天使と暮らして2

ガンバリンコ

 ベッド脇のポータブルで排尿のあと、娘は
介護ベッドに連結した可動手すりを左手で
つかみ、足の屈伸運動をする。

 麻痺側の右足に体重をのせるのはできないが、
血行改善のリハビリとなる。

 退院して自宅に帰ったとき、左右の足の
体温差に気づき、血行を良くするリハビリの
大切さを感じた。

 週3回の訪問リハビリだけでは、麻痺側の
血行改善に程遠い。
 
 退院後の半年間、私はベッドに座り、
娘の麻痺側の足をつかんで
強制的に動かすリハビリを毎日していたが、
体力的に長く続けられるものではないと、
断念した。

 その代わりに、通販で買った健康器具
ルームウオークという電動のペタル漕ぎ器を
娘のリハビリ日課に加えた。

 麻痺側の右足をペタルに固定するのに
工夫を要したが、娘はできるようになった。
長いときは30分続けることができる。
だが、右足が冷たくなるのは防ぎようがない。

 ポータブル使用の後の屈伸の間、娘は
「ガンバリンコ」と、
自分を鞭打つ文句を何度も口にする。

 知らない人が聞いたら、少しおかしいと
思うかもしれない。

 ガンバリンコとは、頑張り屋という言葉を
娘が言いやすく変化したものだ。

上記は、2016年5月の日記です。
その後、訪問リハビリは週3回から週1に減り、
さらに、ルームウオークも、
右足の痛みからできなくなった。
現在、私の体力低下で、リハビリはほぼ止めています。

続く

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