世界遺産西部照葉樹林の旅
今日は屋久島公認ガイドのささっちょ(島結の笹川健一さん)にガイドしていただく。ささっちょとは2021年秋から始まったら戸沼ゆきえさんのオンラインガイド養成講座の同期。まさか自分が1月の屋久島に行くとは思ってもいなかったので、こんなに早くささっちょに会えるとは思わなかった。
ささっちょの島結のWebサイト
今日はモッチョム岳に行く予定にしていたが、でも天気も今ひとつで山頂からの絶景は望めないかな、と西部林道に行き先を変更してもらった。西部林道は屋久島の自然がそのまま残っているところで、LotusCycleの動画を見てから、訪れたかったところの一つでもある。
ささっちょにサウスビレッジでピックアップしてもらう。ミッキーさんとささっちょは屋久杉だけではない屋久島を創造しようとしているお仲間だそうだ。
さて、ささっちょのガイディング、スタート。
大川(大古)の滝
まずは大川(おおこ)の滝へ。フィリピンプレートに押された堆積岩が熱い花崗岩に接してガラスのように硬くなったホルンフェルスは侵食されにくく残った。勝浦の那智の滝ができたプロセスと同じだそうだ。
滝の下に転がる黒い岩はホルンフェルス。硬くて滑りやすい。こんな岩のある沢がたくさんあったなあ、と沢遊びしていた時を思い出す。
西部林道
狭い林道を進む。林道と言ってもちゃんと舗装されているが、車のすれ違いは難し箇所もある。でも感じがいい。亜熱帯の森の中を走る。ワイルドだ。断崖絶壁の弱点を突きながら、作られた道だろう。自転車で飛ばしたらさぞかし気持ち良さそうだが、ここを通る車も多いから注意が必要だ。
ヤクスギランドや宮之浦岳周辺には実は世界遺産に指定されているところが少ない。世界遺産に登録されては困る杉のある山の所有者と絡みがあってそのようになったらしい。しかしここ、西部林道の周りの森は杉がなかったからか、丸々すっぽり世界遺産に入っている。今は人間は棲まず(かつては住んでいた)、シカとサル、ヒルなど、野生動物が意のままに棲むところだ。
亜熱帯の森の中へ
いよいよ、照葉樹の森に入る。ワクワク。私は森が好き。
照葉樹の森は日本の古来の森の姿を伝える。ガジュマルやアコウの古木、シイ、カシ、クスノキ、ツバキなどが生存競争して今の姿になっている。杉や竹が僅かにあるのはかつてここに人が住んでいたという証である。
お、ヤクシカが出てきた。何頭か、人間を気にせずにいる。
北海道でエゾシカを見慣れている私は、ヤクシカは小さくてびっくりした。エゾシカの生まれて間もないバンビのように小さいのだ。北に行くほど大きい、という生物学の理論に納得。
氷河期は九州と屋久島は大陸とつながっていた。(北海道でもそんな話を聞いたな。)シカやサルはその時屋久島に渡ってきた。今はシカ、サル、イタチ、モグラのみが哺乳類として確認されているが、かつてはオオカミも、カモシカもいたのではないか、という話だ。
ガジュマルは歩く木
ガジュマルの木を間近に見るのは初めてだった。ガジュマルの木は歩く、と言われる?生きる戦略として、根をどんどん伸ばすからだ、と答えては、ロマンがない?
森を抜けて海へ!
林道から下って行くようだと思ったが、まさか海に出るとは思わなかった。
突然広がる絶景に言葉を失う。
ささっちょは喋らず、私が屋久島を対話する時間をくれた。
花崗岩の巨岩の上に登ろう、と言われる。
眼下は海。東山魁夷の絵のような海が広がる。
そして振り返る。山が聳え立っている。
あ、雨は森に降り、土に浸み込み、水は染み出し、流れとなり、川となって海に注ぐ。そんな当たり前のことに改めて気づく。
屋久島の山、森、川、海の繋がりを見せてもらった。
帰りの林道では猿とシカがいっしょにいるところに出くわす。サルは毛づくろいをしている。とても小さい。50cmもないのではないか。顔が私の手の平ぐらいの大きさ。
シカはサルの糞を食べる。サルの糞は未消化でまだまだ栄養があるのだ。そしてシカの腸はほとんどの栄養分を吸収する。
屋久島のサルはリーダーはいなくて、適宜移動する。どちらかというと年老いたメスの指示に従っているようだ。毛が長いのが特徴。雨を凌ぐ。雨の日は森の木の下に居るそうだ。
ささっちょ、こうへい君、楽しい時間をありがとう。
ささっちょのnote
雨が上がった
サウスビレッジに戻り、雨も上がっているので漕ぎ出した。
自転車は自由だ。
車では躊躇するような狭い道にも入ることができる。地元の方への迷惑も少ない。
平内の集落を回った後、ふと目に入った海がきれいに見渡せる場所に入ってみる。日本に潜入した最後の宣教師、シチリア人シドッチ上陸の地だった。
江戸に送られて遂には獄死した。儒学者の新井白石による尋問で得られた内容は海外の地理や歴史などを紹介する「西洋紀聞」にまとめられ、鎖国下の中で西洋の様子を知る文献となったそうな。
帰りは飛ばしてサウスビレッジまで帰る。ポンカンの実が熟して収穫を待っていた。
尾之間温泉へ
サウスビレッジに帰ったあと、地元の人がいく尾之間温泉に行ってみる。
湯は澄んでいて綺麗たが、とてつもなく熱い。赤ん坊は何事もなく入っているのに、私は長く入れなかった。雰囲気がすっごくいい。
尾之間から淀川登山口までのコースマップを見つける。宮之浦岳に登るならじっくり下から歩いて、屋久島を感じながら登りたい、と思った。
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