見出し画像

喜びは2倍に、悲しみは半分に

その悲しみの半分はどこに行ったの?


よく聞く言葉。元ネタは知らない。
喜びや悲しみに質量保存の法則が通用するのかどうかも知らない。

嬉しいことがあれば、誰かに話したくなる。
悲しいことがあれば、誰かに聞いてほしくなる。
きっと当然の感情。

悲しかったとき、誰かに話せば軽くなる。すっきりする。
"悲しみは半分に"

他人の悲しい話を聞いたとき、どう思うだろうか。
自分まで悲しくなる。
そう共感してくれるから、悲しみは半分になるのだろう。

でも、私がその悲しい話をしなかったら、相手は悲しくなることはなかったのだ。
自分が軽くなった分、相手に背負わせてしまっているのではないか。

そう思うと。


だらだらと長い、自分の話。
誰かに半分を背負わせることができなくて溜まった話。

4年間交際した恋人と別れた。
遠距離になったのもある。
でもたぶん、一番の原因はそこではない。

私は大学生だった。
彼は社会人になった。
会社が辛いという。彼女なんだから支えなければと思った。

辛くて休みがちだという。
行けなくなるくらい辛いならとりあえず辞めれば?と言った。
学生の戯言だったかもしれない、けど今社会人になってもそう思っている。
彼は現在もたぶんそこで働いている。

今週は何日行けた、えらい。
病院に行った。
上司と話した。

私は学校が楽しかった。
でも、自分が辛いときに他人の楽しい話を聞くのはきついことがある。
そう思うから話しにくかった。
自分は楽しいのに、辛い話を聞くのもしんどかった。

私も社会人になった。
日々、様々な感情に振り回されながらも、総括すれば楽しい。
彼は社会人は辛いと言う。
同じ社会人なのに、私は楽しいなんて、楽しそうに話すことはできなかった。
自分は楽しいのに、辛い話を聞くのもしんどかった。

必然的に連絡は減る。
早寝早起きするようになったと自分の中で言い訳をつけて、
電話が来るだろうと思いながらも寝た。
実際鳴っていることに気づいていて無視したわけではない、というのは本当だけれど、ただの言い訳。
折り返しもしなかった。

そんな自分が嫌だった。そんな態度が傷つけていることも
わかっていた。
でも、無理だった。別れようと思った。
彼は悪くない。辛いときに辛いと言うのは悪いことではない。
むしろ良いことだと思う。
でも、私には受け止められなかった。

別れ話をしに行った。
荷物を回収しようと思って。

なかなか切り出せなかった。
一緒にいれば楽しいのもまた事実。
夜、布団の中で彼は言った。"別れ話しに来たの?"
別れようって言って、すんなり受け入れてくれた。
でも、彼は"俺はまだ好きだよ"って言った。
だったらいっそ、ごねてくれればよかったのに。
この言葉が一番私を苦しめた。私はどうして好きじゃなくなっちゃったの。

相手が別れようと思った時点で、付き合っていても仕方がない。
振られる側より振る側の方が気持ちにケリがつきやすくて楽。
この2つは私と彼の共通認識だった。だから彼の言動は理解できる。

でも、そんなこともなかったと思う。
その証拠に、電車で号泣しながら帰宅したのち、しっかり数か月引きずった。
相手の気持ちはわからないから、どっちの方がどうかはわからないけれど。

そんな気持ちと山の寒さで病みまくった冬。
もう恋愛はしないと誓って約4か月。
春になって、恋人ができた。なにやってんだか。

今の彼とは仲のいい友達だった。
彼の前の恋人も別れた話も、私の前の恋人も知っている。
別れた日、彼に私の悲しみを聞いてほしくて、唐突に電話をかけた。
繋がらなかったから、間違えたふりをした。かまちょじゃん。
他にそんなことをできる相手はいない。
自分の中にしまい込んだ。それでよかったと思っていた。

もう吹っ切ったつもりだけど、まだほんの少しだけある小さなカタマリ。
全部晴らしてしまいたいけれど、話せる人はいない。
彼に話せばきっと聞いてくれる。
ふんわりと、"自分が楽しいときに他人の辛い話を聞くのも、自分が辛いときに他人の楽しい話を聞くのもきつくね?"って言ったとき、
"付き合うのって怖くない?"って、漏らしたとき、
"僕には何でも話してよ。"って言ってくれた。
きっと本心。
でも、研究室で一緒に過ごした1年で知ったことがある。
私がこの話をすれば、話したいだけだから気にしないでって言っても、きっと気にしてしまうだろう。
他人のことを考えられる、ちょっと考えすぎ。
いつも少しふざけていて子どもっぽい彼の大人な一面。
彼の優しいところ。

付き合う前に話せていたら。
あの日、電話は繋がらなかったけれど、
後日そのまましょうもないLINEを続けてくれたとき、
話せていたらよかったのかもしれない。
でも、寒いなか散歩しに出た真冬のあの夜、
コンビニの外の喫煙所で通話ボタンを押すのにも30分かかった私なのだ。

やっぱり吐き出してしまいたくて、
彼に聞いてほしくて電話したこの間の夜。
散歩しながら30分かかって押した通話ボタン。
結局どうでもいい話をして終わった。
そんな私だ。

たぶんいつまでも話すことはできないから、
このまま自分の中で何とかするしかないのだ。
自分の感情は自分だけにしておこう。

好きだよ。
これからよろしくね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?