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プロの石田流の実戦棋譜が少ない

石田流の指定局面戦をしようと思い、プロの実戦棋譜を探したのですが、棋譜データベースの「三間飛車石田流」の棋譜の更新が2013年で止まっていました。(↓図1)

https://shogidb2.com/strategy/%E4%B8%89%E9%96%93%E9%A3%9B%E8%BB%8A%E7%9F%B3%E7%94%B0%E6%B5%81

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これは決定版の対策が出たのか?僕が知らないだけなのだろうか。
将棋ウォーズなどではたまに当たって明確な対策を立てられていないので是非知りたい。
そう思い、最新の石田流対策を調べてみました。


【石田流対策①】従来型の左美濃

調べてみて最初に見つけたのが「トーマスイッチ」さんの研究記事。
https://toumaswitch.com/isidaryu-taisaku/

居飛車側が互角以上に戦えているようで確かに優秀な対策だと思います。
記事の内容を元にソフトで検討してみます。

使用ソフト:水匠2
思考時間:120秒

◇石田流本組
お互いに満足に駒組みできた下図で先手が仕掛けます。
ちなみに先手は▲9八香を上がらないと3三にいる角にダイレクトで取られたり将来飛車を下ろされた時に取られやすくなる変化で悪くなります。(↓図2)

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ここから

▲65歩△同歩▲同銀△95歩▲74歩△同歩▲64歩△54銀▲同銀△同歩(中略)※▲63銀△96歩▲74銀成△94飛▲88角△62歩(中略)
▲63銀から攻めをつないできますが、△96歩と強く取り込むのが好手です。確かに▲52銀成と金をタダで取られるのは怖いですが、何よりも先手の角を取りつつ、先手飛車がほぼニートになっているので問題ありません。

と結論づけられています。
しかし手順中の▲6三銀のところで▲4一銀の変化もあり、そちらの方はソフトの評価値的にも-200と出ていてほとんど互角です。

◇7七角型
①▲6五歩の仕掛けには△8四飛と浮いて受けてよし。以下▲7四歩△同歩▲3三角成△同桂▲6六角△7五角▲同角△同歩▲同飛△7四銀で受け止められています。(↓図3)

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②▲4五銀と一度玉頭銀に出て△2三玉と指させてから▲6五歩はどうか。

▲65歩△77角成▲同桂△78角と言う返し技があり、後手有利になるんですね。

確かにこれは銀取りが受けにくそうです。(↓図4)

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まとめると、本組みは意外と互角の形勢??で7七角型はそのまま仕掛けても玉頭銀でも居飛車が指せそう。という感じですね。しかしこれは昔からある対策で、石田流指さなくなるほど悪い感じはしませんでした。


【石田流対策②】エルモ囲い+6三金5四銀型

調べてみるとどうもこれが今有力な対策みたいです。
※他にあれば教えてください。。
これは業界NO1Youtuberのクロノさんも愛用しているみたいです。6三金5四銀型は以前からなくはなかったけれども、エルモ囲いと組み合わせることで優秀な対策に変身しました。

従来型の左美濃の対策は受け重視の対策だったのですが、この対策は積極的に金を出していって抑え込む方針です。(↓図5)

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ここから先手の方針は①石田流本組に行く方針と②7七角型に行く方針に分かれますが、先手からの仕掛けが難しい様です。

①石田流本組
図5から▲9六歩△9四歩▲7七桂△8五歩▲9七角で下図(↓図6)

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先手の石田流側から仕掛けるとしたら▲5六銀~▲9二香~▲6五歩と3手かけないといけませんが、それでも6三金型が堅く攻めがつながりにくいです。また、居飛車側からは△7二飛から△9五歩▲同歩△7四歩▲同歩△9五香▲9六歩△7五歩という攻め筋があり、こちらがかなり有力な仕掛けです。他にも△9二飛と揺さぶりをかけて相手の対応を見て△9五歩か△7二飛と攻めていく筋もあり、居飛車側に手段が多い展開となります。

居飛車側のポイントは★9筋を絡めて攻めていく事、振り飛車側のポイントは★単純な△7二飛の攻めに何もしないと悪くなるので▲8六歩の反発を考える事のようです。

②7七角型
図5から▲7七角△8五歩▲5六銀△9四歩で下図(↓図6)

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先ほどと同様、先手側から仕掛けが難しく▲8六歩や▲6五歩は悪くなります。居飛車側からはいつでも△7二飛から△7四歩があり、居飛車側が主導権を握りやすい展開です。

この展開の居飛車側のポイントは★居飛車側から角交換はせず、相手の桂馬を跳ばせないようにすること★そのために角交換されてもいいように△3三角などと移動しておくこと、振り飛車側のポイントは★角交換した後に角を打つスペースを作るために4筋の位を取る事のようです。

【結論

従来型の対策は意外とやってみると互角の変化もありました。またエルモ囲い+6三金5四銀型は居飛車にしかけの権利がある展開となります。主導権を得にくいことと、今は耀流四間飛車や振り飛車ミレニアムなどの戦法が流行しているということもあるので石田流は採用されていないのではないかと考えます。

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