見出し画像

10年前の「推しの子」の話

僕は2012年の夏からアイドルオタクになった。
まだ売れない役者をやっていた頃だった。
地元の先輩にももクロからオタクになった人がおり、
その人に唆されて私立恵比寿中学(通称エビ中)のライブに参戦したところ一撃でハマってしまった。
ちょうどマイルドヤンキー的遊びにも飽き飽きしてきた頃だったので、
新たな趣味としてちょうどよかった。

エビ中・廣田あいかさんとのツーショット

その後エビ中は瞬く間に人気になり、
元来人混みが苦手な僕は更に小規模な現場を求め、
BELLRING少女ハート(通称ベルハー)というグループにどハマりした。
余談だが、麻布競馬場氏の「この部屋から東京タワーは永遠に見えない」にこのベルハーの名前が登場するらしい。
近々読んでみようと思う。

ベルハーは、オタク同士の連帯が緩やかでありながら密接で、
今振り返るとかなり美しい共同体であったように思える。
僕自身、年齢が近い若手や、
普通に生きてたら出会わなかったであろうお金持ちのおじさん、
そこそこ可愛い女オタクまで幅広い人種と関わった。
今の僕が社会階層や知的水準に関わらず幅広い人々とコミュニケーションが可能なように見えるのは、
この頃の経験がかなり一役買っている。


2014年6月9日 2ndワンマンライブ終演後

僕はベルハーで、宇佐美萌(通称もえち)を推していた。
もえちは、僕の2歳年上で、現役の女子大生アイドルだった。
もえちは独特の魅力があった。
特別死ぬほど可愛いわけでもなければ、性癖にブッ刺さる系でもない。
スタイルも別に良くない。歌もダンスも上手くない。
だけど、彼女の底知れぬ魅力に深い部分で惹かれていた。
全く言語化できないのだが、とにかく「推す」という行為はそういうものらしい。

今日2月1日は、そんなもえちの誕生日だ。
ちょうど10年前の2月1日は、渋谷で生誕ライブをやっていた。
僕は当時マジでお金がなく、親に「推しが誕生日だから金くれ」と言って福沢諭吉を強奪し、
渋谷に向かった記憶がある。
確か加湿器をドンキで買って、そのままライブに向かって、
チェキ撮影時に渡した。
アイドルへの貢ぎ物については賛否両論あるが、
個人的には使ってくれるかどうかはまぁ正直どうでも良くて、
渡すことに価値があった。


カメラロールに唯一残っていたツーショット。2014年12月

彼女はその後、就職と共にアイドルを卒業し、
現在はどこかでOLをされているそうだ。
今も元気にやっているのだろうか。
いつかどこかで会えたら、
「俺もだらしない若者だったけど10年経って父親になったよ、なんとかやってるよ」
と伝えたい。
クソどうでもいいと思うけど。伝えたい。

そんなわけで、もえち誕生日おめでとう!


最後まで読んでくれてありがとうございました。
0201

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?