菜園すず

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菜園すず

気ままな漫画家。小説も書いてます。あなたのスキやフォローが励みになります。他サイトでも小説執筆してます。エブリスタ/https://estar.jp/users/173144555

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  • 現代ファンタジー小説

    現代ファンタジー小説をまとめています

最近の記事

悪魔は三度微笑む(最終夜)

in memory 彼女… 何処かで会ったことあるような… 初めて彼女に会ったのは、高校三年になって、クラス替えをしたとき 栗色の髪の毛 何処か、遠くの世界で会ったことあるような、そんなノスタルジックな気分にさせるような人だった その子は俺が朝学校に行くと、いつも一人、教室にいた そしていつも彼女は何かに向かって、一心不乱にペンを走らせていた その顔は真剣な眼差しだけど、とても楽しそうで 瞳が輝いて見えた 初めは集中している彼女の空気を壊しても悪いと、隣の空

    • 悪魔は三度微笑む(第五夜)後編

      前回までの話↓ moonlight shadow~悪魔の誤算~ ここは…? 私は気付くと不思議な場所にいた 綺麗な夕焼け空に、色とりどりの花が咲き乱れ、蛍が飛び交い、小さな虫の鳴き声がする 「…この花 ケシの花だ…」 ”ケシの花 悪魔の世界に唯一咲いている花” 頭の中で、悪魔…と言うか浩司が言っていた言葉が浮かぶ 「ここって…」 「ようこそ、悪魔の世界へ」 「浩司…!?」 「…浩司…? もしかして、浩司って… こんな顔をしているのかな…?」 振り

      • 悪魔は三度微笑む(第五夜)中編

        前回までの話 moonlight shadow~悪魔の誤算~ 「彼女、どうなってもいいの…?」 コバヤシは携帯で撮った秋の写真を見せて来た どこで、どういう状態で撮ったかはわからないが 画面の中の秋は笑顔で、何かの瞬間をシャッターで切り取った後 ぞっとした そこまでするこいつの執着と 姑息さと 執念に 「俺の友達チンパンばっかだから、何するかわかんないかもー」 コバヤシの仲間の一人が半笑いで言った こういう場合、金を渡しても、根本的な解決にはならない 相手は

        • 悪魔は三度微笑む(第五夜)前編

          moonlight shadow~悪魔の誤算~ その事実を知ったのは、もう俺が人間の姿を失くしてしまった頃だった 俺たち淫魔は、その人間が好む外見や見た目に姿を変えることが出来る だから初対面でも、怪しまれることもなく、さほど抵抗されることなく受け入れてもらいやすい でも、最近の俺は、淫魔の姿から人間に変わることが出来なくなっていた 今まで色々な人間にサキュバスを宿してきた 低俗な試練を積んだら人間に戻れるんじゃないのか…? そう聞いていたのに、これじゃあまるで

        悪魔は三度微笑む(最終夜)

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        • 現代ファンタジー小説
          9本

        記事

          悪魔は三度微笑む(第四夜)後編

          前回までの話 mermaid tear 歌舞伎町にある喫茶店 届いたドリンクのストローの紙を、小さく蛇腹に折っていく そこに、水滴を落とした 紙はみるみる伸びていく 薄いのに、肉感的な唇 彫りの深い目元 線の細い身体 うっかりすると、咲をまじまじと見てしまいそうになって、視線を逸らした 久しぶりに会ったけど…本当に… 相変わらず咲は、悠輝に似ている 「…すごい偶然だね 私… 咲に逢いたいなって思ってたんだ」 「そうなんだ」 「うん 夢が見れる

          悪魔は三度微笑む(第四夜)後編

          悪魔は三度微笑む(第四夜)前編

          mermaid tear 入れられても、全く気持ちよくなんかない みんな上で気持ちよさそうに腰を振ってるだけよ 私はそんな人達を下から見上げながら、気持ちよさそうに喘ぐ振りをするだけ そうしたら、ほら、みんな私の上で果てる ねえ、満足したでしょ? それだけの快楽の為に、みんな私を利用するんだよ 愛がない 愛がなくても みんな気持ちよさそうに果てる 別にいいよ 私も愛してないから 左手の薬指に、光るリング いい女 でも本当は都合のいい女 いい女

          悪魔は三度微笑む(第四夜)前編

          悪魔は三度微笑む(第三夜)

          prayer of the butterfly みんな彼氏と幸せそう あたしも幸せになりたくて付き合ったのに 幸せになれない みんなが羨ましい なんでそんな笑顔なの? 大学で、大学の友達から紹介された彼 初めて出逢った時の印象は、本当に普通の人、と言う感じだった 今までが、ちょっと普通じゃない人とばかり関わっていたから その、いかにも、大学生らしい平凡な見た目の、同じ年の男の子を好きになるのには時間がかからなかった 初めての彼氏は、何もかもが初めて経験する事

          悪魔は三度微笑む(第三夜)

          悪魔は三度微笑む(第二夜)

          love junkie 新宿で出会った彼は、夢を売る仕事をしているらしい なにそれ ホストって事でしょ まあなんとなく歌舞伎町でふらふらしていたし、顔も整っていたからわかってはいたが、自暴自棄になっていた私は普段なら無視するような相手だったけど、なんとなく足を止めたんだ それに、顔の見た目も… 私は高校を中退して適当に生きていたから、適当に名前を答える ビルに映っていた、今流行りの芸能人の名前だ 男からお店の名刺をもらい、私はついていった 「midnight

          悪魔は三度微笑む(第二夜)

          悪魔は三度微笑む(第一夜)

          nightmare 見上げた新宿の空は星一つ見えなくて 代わりに胡散臭くて魅惑的なネオンたちが、私を嘲笑うかのようにギラギラと存在感を放っていた 「東京は星が見えないのね」 独り言のように、でも本当は目の前にいる男に話しかけるように大きく呟いた そんな彼は不敵に微笑んだ 「夜空がビルの明るさに負けているからだよ」 大きめのワイシャツから覗いた腕には無数の深い傷跡 身なりは綺麗なのに、どこかぬぐい切れない穢れのようなものが瞳にうつる 私は成り行きで、彼に死にたい

          悪魔は三度微笑む(第一夜)