22世紀 その3

22世紀、結婚制度は消えている。

人の世は別れがつきまとう。
いかに深く愛し合っても死別がある。
何事も望むようにはいかない。

22世紀に家は、どうなるか。
家という単位は消えている。
個々人は基本的に独立している。

赤ちゃんは生後、一定期間、親の愛が不可欠。
しかし、愛を与えられない親もいる。
親たちで世話してもいい。
近所の大人集団で世話してもいい。
どのような育児になるか、自由である。
しかし、専門家が定期的に調査し、
子の発育に不適な環境は、是正される。

子の生育に、親の権限は限られている。
健全に育てていれば、同居が認められる。

子は一定年齢になれば、集団の中で育つ。
最終的に自立するのは各人様々であるが、
だいたい、中学程度で家庭から離れていく。

親たちも同様。
一対一で付き合う期間は、各人で自由に選択できる。
人の個性は多様。
趣味も感じ方も違う。
いつか、別々の道を行くのが普通。
親たちも年月が経過し、別々の集団に属するようになる。
もちろん、死ぬまで一緒にいてもいい。
人の一生は短い。

人類社会は、21世紀中頃に人口減が始まり、
その後、22世紀に、30億くらいまで減少するだろう。
一人当たりの豊かさは現在の数倍。
モノの豊かさではなく、
精神的な豊かさが希求されるようになっている。

全ての人は、成人して自立する。
子育てや育児は、親でなくてはできないことを除き、
社会が引き受ける。
従って、一人親でもゆったり楽に子育てができる。

妊娠の初期から、多様な専門職のサポートを受け,
子どもが成人するまで、途絶えることなく定期的に
訪問相談がなされる。

もともと、人類社会は
子育てを共同体で担ってきた。

農耕定住が始まるまでの人類社会は、
食糧備蓄の困難さと、定期的な移動の必要から
100名程度の小集団で暮していた。

生まれてくる子供は
父親不明の場合が多く、
母親を中心にする子育て。

子どもは乳離れすると、
共同体の中で、
様々な年齢の人とかかわり、
養育された。

共同体内では、幼児でもできる
役割分担がいろいろとあり、
子どもたちは現在社会よりも
もっと低年齢で
共同体の一員としての自覚を
身につけていく。

農耕が始まり
人類社会に財産が発生。
男系で相続されるようになると。
父親が血統を求めるようになった。

そして結婚という制度が誕生。

結婚制度の趣旨は
母親の自由を奪うこと。
なんと、野蛮な道徳。

19世紀まで
多くの社会で男の不倫は許されるが
女の不倫は厳罰。

母親を縛っておかないと
血統の維持が難しい。

そして、
不倫が悪であるという道徳が発生した。

未来社会で、
子育ては一人親でも楽にできる。
結婚制度は不要。

勿論、
一生の間、一対一で付き合い続けるのは
本人たちの自由。

財産相続はどうなるのか。
21世紀は
世界的に経済格差が最悪の時代。
富の偏在
貧者の反乱、
地球規模の自然災害と疫病
テロや戦争の頻発、難民増加、などの
深刻な事態が続き

ついに
法と税と治安を
地球人類社会で同一のルールにしなくては
対応できなくなる。

その結果
今の国連に変わる
もっと実効性のある
国際機関が誕生。

貧富の差を世界的に
合理的なものに改善せざるをえなくなる

遺産相続への税率は高くなり
現在のような極端な格差が
しだいになくなっていく。

生まれた子どもたちは、
できるだけ公平な機会が与えられる。
教育制度の充実。

その結果、
我が子に特別な財産を残そうとする人が
しだいにいなくなる。

そして、
結婚制度はなくなる。
不倫という変な道徳も
過去の遺物となる。

つづく

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