冬の少女
冬が壊していく街を少女が歩く
街灯は凍てつき
高いビルの石壁は見上げても黙りこくるばかりだ
見た目は変わらないのに
もう壊れてしまったガラスの扉の中は
時が止まったような少女の周りの世界のようだ
壊れていくことは始まること
誰かが言っていたけど
それを今の少女は信じることが出来ないでいた
壊れた場所の自分はここで終わって消えてしまい
始まりの喜びを享受するのはまた別の人なんだと少女は思う
私の世界は壊れてしまった
その瞬間ラッパの音が鳴り響き
破壊は始まった
壊れてしまった私の世界はどんどん大きくなっていく
記憶さえも凍りついて
心の奥から取り出せなくなってしまった
見えない境界線を超えた強い意志は
その力で自分の根さえ掘り返してしまった
根無葛の花言葉は「下賤」「平静」「束縛」「縁結び」だという
今起こっていることそのものじゃないか!
駆除されても広がるそれに意志はあるけど意味がない
少女はただ街を歩き続ける