「タワーディフェンス on ローグライト丼」とでもいうべき『メカニマル・オアシス』
タワーディフェンスとローグライトを組み合わせたゲームを想像してみてください。なんだかそこそこおもしろそうでしょう? そういう等身大のおもしろさが『メカニマル・オアシス』にはあるのです。
今回は、中国のインディーパブリッシャー「Mammorize」より『メカニマル・オアシス』のコードをいただいたので、軽く感想を書こうと思います。
ちなみに本作はすでに10万DLを達成しており、2024年7月16日からアップデートで日本語に対応しています。
◆自キャラ操作可能、手に入るタレットがランダムなタワーディフェンス
『メカニマル・オアシス』はニワトリやモグラ、あるいはムキムキねずみなどとなり戦車を守るタワーディフェンスです。
タレット、トラップ、ガード、戦士など役割を持つ「メカニマル」を設置したり、あるいは自分自身で攻撃して迫りくる敵を倒します。
そして前述のようにローグライトなので、バトル前にはルート選択が用意されています。ショップに行ってメカニマルを買ったり、イベントをこなしたり、あるいはタレットなどを強化することも可能です。
どのメカニマルが手に入るかはランダムで、メカニマルの強化要素にもランダムな部分があります。そして、プレイするほど新しいメカニマルなどがアンロックされていくという、まあ想像通りな「ローグライトとタワーディフェンスを組み合わせたゲーム」となっています。
◆「古そうな定食屋で食べる生姜焼き」くらいのおもしろさ
本作の長所は明確で、タワーディフェンスとローグライトを組み合わせたらおもしろそうな部分がしっかりある、ということです。
手に入るタレットやトラップを駆使し、いかに敵を退けるか? 盾を置いて回復して耐えるようにしたり、強いタレットをとことん強化して火力を出せるようにするなど、そういう作戦をランダム要素から考えるわけです。
かわいいドット絵のおかげでたくさんの敵が現れてわちゃわちゃするのは見栄えがしますし、ボコボコとダメージが出るのもゲームらしい気持ちよさがあります。
まさしく等身大のおもしろさで、「古そうな定食屋に行って生姜焼き定食を食べたら、それなりにおいしくて安かった」という感じです。ちなみに本作は1,200円となっています。
◆ローグライトとタワーディフェンスのシナジーは、ない
短所もストレートです。「タワーディフェンスとローグライトを組み合わせたら、相性悪いところが出てこない?」と思うところがそのまま残っています。
タワーディフェンスは時間がかかる遊びのため、何度も繰り返すローグライトとはあまり相性がよくありません。本作は一度クリアするのに60分以上かかるため、ややテンポが悪く見えます。
また、タワーディフェンスとローグライトが完全に混じり合っていません。どういうことかというと、ローグライトでは定番となるシナジーの要素がうまく働いていないのです。
「敵の足を遅くするトラップ」と「速度の遅い球を出すタレット」を組み合わせたら理論上は強いわけですが、これはシナジーといえるでしょうか? いいえ、タワーディフェンスの基本戦術に過ぎません。
ボスは火力がないと倒せない仕様になっているので、とにかく火力を出せるかどうかがポイントになります。特定のメカニマルの組み合わせで特殊効果があったりはするのですが、それを活かすのは容易ではなく、ストレートに「DPSの出しやすさ≒強さ」になっています。
ステージ構造もシンプルで、戦略の幅もそう広くなさそうです。とにかく火力を出せるメカニマルが重要ですし、自キャラで火力を出せればそれで話が済んでしまったりもします。
結局のところ、『メカニマル・オアシス』はタワーディフェンスとローグライトをうまく融合させたゲームとはいえません。しかし、安く気軽に遊ぶゲームとしてみれば、よいと評価できる作品なのでしょう。
◆おわりに
先に書いたように、今回はMammorizeから「フィードバックがほしい」と言われてSteamのキーをもらったので記事を書きました。
こういうことはたまにあります。もし同様のことを希望する方がいらっしゃった場合、ssdm360★gmail.comまでメールをください。
とはいえ、これは気が向いたときになんとなくやることなので(なんせ無償なので、忙しいと仕事を優先せざるを得ません)、その点のみご承知いただければと思います。
サポートいただいた代金はゲームに化けます。ゲームライターにゲーム代を与えてもっと文章を吐き出させよう!