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脇システム▲6四角△同銀の変化

先日の研究会の内容をまとめます。
今回は最近再注目された脇システムについて勉強しなおしました。
指定局面は以下の図です。

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ちなみに局面ペディア<http://kyokumen.jp/>によると、ここに至る手順の中で、▲6四角に対して△同銀と△同歩(図A)と両方選択肢がありますが、有名局72局中それぞれ70局と2局でした。また▲1五歩△同歩に対して▲同銀と▲同香(図B)の選択肢がありますが、有名局47局中それぞれ30局と17局でした。ちなみに▲6四角に対する△同歩は2017年棋王戦第二局の渡辺棋王と千田六段の対局で指されています。

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研究会の対局から教育的な場面をピックアップしていきます。
使用ソフト:水匠2 時間120秒 ノード数10M 深さ20

①端攻めのテクニック

S君(二段)とT君(四段)の対局は、指定局面から△同香▲同香△4七角成と進みました。ここでS君の指した一手が▲1九香(図①-1)。これは疑問手で、以下△1三歩▲同香成△同桂▲1四歩△1二歩で攻め切れません。正解は▲1三歩で、争点を1三→1二にずらすことで後手の桂馬の守備力を無力化することができます(図①‐2 評価値:-700)。

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結果はそのまま完封したT君の勝ちでした。

②馬の位置をずらす大局観

T君(四段)と私(三段)の対局は指定局面から端を破られたあと後手玉を早逃げさせて△1六歩と垂らした局面(図②‐1)でポイントが来ました。この手は事前研究でソフトがたまにやってきた手で対応に困ったので自分でも指してみました。狙いは、△3六馬と引いた後に△2七銀としたときに香車に当たっている、または将来▲1八飛としたときに飛車成を防いでいるということです。T君はここから▲2一香成△同玉▲1六香と攻めてきましたが△3六馬▲1三香成△1二歩で一応受け止めている形(図②‐2 評価値:-300)。

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実は△1六歩では普通に▲同香と指して△3六馬に▲3七歩と好位置の馬をどかしに行くのが良いみたいです。以下△4五馬に▲1一成香(▲1二香成を見せる)として先手ペース(図②‐3 評価値:+343)。ちょっと初見では無理な手順ですね。。

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結果はうまくソフトの手を炸裂させた私が格上のT君に受け勝つことができました。指定局面戦はこれがあるので面白いですね!

③後手から先行する手

私(三段)とS君(二段)との対局は、指定局面から△7五歩(図③‐1)と後手から攻めてくる手をS君が繰り出してきました。ここから▲2六歩△同歩▲4一角(疑問手)△1五香▲同香△8六歩(疑問手)▲同銀(図③-2)と進みました。S君の研究手に対して強く角を打っていきましたがこれが疑問手で、△7五歩は手抜けなかったようです。ただその後の△8六歩に▲同銀と取れて、△7六歩▲同銀△7五歩のような攻めがなくなり互角に戻りました。

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正解の手順は図③‐1以下、▲同歩△同銀▲7六歩打△8六歩▲同歩△同銀▲同銀△同飛▲8七歩打△8二飛▲2四歩△同歩▲4四角打△5五歩▲2四銀(図③-3)と進める順だった様で、先手の香車が後手玉側に直通しているので攻めが厳しいです。以下△同銀▲1九香成となり先手が有利です(評価値:+411)。

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まとめ

端攻めでは相手の効きが弱い1二を狙うのが良いですね。また後手から先行する順は先手の反撃が厳しいので条件がよっぽどそろわないと成立しなさそうです。


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