 素敵な選TAXYはドラマでは見ていなかったのですが、たまたま古本屋で見つけて読みました。 数十分〜数時間過去に戻って選択をやり直せるタクシーのお話です。 タイムスリップものなんですが、過去に戻る時間分のお金がかかります。 この制約と運転手の性格によって、いわゆるタイムスリップ

          58.読書と日記_素敵な選TAXY/バカリズム

          57.読書と日記_猫のよびごえ/町田康

          猫のよびごえ/町田康 今作はエッセイで、主に猫のことが書いてある。 町田康はパンクロックバンドの人らしいけれど、私はこの人の曲は聞いたことがなく、エッセイはいくつか読んだことがあるので、私にとってはエッセイの人だ。 私の記憶では、この人の家には1匹か多くても3匹くらいの猫がいて楽しそうに暮らしていた。 そんなエッセイを何年か前に読んだ。 今作では、10匹近い猫にほぼ暮らしを乗っ取られているという状態で驚いてしまった。 多分間の話がたくさんあるのだろう。 エッセイになっ

          57.読書と日記_猫のよびごえ/町田康

          56.読書と日記_月とコーヒー/吉田篤弘

          月とコーヒー/吉田篤弘 短編集です。 吉田篤弘の書くお話が私は好きです。 4,5年ほど前に「それからはスープのことばかり考えて暮らした」という小説を読みました。 その時、彼の作る世界の住人のよう暮らしたい、と思いました。 今までの日記でも何度か記述していますが、私は短編小説が苦手です。 気に入った話ほどすぐに終わってしまうのが悲しい、というのが理由の1つです。 この短編集を読んでいる間も、何度も悲しくなりました。 終わりはどのお話もあっけなくて、望んだ結末や読みたい展

          56.読書と日記_月とコーヒー/吉田篤弘

          55.読書と日記_言い寄る/田辺聖子

          言い寄る/田辺聖子 この前に私的生活という本を読んだ。 あとがきで前作があることを知った、と書いた。 その前作というのがこれである。 もう、登場人物全員がきらい。 すきになれない。身の回りにいて欲しくない。 ただお話としてはおもしろい。 そしておそらく、こんな人たちは現実にもごちゃりといて、この人たちの辛さも嬉しさもどこかに実在するものなのだ、と思う。 登場人物はそれぞれ個性的で、似た様なタイプというわけではないのに、1人もすきになれないのだから驚く。 身の回りにい

          55.読書と日記_言い寄る/田辺聖子