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ちいさいおうち

子供のころ好きだった「ちいさいおうち」と言う絵本がある

丘の上にりんごの木に囲まれて建っていたちいさいおうち

のどかな日々を送っていたけれど、遠くに見える街を見て

あの場所に建っていたらどんな気分だろうと思いを馳せていた

しかし、時は過ぎ、ちいさいおうちの周りは開発され

どんどん街になっていき、空気も汚れ、誰も住まなくなってしまった

ちいさいおうちは寂しい気持ちになり、

かつての日々をを懐かしむようになる

そこを通りかかったかつての住人がそのちいさおうちを

田舎へ移築する・・・そんな話だった

この話の意味するところはなんだったのだろうと今考えている

僕はこの絵本が大好きだったけど、なぜ好きだったのだろう

純朴でかわいいちいさなおうちの周りが都会化していき

喧騒と大気汚染にまみれていく

かつては都会にあこがれたちいさなおうちは

やはりかつて自分が建っていた環境を懐かしむのだ

でもかつての自分に戻るには誰かの力を借りないといけなかった

そんなことなのかも知れない

人は自分で無いものに憧れ

今の自分では無い誰かになろうとするものだ

でも、自分で無い誰かになれるわけもなく

自分の身を別の場所に置くことで自分が変わったような気持ちになるだけだ

その場所が自分に合わないと気づいても

もう自分で戻れなくなっている

ちいさなおうちは同じ場所に居続けて

かつて自分が憧れた状況になったのに幸せにはなれなかった

そんなことってあるよね

東京に出てきた人が東京に違和感を感じて

故郷に戻ってみるけど、そこにもやはり違和感を感じる

そう言う人は第2のホームを新しい場所に探さなくちゃ

そんなことをこの絵本は教えてくれているのかも知れない

でもお話の中で決して変わることのない、いや変わることのできない

この「ちいさなおうち」が僕は愛おしくてしかたがないのだ

「ちいさなおうち」は気づいてないけれど、

あなたのその存在そのものが癒しなのだと教えてあげたい



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